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JAZZ新譜レビュー 後編【2020.4 145】

2020年4月20日発刊のintoxicate 145、お茶の間レビュー掲載のJAZZの新譜8枚をご紹介!

※JAZZ新譜レビュー前編【2020.4 145】はこちら

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intoxicate 145


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①【JAZZ】
アゲインスト・エンパイア

Bill Laswell(b)Herbie Hancock(p)Pharoah Sanders(sax)Peter
Apfelbaum(sax)Jerry Marotta(ds)Chad Smith(ds)山木秀夫(ds)
[BSMF RECORDS BSMF5093]

フリージャズ、ダブ、アンビエントといったジャンルを横断的に取り入れ、ベーシストとして、プロデューサとして多くの活動をしてきたビル・ラズウェルの久々のソロ・プロジェクト。ビルといえば、マテリアルなどグループでの仕事が目立つが、ソロでも数多くの興味深い実験を繰り返してきただけに待望の1枚だ。本作は、ハービー・ハンコック、ファラオ・サンダーズといった何度も共演を繰り返してきた面子に加え、レッチリのチャド・スミスも参加している。その音楽から受けるイメージは、70 年代マイルスのサウンドを21世紀版としてアップデートしたような内容になっていて興味深い。(荻原慎介)

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②【JAZZ】
アレモン

Christian Euamn(ds, vooice)Erin Bentlage(vo, voice)Michael
Mayo(vo, voice)Daniel Rotem(ts,ss)Alex Boneham(b)
Ido Meshulam(tb, nass tp)Miro Spraguer(p,Rhodes)
 [コアポート RPOZ-10058]

ジャズの名門〈ブルーノート〉と〈Meghan Stabile〉が設立した〈REVIVIE MUSIC〉の「six drummers you should know about」にも選ばれ、ハービー・ハンコック、ウェイン・ショーター、カート・エリングらとの共演でも知られるクリスチャン・ユーマンのデビュー作がついに発売。アルバムには二人のヴォーカリスト(エリン・ベントラージ、マイケル・マヨ)に加え、イスラエル出身のダニエル・ロテム(ts)、アレックス・ボーナム(b)が参加。本作はスキャット、ヴォーカリーズを全面に押し出したスリリングなアドリブの楽しめる内容になっている。(荻原慎介)

STPR016_森園さん_レィディ・ヴィオレッタジャケ写

③【J-JAZZ】
レィディ・ヴィオレッタ

森園勝敏(g)
[STEPS RECORDS STPR016]

四人囃子、プリズム等での活動で知られるギタリスト森園勝敏といえば、代表曲は名曲“レィディ・ヴィオレッタ”。本作は同曲の歴代ヴァージョンを全10テイク収録した企画アルバム。ギターはアコギ、ストラト、テレキャスなどが使われており、それをクリーン・トーン、ディストーションありのサウンドでプレイ、ドリーミーで美しい、あのメロディの様々な“美貌”を楽しめる。個人的には1982年のアルバム『ジャスト・ナウ&ゼン』のヴァージョンがこの曲との出会いで、今でも一番好きなアレンジです。またタイトルの由来となったパリッシュのイラスト『Lady Violetta』をジャケットに採用。(馬場雅之)

孤独のグルメ8

④【J-JAZZ】
孤独のグルメ シーズン 8 オリジナルサウンドトラック

スクリーントーンズ
[地底レコード B92F]

昨今人気の高いグルメ・ドラマでダントツ人気を誇っているのが『孤独のグルメ』。バイプレイヤー俳優で知られる松重豊が主人公の井之頭五郎を演じ、立ち寄った店で注文した料理をひたすら食べるシーンは毎回空腹感をそそられる。原作漫画が最初にドラマ化されたのが2012年、それが昨年冬には『Season8』を数え、年末にはスペシャル・ドラマもオンエアされた。その『Season8』の劇伴音楽が本作。演奏のスクリーントーンズは原作者の久住昌之によるバンド。ごちゃ混ぜ感たっぷりのミクチャーな音楽性は相変わらずで今回ははじめて故・谷口ジローの作画をジャケットに使用。 (馬場雅之)

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⑤【JAZZ-VOCAL】
ワンダーブルーム

Becca Stevens
[コアポート RPOZ-10055]

ベッカ・スティーヴンスというアーティストは、作品をリリースする毎に前作からの期待値を軽く超えるものを生み出してきた。壮大なスケールを打ち出した2017年発表の『Regina』に引き続き、本人ソロ名義でのリリースとなる本作は、よりクリエイティブな側面が強く反映され、プログラミング等のエレクトリックな音像が強調された作品に。曲毎に様々なアーティストが参加し、異なるプロダクションによって、彼女の代名詞である緻密なコーラスワークがより美しく浮き上がる。もう一つの特徴であったアコースティックなテクスチャーは控えめだが、かえって彼女の声の素晴らしさが際立った印象。(新宿店 栗原隆行)

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⑥【JAZZ-VOCAL】
Storytellers

Luciana Souza(vo)
Vince Mendoza & The WDR BigBand
[Sunnyside Communications SSC1575] 〈輸入盤〉

ルシアーナ・ソウザとケルン放送局のビッグバンドと、このバンドのコンポーザー・イン・レジデンスであるヴィンス・メンドーサとのコラボ。録音は2017年2月のコンサートにまで遡る。『ストリーテラー』と題されたこの企画にはブラジルの作曲家の作品が9曲、さらにメンドーサの楽曲を加え10曲が収録された。メンドーサ・アレンジのまろやかなブラスの響きとルシアーナの声のブレンドの美しさにはっとさせられる。スウィンギーなビッグ・バンドにはない響き、素晴らしいアレンジと演奏だ。ポピュラー・ミュージックによる大衆の大衆のためのポピュリズムへのレクイエム、日本もブラジルも大変だな。(高見一樹)

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⑦【JAZZ-VOCAL】
アメリカン・スタンダード

James Taylor
[ ユニバーサルミュージック UCCO-1219]

ジェイムス・テイラーの5年振りのアルバムは、彼が幼い頃から慣れ親しんだアメリカン・スタンダートに取り組んだ作品となった。アルバム全体の音の骨格は、ジェイムス・テイラーと本作のプロデュサーとしても名を連ねるギタリストのジョン・ピザレリで制作され、アコースティックギターを中心にアレンジされた極上の音に仕上がった。キャリア50年に裏付けられた彼の温かみのあるヴォーカルは、誰をも抱擁する力を持っており、多くのアーティストがアメリカン・スタンダートを取り上げた作品をリリースしているが、本作は間違いなくその名盤の1枚と成る作品である。 (水谷允久)

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⑧【JAZZ】
Live In Willisau

James Brandon Lewis(sax)Chad Taylor(ds)
[Intakt Records ITK3422] 〈輸入盤〉

ジェームス・ブランドン・ルイスとチャド・テイラーのデュオ。このアルバムが二枚目となるシカゴ・アンダーグラウンド・アンサンブルの創設メンバーであり、スリル・ジョッキーやマーク・リボーなどのバンドで活躍するチャド・テイラーの10 歳年下のサックスとのライヴ盤。今や古典的なアンサンブル・フォーマットとして定着したサックスとドラムのデュオだが、チャド・スミスのメリハリの効いたアイデアの出し具合が新鮮にデュオをドライヴする。手数の多さではなくアイデアの数で即興を組み立てるドラマーに対し、比較的シンプルにモチーフ中心の即興を組み立てるサックス。なかなかに味わい深い。(高見一樹)

▶前編はこちら!
JAZZ新譜レビュー前編【2020.4 145】


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