犬村犬太郎

小説を書きます。犬が登場する作品は書きませんが、犬好きです。ラノベをよく読みます。好き…

犬村犬太郎

小説を書きます。犬が登場する作品は書きませんが、犬好きです。ラノベをよく読みます。好きなジャンルは俺tueee系です。毎日投稿する予定。無料作品はエブリスタ、pixiv、カクヨム、アルファポリス、小説家になろうにも投稿します。有料作品はエブリスタでも同じ値段で販売します。

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  • 最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。

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最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第十三話 特別強化試験――G』

 魔王城の廊下は俺が現在見た中では例外なく白を基調とした石壁にろうそくを使った照明、木の縁の窓、床は左右が金色で中央が赤色の絨毯が引かれている。  この絨毯は相当高級な様で靴の上からでもふかふかな感触が伝わってくる。  これが中々気持ちいい……筈だったのに、これからゴキブリに会いに行くとなると憂鬱になってくる。  俺の前を歩く二人の男もいくらゴキブリが得意と言っても限度があるらしく、足元がおぼつかない。 「では、入ります」  二人が茶色の両開き扉の前に立ち止まってそう言

    • 最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第十二話 特別強化試験ーー魔王帰還』

       涙を流しながら、少女は俺に魔王と言った。  ……一体、何の冗談だ。  魔王の話は子供のころに何度も聞かされた話、勇者と魔王に出てくる適役。  世界を侵略しようとする魔王に対して人間で最も強い男である勇者が仲間たちと共に世界を冒険しながら、魔王城に向かうと言った内容だ。  王国では勇者の石碑が立てられたり、童話にもなっている有名な話。  つまり、俺はこの話の適役になってしまったという事だろうか。  でもだとしたら今回の試験は上手く魔王になり切れという事でいいのだろうか。

      • 最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第十一話 特別強化試験ーー始まり』

        「はあ!」  俺が振り下ろす直剣が人型魔獣の首元に突き刺さり、三つ目の試験は終わりを迎えた。  人型魔獣五体、芋虫型魔獣三体と言う今までと比べるとはるかに難しいレベルになった適性試験だが、立派な武器も獲得したおかげで戦闘時間は前回の二倍程度に抑える事が出来た。  アリスは最初の所で魔法の研究をしていたり、村人にばれないような森の奥地で訓練をしている。  アリスは強い。ホーリーアローがあれば普通の魔獣くらいは倒せるはずだからと言われたので注意をするようにとだけ伝えた。 「ステ

        • 最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第十話 休息』

           家を失った俺たちは、その後、騎士から甲冑、剣を盗み、穴へと潜った。 「ステータス」  最弱奴隷に変わり反逆者と書かれた画面が表示される。  身体能力30、魔法適性11、守護騎士と同等のステータスが表示されるのは、反逆者の特殊能力、最近のステータスに固定化されるというもののおかげだろう。  これで外にもステータスを持ち込めるようになったのだ。  しかし、すべてを持っていける訳では無い。それぞれの職業の特殊能力は外では効果を発揮しない。結局、外では反逆者以外の職業に変更する事は

        最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第十三話 特別強化試験――G』

        • 最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第十二話 特別強化試験ーー魔王帰還』

        • 最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第十一話 特別強化試験ーー始まり』

        • 最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第十話 休息』

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        • 最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。
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          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『アルトの職業一覧』

           最弱奴隷  身体能力1 魔力適性1  身体能力上限値1 魔法適性上限値1 【特殊能力】  ステータスが上がらないし、下がらない。  ―――  捕食者  身体能力30 魔法適性30  身体能力上限値50 魔法適性上限値50 【特殊能力】  満腹状態またはそれに伴う幸福感によってステータスが上昇する。  ―――  農民戦闘員  身体能力27 魔法適性11  身体能力上限値50 魔法適性上限値30 【特殊能力】  農地で魔獣と戦うと身体能力が向上する。

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『アルトの職業一覧』

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第九話 反逆者』

          「さっきから聞いていたが、奴隷に魔法は使えないぞ」  目の前に堂々と立つのは、村で俺と戦ったあの騎士だった。 「逃げようアリス」  これはまずい。  直感的な物ではあるけれど登場の仕方から明らかにおかしい。今の俺じゃこの騎士には勝てない。 「うん!」  俺たちは騎士の事を完全に無視して、真反対に走り出す。  木の根や虫などは見向きもせずにただ走る。  後ろ振り返ると、騎士も少しずつ近づいてくる。 「なあ、スピードってどんな魔法だ」  走りながら聞く。  俺はまだスピードの魔

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第九話 反逆者』

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第八話 村の動向』

           今は本心からアリスを守れるとは思わない。  理由は簡単。  俺よりアリスの方が強いからだ。アリスは魔法が使える。そして魔法適性は130あると言っていた。なら、俺は完全に守ってもらう側の人間だ。  アリスを失うというのは、想像はできないが悲しい事だと思うし、きっと残酷だ。だから今回の試験のような事態には俺が対応したいし、守ってはやりたい。  でも普段の生活の中で俺がアリスを守るなんてことがあり得るかと言われれば無いと断言できてしまう。  そういう確信が脳内にあるから、守りたい

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第八話 村の動向』

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第七話 二つ目の試験』

           前回クリアした試験の部屋の先、また通路を越えた場所には一つ目の試験と同じ様な部屋が広がっていた。 「物理系職業適性試験2」  俺はそう宣言する。  ゴゴゴ……  試験1と同様に地中から魔獣が現れる。しかし今回はそれだけは無かった。両脇の壁から、剣を持った人型の魔獣が現れたのだ。  甲冑を全身にまとい、頭の甲冑の隙間からは赤い光を出している。一歩一歩確実にこちらに近づいてはいるが大して速くない。 「三対二かよ」 「あれを倒すと強くなるの?」 「一応そういう事になっているら

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第七話 二つ目の試験』

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第六話 謎の露呈』

           俺は握手を交わした後、俺が眠っていた物の上に腰かけ、話の続きを始めた。 「私の事信用してくれた?」 「ああ。そもそも俺が信用するためにいろいろやっていたのは、俺が奴隷と知って見捨てられるかもしれないと思っていたからだ。だから、もう疑う必要はないんだよ」 「そっか、嬉しい」  アリスは満面の笑みを向けてくる。 「けど、魔法が使える奴隷なんてのはまだ信じてないからな」 「えー、何で?」 「当然だ。魔法は一般人、まして奴隷が使える訳がない。研究したというのも違和感がある」 「う

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第六話 謎の露呈』

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第五話 魔法使いの奴隷』

           俺は妙に重い目を開ける。 「ここは?」  視界に広がったのは規則正しく編まれたツタの様な物。それが一つの部屋の様に俺を取り囲んでいた。さらに俺の寝るベットはそれが何重にも重ねられ、寝心地はあまりよくないが地べたに寝るよりもはるかに柔らかくなっている。 「起きた?」  耳元で女性の声が聞こえる。  俺は首を動かして彼女の方を見る。  茶色の髪を肩甲骨の下あたりまで伸ばしている。ぱっちりと髪と同じ色の瞳を開け、俺を覗き込むように見ている。 「君は……」 「私は、アリス。よろし

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第五話 魔法使いの奴隷』

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第四話 敗北者の責務』

          「どうして……」  職業最弱奴隷。  俺がステータスの穴で変えたはずの憎き職業。  それがまた、俺のステータスに表示されていた。 「職業変更」  ……そう呟いても変更画面は現れない。 「職業のせいで負けたのか……」  俺のせいで結局、一人の人生を救う事が出来なかった。  救いたいとは思っていなかった。  俺が生きて、家族や友達がまた俺と仲良くしてくれれば、他人の人生なんて二の次で、ついで程度だった。でも、俺はその人の人生どころか、関係性を取り戻す事も出来なかった。  

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第四話 敗北者の責務』

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第三話 嫌な真実』

          「ステータス」  俺は横たわる魔獣を横目にそう言う。  目の前にいつもの窓が表示される。  そこに記された職業は最弱奴隷でも捕食者でもなく、農民戦闘員だった。  そしてその下に記されるステータス値は、身体能力27、魔力適性11、身体能力上限値50、魔力適性上限値30、【特殊能力】農地で魔獣と戦うと身体能力が向上する、とある。 「……あれ、減ってない?」  農民戦闘員になったのは嬉しいが捕食者の時は両方とも30だったはずだ。 「まさか……職業変更」  俺がそう宣言すると窓に記

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第三話 嫌な真実』

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第二話 ステータスの穴』

          「ステータスの穴?」  突如聞こえた柔らかい男の声に俺は疑問を投げる。  その声は洞窟の全体から聞こえており、誰かがしゃべっているとは思えない声だ。 『ここは僕が作った空間。まずはその場でステータスと言ってみてくれないか』  また声が聞こえる。  ステータスを確認しろという事か?  怪しいとは思うがここには食料があった。この声の主がこの空間を作ったというのならまだ食料があるかもしれない。  眉唾物ではあるが指示に従おう。 「ステータス」  その一言で視界の中心にステータ

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第二話 ステータスの穴』

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第一話 追放』

          『最弱奴隷』  水晶の上に浮かぶ半透明の窓にそんな文字が表示された。 「えっ……あいつ奴隷なの? 俺今まで友達だと思ってたわ」 「きもすぎ……」  表示された瞬間、辺りの人たちの目が鋭く蔑む様なもの変わっていく。 「あの、」  声の方に顔を動かしながら声を掛ける。 「喋り掛けんなよ。気色わりいな」 「えっ……」  昨日まで楽しく遊んでいたはずの人は、昨日とは違う声音で怒鳴る。  なんでだろうか。なぜこうなっているんだ。  ※※※  俺らは十六歳で選別式というものが行わ

          最弱奴隷の俺、ステータスの穴を見つけて成り上がる。『第一話 追放』