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〈CLASSICALお茶の間ヴューイング〉大井剛史インタヴュー【2020.4 145】

■この記事は…
2020年4月20日発刊のintoxicate 145〈お茶の間ヴューイング〉に掲載された、大井剛史のインタビューです。

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intoxicate 145

大井たけしa

©K .Miura

100年後に吹奏楽のクラシック作品として残るであろう作品を演奏、録音ともに最高のクオリティーで“聴き倒せる一枚”に!

interview&text:オザワ部長

 燦燦(さんさん)と輝く吹奏楽の名曲ばかりを集めたシリーズ『吹奏楽燦選』。前作から約2年半の時を経て、待望の第5弾『吹奏楽燦選/シンフォニア・ノビリッシマ』が4月22日に発売される。演奏は、日本を代表するプロ吹奏楽団、東京佼成ウインドオーケストラだ。


 そこで、同楽団の正指揮者である大井剛史さんにニューアルバムについてお話を伺った。


 「収録されている曲は、ジェイガー作曲の《シンフォニア・ノビリッシマ》をはじめ、ヴォーン・ウィリアムズ作曲《イギリス民謡組曲》、三善晃作曲《クロス・バイ マーチ》など名曲揃いです。目新しさがないと思われるかもしれませんが、吹奏楽における古典的な作品=クラシックを最新の技術と現代の演奏スタイルで記録した1枚になっています」


 特に40代以上の方にとっては「懐かしい」と感じられる曲が並んでいる中、2010年に作曲された《復興》(保科洋)が比較的新しい曲としてラインナップに入っている。


 「もちろん、選曲の基準としては『懐かしさ』だけではなく、吹奏楽の歴史の中で重要な作品ということがあります。《復興》は比較的新しい曲ですが、将来的に吹奏楽のクラシックになる作品だと考え、選びました」


 アルバムのタイトルトラックともなっている《シンフォニア・ノビリッシマ》は、吹奏楽らしい華々しい序盤から、切なげな雰囲気を持つゆったりした中間部を経て、壮大なエンディングに至る曲。大井さんはこの曲に個人的な思い出があるという。


 「中学校で吹奏楽部に入り、初めて参加した吹奏楽コンクールの自由曲が《シンフォニア・ノビリッシマ》でした。当時、私は打楽器パートでシンバル担当だったのですが、パート練習では出番があまりありませんでした(笑)。すると、先生から『大井君はレコードで曲を聴いてイメージ・トレーニングをしていなさい』と言われ、1時間以上あるパート練習の時間、何回も繰り返しこの曲を聴きました。


そのレコードの演奏がなんと東京佼成ウインドオーケストラ。指揮は秋山和慶さんでした。そんな自分にとって原点とも言える曲を今回自分の指揮で録音する、というのは非常にプレッシャーでしたし、名誉なことでもありました」


 また、今回の『吹奏楽燦選/シンフォニア・ノビリッシマ』には、ボーナストラックも含めてアリイ・バロッソ作曲/岩井直溥編曲《ブラジル》、和泉宏隆作曲/真島俊夫編曲《宝島》という2曲のポップスが収録されている。


 前作にはポップス曲を収録していませんが、実はレコーディングはしていました。それが今回収録した《宝島》です。入れるなら1曲より2曲入れたほうがいいという判断で今回は《ブラジル》と《宝島》を収録しました。2曲とも“吹奏楽ポップスの古典”と言ってもいい作品なので、『吹奏楽燦選』のコンセプトにも合致しています。ちょうどこのアルバムにおけるアンコールのような位置づけになりますが、ポップスをレコーディングする際には他の曲の収録がすべて終わった後の“放課後的”な雰囲気の中で演奏していますので、そのあたりも感じ取っていただけるのではないかと思います」


 吹奏楽のみならず、オーケストラやオペラなど幅広い分野で指揮者を務めている大井さん。「吹奏楽は、オーケストラなど他の編成に引けを取らない、聴きごたえのある音楽」と熱く語ります。


 「私はタワーレコードのヘビーユーザーですが、『吹奏楽燦選/シンフォニア・ノビリッシマ』は普段お店で吹奏楽の棚を素通りしてしまう方、クラシックのリスナーにもぜひ聴いていただきたいアルバムです。もちろん、吹奏楽経験者にお聴きいただきたいのは言うまでもありません。高級なオーディオ機材で隅々まで音を楽しんでいただくこともできる、“聴き倒せる1 枚” です」


 マエストロが自信を持って送る『吹奏楽燦選/シンフォニア・ノビリッシマ』。ぜひ日本最高峰の吹奏楽団の演奏による“吹奏楽のクラシック"を味わっていただきたい。


■大井剛史 (Takeshi Ooi)プロフィール
17歳より指揮法を松尾葉子氏に師事。東京藝術大学指揮科を卒業後、99年同大学院指揮専攻修了。若杉弘、岩城宏之の各氏に指導を受ける。96年安宅賞受賞。スイス、イタリア各地の夏期講習会においてレヴァイン、マズア、ジェルメッティ、カラプチェフスキーの各氏に指導を受ける。2000年~2001年、仙台フィルハーモニー管弦楽団副指揮者。2008年アントニオ・ペドロッティ国際指揮者コンクールで第2位入賞。


大井たけしj

『吹奏楽燦選 シンフォニア・ノビリッシマ』
大井剛史(指揮)
東京佼成ウインドオーケストラ
[Columbia COCQ-85485]


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