見出し画像

〈CLASSICALロングレビュー〉木村モモ【2020.2 144】

■この記事は…
2020年2月20日発刊のintoxicate 144〈お茶の間レヴュー CLASSICAL〉掲載記事。ギタリスト・木村モモさんの2019年11月18日発売「momoland2」をレビューした記事です。

画像1

intoxicate 144


音楽活動10年を迎え、今の心境は「生まれ変わってもミュージシャンになりたい」(梅田大阪マルビル店 塩谷恵理)


木村モモj

【J-CLASSICAL】
momoland2

木村モモ(g)
[2030111881021]

 木村モモは、鷹野誠二氏、藤井敬吾氏にクラシックギターを師事し、2007年大阪音楽大学短期大学部器楽専攻 (クラシックギター科)を卒業したギタリスト。2008年同大学器楽専攻ギター科終了。卒業後、単身で渡米。各国でコンサートを開催している。筆者とは大学の同級生でありこの度店舗でCD取扱いを開始することになった。

 
 2019年11月18日、10枚目となるアルバム『momoland2』のリリースで音楽活動10年目という節目を迎えた。デビュー当時から弾き続けている《fire dance》や、東日本大震災の復興を願って作曲した《PRAY》、クラシック
ギターの名曲《アルハンブラ宮殿の思い出》、そして新曲の《MOTTAINAI》などをライヴ録音。クラシックの枠に収まらない力強いギターの音色が印象的で、一度聴けば癖になるほど引き込まれてしまう作品である。


 収録されている 《crispy》に注目。この曲は2019年1月、アメリカ・ニューヨークでのライヴを終えたあとに立ち寄って食べたピザのあまりの美味しさに感動してつくった曲だという。2018年に訪れたスペイン・マドリードで触れたフラメンコ・ギターの音にインスパイアされ、ラスゲアード*をふんだんに使い、歯切れの良いリズムでありつつメロディアスな一曲である。2019年末スペイン・マドリードで開催された小学校のスクールコンサートでこの曲を披露すると、育ち盛りのやんちゃな少年たちが、まるでヘビメタを聴いているかのように頭を上下に振って喜んで聴いていたという。


 さらに、木村モモオリジナルアレンジの《蛍の光》は一聴の価値あり。スコットランドでは宴が最高潮に盛り上がったシーンで歌われるこの曲だが、日本ではどこか別れを連想させる。この二つのシーンを融合させた見事なアレンジとなっている。生命力のある音。美しさよりも、巧さよりも、湧き上がってくるエネルギーをギターを通して届けようとしているのかもしれない。『momoland2』は、聴いた後にカラッと明るい気持ちになる。


*ラスゲアード:ギター奏法のひとつ。左手で和音を押さえ、右手の指の爪側で上から下に掻き鳴らすように弾く。フラメンコギターで多用される奏法のためフラメンコ奏法ともいう


木村モモa

木村モモ


▲Twitter
https://twitter.com/intoxicate3
▲Facebook
https://www.facebook.com/tower.intoxicate/
▲Instagram
https://www.instagram.com/tower_intoxicate/
▲タワーオンライン(本誌オンライン販売)
https://tower.jp/article/campaign/2013/12/25/03/01


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?