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オーバーウォッチのイキルシ

今僕は、オーバーウォッチというゲームにはまっている。夜な夜な友達とチャットをしながら「ごめん犬井!このパーティ5人用なんだ!」と言われて、BANされる日々を楽しく送ることができている。

オーバーウォッチというゲームはFPSと呼ばれる一人称視点のゲームで、かなり平たく言うと敵をレーザーガンで撃って、倒せば勝ちといったタイプのゲームである。5人1組のチームで戦い、回復役・攻撃役・敵に突っ込む役という3種類の役割に割り振られてプレイをするといった内容である。

そんなオーバーウォッチだが、僕は最近始めた新参者のため、チャットで飛び交う専門用語に、なかなかついていくことができない。よく周りで、「モイラロー」や「オクウィドー」といった、よくわからない横文字が飛び交っている。試しに「ヨサブソン」と適当な横文字をつぶやいてみたが、みんなしゃべらなくなったので、どうも意味はあるようである。

流石にこのままでは、アカウント毎BANされかねないので調べてみると、この用語は、どうもキャラクター名と状態を表す言葉のようだった。先ほどの「モイラロー」であれば、「モイラというキャラクターのHPがロー(低い)」という意味なのだという。敵にモイラが居れば攻めろという意味だし、味方だったら回復しろ、という意味になるのだそうだ。「オクウィドー」という言葉であれば、オクは奥ということで、「奥にウィドーというキャラがいる」という意味らしい。そりゃヨサブソンでは、伝わらないわけである。

そんなこんなでやっと意味も分かり、僕もチャットに入り始めようと思っていた時、友達がまた一つ知らないワードを言い出したのだ。

「敵イキルシやw」


イキルシ…いきるし…生きる、死?

宗教?


何か敵を表す言葉のようだが、全くわかない言葉が飛び出したのである。キャラの中に、イキルシというキャラクターはいないばかりか、どこで区切っても場所も状態も伝わってこないネーミングである。加えて何度もやってきて初めて聞いた言葉だったので、なかなか珍しい状態ということは想像できた。

そこから「イキルシやw」といった友達をはじめとして他の友達は「ホンマやwイキルシやんwww」などと言ってげらげらと笑い始めている。どうも、このイキルシは面白いものらしく、敵が何か面白いことをしているのだろうということまではわかる。

そこで僕も前線に出て、笑われている先の敵キャラクターを見てみると、「ルシオ」というキャラクターが飛び回っていた。ルシオは味方を回復する役回りのキャラクターで、普段は敵前線というより中距離くらいの位置で、回復やサポートをすることが多いキャラクター。そのルシオが、最前線で飛び跳ねて、ハチの巣にされていたのである。


そして分かった。

イキルシは「イキりルシオ」の略なのだと。



イキルシことイキりルシオは、後方支援をする役回りであるにもかかわらず、そこからも最前に繰り出し続け、何度も何度もハチの巣にされてしまっていた。まさか略称の中に「イキリ」が正式に入っているキャラがいるとは、不名誉にもほどがある。

かわいそうだと思う反面、まさに「生きる、死」の状態に陥っていた敵のルシオを見ていると、僕も笑うことしかできなかった。

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