辛いチキンを立て掛ける場所
「辛いのが良んだよね」
隣の私に話しかけるというより、ひとりごとのように言って彼女は辛いチキンとカフェオレをレジに運んだ。それから、ほどよく温められたチキンと店員に感謝を述べてコンビニを出る。街路樹を通過した光が柔らかく射し、心地よく風がそよいでいる。今日は季節の変わり目に数日現れる「ちょうど良い日」だ。細い犬の散歩を横目にベンチを目指す。彼女は鞄のチャックを開けてカフェオレだけをしまい、チキンは握ったまま与太話をした。
「コンビニって駐車場含めてのコンビニだよね」
彼女が言