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2019年_転記

《前置き》
想定していたより多くの方がご覧になっているようで大変恐縮です。
もともと見ても10人以内だろうくらいの想定でした。。。
こちらに記載しています医療、治療に関する事柄につきまして、私は専門家でも何でもありません。不正確な情報や口頭で聞いて頭に残っているだけの情報などが多分に含まれますので、その点ご承知置きください。


 =長い短い=

『予後』と書くとニュアンスによって意味が異なるようですので、
生々しいですが敢えて『余命』と書きましょう。
余命1年・・・長くはないですよね?
では、短いですか???
まぁ、長い入院生活で私の感覚がズレているのでなければ(笑)
殆どの方が短いと感じるかと思います。

これが、もし、、万一、、[何も治療しなかった場合に]私に残されているらしい時間です。
うん、今の私にはなんとも言えませんね。。。
 ※現時点では不確定要素の多い中での話です。

先般、頭の整理をするために2018年の闘病生活をまとめてみました。
誰かに見てもらいたいというより、どちらかというと自分の為の記録。
こちらも同様ですが、自問自答、自身の頭の中を整理するために一度文章に落とし込んでいるものです。
それは、正直に今私が迷っているからです。
困惑しているからです。

勿論これを書いたからと言って正解が出るわけではありません。
言語化、文章化し、一度アウトプットすることで何かしら別の見方ができるようになるんじゃないかというところに縋っているだけです(笑)

なので、特に拡散する意図はありません。

意図はないのですが、、、
折角ご覧になる方がいらっしゃるのであればこの場をお借りして偽善をさせて下さい。
『やらない善よりやる偽善』というやつです(笑)

正直に言いまして、慈善活動やら奉仕活動等にそこまで強い気持ちはない人間でした。
自分の余裕のあるときにできたらいいなという程度で。
震災等の募金を見かければ小銭を入れたり、暇なときに何回か献血をしたことがあったり、
機会があれば、、、というくらい。
そんな私が自分が病気をしたからと言ってこんなことを言い出すのは大変わざとらしいといいますか、あざといといいますか、そんな気がしますが。
そこはもう恥も外聞も気にするところではないかなと思いますので。

#がん検診  受けてください
定期検診の際はマンモグラフィーを。
もし可能ならPET検査(http://www.pet-net.jp/pet_html/treat/pet.html)を。
見つかりにくい初期ガンが発見できる可能性があります。
保険適用でも一回3万円と大変高額なので足踏みする方がほとんどだと思いますが。
年齢的に節目になる方や結婚を考えている方、特に。

#ドナー登録  可能であれば
ドナーになって提供するとなると一定のリスクや負担がありますが、実際にやるかどうかは全く別の話。
登録だけでも。

#献血  しましょう
私も度々お世話になりました。
恐らく今後も度々輸血を受けていくことと思います。
私も元気なうちにもっと献血をしておけばよかったと感じました。

#臓器提供意思表示  しましょう
簡単です。損しません。
提供するかしないか書くだけです。

そして、本当にありきたりですが。
普通に仕事が出来て、普通に遊べることに少しでも楽しさを感じてもらえたらと。
感謝しろとまでは言えません。日常生活でそこまで感じることってないと思いますし。
ただ週末遊びに出掛けた時に楽しいと思ったら、その後、
『明日から仕事か〜』と鬱になるのでなく、
『今週仕事頑張ったから余計に楽しく感じたんだろうな』と思って頂きたい。

私なんて毎日休みですから、看護師に今日はもう検査とかないのでお昼寝でもしてゆっくり休んでくださいねと言われても何にも嬉しくありません(笑)


 =転調=

さて、前述の通り2018年12月29日 無事退院を果たすことが出来ました。
先の文章では書ききれませんでしたが、移植後は体調の変化が目まぐるしく、日々、、、どころか午前午後、時間帯によっても体調が変化する日々。
様々な症状が入れ代わり立ち代わり発生しておりました。

なので、自身の状態を人に伝えるのが非常に難しかったですね。
状況が状況ですから、
『良い』と言っても何かしら調子の悪いところはあったり、またはすぐに悪くなったり。
『悪い』と言ってしまうと必要以上に心配を掛けてしまったり。

それを乗り越えての退院でしたので、帰宅後は慎重に、安静に過ごしておりまして、年始以降も幸い大きな失調が起こることなく過ごせておりました。
強いて挙げるとするならば皮膚の炎症や味覚の不具合ですかね。
皮膚は色味が赤黒く、全身で落屑(皮膚が剥がれ落ちる)が発生しておりまして、
1月7日〜の5日間などは足裏のひび割れがひどく自宅内を這って移動しておりました(笑)

ですが、それも徐々に回復傾向にあり、
『これはなかなか早めに動けるようになるんじゃないか』などと思い、できる範囲で体力回復を図るリハビリや準備を進めておりました。
と言っても人混みの多いところには行けませんし、無理は出来ないので。
近所を散歩したり、スーツをどうしようかと探してみたりくらいです。
病気する前から比べると体重が15〜20kg減っていましたから、衣類の類は全部買い直しが必要なんです。
それでも身長に対しては平均体重以上あるんですがね(笑)

もちろん急性のGVHD反応等移植後90日がひとつの目安時期になりますので、最低限それまではじっとしているつもりでしたが、【寛解】の判断が出て、医師の許可が降りれば少しずつでも何かしら仕事に関わりたいと。
そんな話をしてたのが、ちょうど世間では仕事始めの1月4日。

 =再入院=

その後、日々近所を散歩したり、家族の食事を作ったりと少しずつ日常生活に戻れてきておりましたが、、、1月13日に皮膚の赤疹が一気に来ました。
ですが、一度落ち着いたものがぶり返したという感覚なので、困ったなとは思いつつも、また落ち着くだろうと楽観視しておりました。
週に2回通院しておりましたし、何かあればそこで対処できる(してもらえる)だろうと。

ただひとつ違ったのは痛みを伴う部分ですね。
それまでの皮膚のGVHD反応は見た目こそ悪くはなるものの、痛みや痒みはほぼほぼありませんでした。
しかし、今回はヒリヒリする程度ではあるが多少痛い。
ですから、ちょうど連休明けの15日に皮膚科受診がありましたのでそこで相談しようと思っていました。
また、移植後の効果測定の意味で同じく15日にPET検査を受ける予定になっていまして、
その後17日に主治医の問診でしたから、順番としては予定通りに進めていけばちょうど諸々対処解決が図れるだろうと。

そして予定通り進めていったわけですが、まぁ日々日々悪く(皮膚が痛く)なっていく。
元々痛みの類には強めなはずで、普通の方が大変苦痛を感じるという『骨髄生検』もそこまで痛みを感じないくらいなんですが。
20日頃には痛みが酷すぎて、服の脱ぎ着すら母に手伝ってもらっているような有様。

そんな状態ですから17日の主治医の口から出たのは当然のごとく【再入院】の3文字でした。
既に一部水疱化しておりましたので重症と呼んでよい状態だったんですね。
皮膚のGVHD反応としては最大のGradeⅣです。
また、それに併せて血糖値も380程の数値が出ていてインスリン治療したいと。
更に(※この時点では”疑い”という表現に留まるものでしたが)15日のPET検査の一次データでがん細胞の残存可能性がありまして、トリプルパンチで入院の運びとなりました。

足真っ赤(笑)

 =ジェットコースター=

そんな流れで1月21日再入院となりました。

再入院してわずか30分後、血糖値が測定不可まで振り切りました。
後ほど確認したところ853あったそうです。高すぎてよくわからない数値です(笑)
ですが、自覚症状としては口内の乾きくらいで、めまい等は一切なかったです。
原因としては長期のステロイド剤使用による薬剤性のものです。
ステロイド剤は免疫抑制(GVHDを抑える)のために必須で致し方ないものと言えます。

更に当日に撮影したCTによって膵炎が発覚。
こちらも原因はステロイドによる薬剤性のもの。

両方とも原因はステロイド。
でも今回の入院ではステロイドを大量に入れて一気に皮膚のGVHDを抑えようというのが一番の目的です。

ということで、
 1、皮膚GVHD
 2、膵炎
 3、糖尿病
 4、肝炎
をバランスを取って同時に治療しなければならなくなりました。
なんだか福岡で初めて入院した時のことを思い出してしまっていましたね。
とんとんとんと想定外の悪いものが出てくる感覚。。。

まずは皮膚ですが。
一言で言いますと全身火傷です。
毎日毎日その痛みが増していくような状態で、24日頃が一番酷かったですかね。
まず動けない。
体中から黄色い浸出液が出てきており、包帯巻かれてミイラみたいになっていました。

治療法としては何よりステロイド剤投与でGVHD反応を抑えることです。
今回は右の首筋から点滴用のカテーテルを挿入しておりますが、そちらから。
ですが、それはイコール膵炎に悪影響を及ぼすことになります。
なので一度ステロイド剤を増やさないという選択肢も検討したようですが、結果として当初予定していた量の半分を投与。そして、その代用としてセルセプト(https://trend.nikkeibp.co.jp/?gnavi)という薬を投与することに。

また痛みで身じろぎが取れない為、移植後同様PCAという医療用麻薬を取り付けて痛みの緩和をしておりました。

膵炎の方はまずは絶食ですね。食べないことが一番の治療だそうです。
あとは一般的なミラクリッドという薬。
これで治まることを待つのみ。
結局入院当日から10日間程絶食となったんですが、意外と苦しくはなかったですね。
皮膚の苦しみ等が酷すぎたせいもあるかもしれませんが(笑)


糖尿病はインスリンでコントロール。
こちらも原因が薬剤性の為、ステロイド剤を続ける限りはどうにもならないので、コントロールするのみです。
裏を返せばステロイド剤を使わずに済むようになれば治るということですのでね。

そして、肝炎。
こちらも大量の薬を点滴および内服で入れているため負担がかかって当たり前って状態で数値が上がっており、急を要す状態ではないため内服薬のみ。

このような形で同時並行的に治療を進めました。


 =ホスピタリティ=

病棟看護としては皮膚のケアを第一にしてくれていましたので、入浴は毎日介助付きで実施されました。
入浴後の薬塗布や保護も含め半日掛けて、
看護師3〜4名がかりで、
毎日毎日状態を見ながらやり方を工夫して、
少しでも良くなるように、
痛くないようにとケアをしてくれました。

いやぁ、看護師の方たちのホスピタリティって本当に凄いですね。。。
心から感心させられます。
私の皮膚の様子が回復するにつれ自分のことのように喜んでくれて。
一部急激な回復を見せたときなどは、その時に入浴介助に関わっていない方まで『ごめんなさい、失礼なことなんですけど、井上さんの肌が前より良くなったって聞いて、、、』と前置きをしながらも複数の方が見学(?)に来るほどで。
脱衣所に見学に来るってのもどうかという話ですが、決して作ったとは思えない笑顔で『良かった〜良かった〜』と連呼されますと『ありがとうございます』としか言えなくなってしまいますね(笑)
まぁ既に皆さん下の方までお世話になっている方たちなので恥も何もないですしね。

仕事柄、様々マンパワーで動く現場を目にすることが多いですが、やはり現場を支えるのは人ですね。核となる人間、関節となる人間、楔となる人間、重しとなる人間。
AI化、HRテック等など、諸々将来図はありますが、今現場を支えている人達が憂き目を見るような形にはなってほしくないと思います。
全部が全部というのはなかなか難しいのかもしれませんが。。


 =余談=

昨年末退院をした際に色んな方から、
『大変だったね』『頑張ったね』というお言葉を頂きました。
それはもちろん嬉しかったんですが、たまたま京都でWEBデザインをしている方(https://www.facebook.com/miyu.otsuki.90)とやり取りをしていて思ったことがあります。

【本当の意味で頑張ったのは私ではない】という事です。

何かをしたのは=頑張ったのは私の周りの人達ですね。
医師や看護師、家族、会社、会社の人達、友人が私に対して頑張ってくれたんです。
私はただただ病気や症状に対して我慢をして耐えていただけで。
なにかしら行動をして、なにかしらを生み出している人達のほうが余程大変なことで、価値のあることです。
立場のある人間が発すると悪い言葉とされますが【生産性】というやつですね。
私はただ本当に頑張ってくださった方々に感謝するばかりです。


 =選択=

そして一番大きな課題についてです。
前述少し触れましたが1月15日に受けたPET検査の結果、左鼠径部にガン細胞の残存が確認されました。
また、腹部リンパ節にまで増大が見られ、ガン細胞の疑いがあるとの報告でした。

移植を行い、これだけ強いGVHD反応が出るほど次女の細胞が暴れまわっているというのにどこまでしぶといガンなのか。。。
というのが私の感想。
また《寛解》という言葉を心待ちにしていただけに、治療が長引くであろうことに非常に気落ちしておりました。
まぁ実際長引く長引かないどころの話ではなかったんですが。。

主治医より現状と今後の治療についての説明が行われました。
内容としては簡潔に、
 ・残存するガンに対して、移植後で日が浅いため強い抗がん剤治療はでき
  ない。
 ・骨髄抑制の比較的軽度なアドセトリスの投与を行う。
 ・アドセトリスの投与で効果が見られたら残った部分に局所で放射線治療
  を行う。
これがまず当面行うものとして提案されました。

そしてここからが問題です。
このアドセトリスですが、移植より前に2回投与を行っています。
その際ですがガンの勢いを抑えるという役目は果たしたものの、大きく効果を見せたということはなかったんですね。
もちろん、今回はその時より腫瘍自体は縮小しておりますし、移植後ということでまた違った効果を見せる可能性もあります。
しかし同時に全く効かない、または途中で効かなくなる、または何らかの合併症で継続使用できなくなる可能性も十分にあります。

それらがあった場合、次にどうするかを考えておかなければならない、、、ということで、
主治医からの提案は以下の4つ(実質3つ)でした。

 1、妹をドナーとした再移植(ハプロ移植)
 2、他施設に転院して臍帯血での再移植
 3、ニボルバブの使用
 4、緩和治療のみ(予後1年)

1について、
妹と私は白血球の型が合致はしていないものの特別な方法を取ることで移植が可能になるものです。
最近では骨髄ドナーを探すより、ハプロ移植を選択するケースも多くなっているそうです。

2について、
私の入院している病院では骨髄バンク、臍帯血の移植が行えないため、それができる病院へ移り行うということですが。
骨髄バンクでドナーを探すのは時間が掛かるため現実的には臍帯血になるだろうと。
しかし臍帯血は移植できる量が少ないため効果見込みも薄く、特にリンパ腫に対してはリスクが高いと言われているとのこと。

3について、
ノーベル賞を受賞された本庶さんの発見から開発された薬ですね。
使用できないことはないが、許認可から期間が浅く、データが少ない。
特に移植後短期間での使用の実例がなく、免疫に作用するため既に危険性が指摘されており、現在の状況では使用困難と言える。(主治医の言葉を借りると自殺行為に近いとも言えると。。。)

4について、
そのままですね。
苦しみだけ取り除いて残り1年楽しみましょう!ってことです。

うん、1だと思いますよね。普通。
でもですね、そもそも再移植(2回目の移植)って合併症のリスクが極めて高くなります。
更に1回目の移植から期間を空けられずに(具体的には1年程度)行うものは更に跳ね上がります。
そんな選択肢1の成功率は1割未満です。
と言いますより数値にするのが難しいような%です。


さて、どれを選びましょう。。。

選ばなくて済むのであれば幸いですが。。。


 =2019年=

どうするのか、どう考えるのか。
まだ私は決めていません。
まだまだ情報も考える時間も話し合う時間も気持ちも足りていません。
でも間違いなく心に決めていることはあるんです。
前回の最後に書きました【とにかく少しでも楽しいと思える日々を重ねる】ために。

①出来る限りの後悔しない選択をする。
 →完璧は求めません。無理な話だと思うので。

②周りの人が嫌がらない選択をする。
 →ここまで来て人のことなんか考えなくていい。
  自分のことを優先してと言って貰うことが多いです。
  ですが、どう生きるにしても周りと関わって生きるんです。
  そこが充実しないと、そこが楽しく思えないと結局空虚なものに
  なってしまいます。

③2018年にできなかったことをやる。
 →いつ、どう、どのように、また本当に出来るのかどうかは、一旦置いて
  おいて。。。
  仕事します。
  遊びます。
  お酒少し嗜みます。
  もちろん無理をするつもりはありませんが、『病気だから』を言い訳に
  足踏みはしたくないのと、できることはできるだけやった方が後々気持
  ちが良いはず。
  ゴージャスな旅行とか特別な体験とかでなくてもいいです。
  普通のことを普通に。

以上。
2019年を良い年にするために。

                       2019年2月4日 井上誠士

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