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〈JAZZお茶の間ヴューイング〉牧山純子インタヴュー【2020.4 145】

■この記事は…
2020年4月20日発刊のintoxicate 145〈お茶の間ヴューイング〉に掲載された、牧山純子のインタビューです。

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intoxicate 145


牧山純子a

スムースジャズ・シーンにヴァイオリンで新風を吹き込む、ニュープロジェクト

interview&text:近藤正義

 近年はスロベニアを始めとする欧州色の強いクラシカル・クロスオーバーや、京都コンポーザーズ・ジャズ・オーケストラとの共演などで高い評価を得ているヴァイオリニスト、牧山純子が新作『アレグリア』で新境地を開拓した。彼女自身のプロデュースのもと、サウンド・メイカーに安部潤、Kay-Ta Matsuno を迎えた快心のオリジナルアルバムである。

  
 「今回はインディー・デビュー当時のフュージョン路線をもう一度やってみようと思いました。スムースジャズというジャンルにはサックス奏者は沢山いますが、ヴァイオリン奏者は珍しいから面白いんじゃないでしょうか」


 初のL.A 録音は彼女のヴァイオリンから新しい響きを引き出すことに成功。また、今回2曲で使ったエレクトリック・ヴァイオリンも新しい試みの一つだ。


 「クラシックの歴史を背景に持つヨーロッパや、現在住んでいる日本の影響から一旦離れるにはアメリカへ行くしかないと思ったんです。わたしの楽器をロスの空気の中で鳴らしてみることにも、とても興味がありました。気候も、その地に立つことで得るインスピレーションも違いますからね。その結果、同じヴァイオリンなのに、ヨーロッパでは重厚感のある音だったのが、ロスではキラキラした明るい音になりました。


 また、今回のプロジェクトのようにエレクトリック・ギターやエレクトリック・ベースが入っていると、ヴァイオリンで高域を活かさないと音域のバランスがとれなくなります。だから普段は中低域を重要視している私としては珍しく高音域を自然に弾いていました。エレクトリック・ヴァイオリンは奏法、エフェクト処理なども含めて、通常のヴァイオリンとはまた違う楽器として追求していきたいと思っています」


 彼女のオリジナルが3曲と安部潤との共作が2曲、カヴァーが3曲、Kay-Taのオリジナルが2曲。これまでの彼女の路線を踏襲したモノから全く新しい面までがバランス良く収まっている。特にブラジリアン・テイストの彼女のオリジナル《ブリザ・デ・アレグリア》はTV番組のテーマにも使えそうな素敵なメロディ。


 「どのアルバムにも風にまつわる曲を書いてきたのですが、それが本作ではラスト曲の《ブリザ・デ・アレグリア》です。ジャズフェスなどで、皆んなで踊りながら盛り上がるのに最適だと思いますよ」


 ゲストにはエリック・マリエンサル(sax) やイリヤ・セロヴ(tp)も参加。より幅広い層にアピールするポップなスムースジャズに仕上がった。世界共通語である音楽でアレグリア(喜び) を共有したいという、彼女の気持ちが込められた美しく爽やかな作品である。


牧山純子j

『アレグリア』
牧山純子ニュー・プロジェクト:牧山純子(vn, electric vn)安部 潤(p,org, keyb, programming)Kay-TaMatsuno(g, programming)須藤満(b)Darryl Williams(b)Tony Moore(ds)Felipe Fraga(perc)
[キングレコード KICJ-839]


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