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〈INTERNATIONALロングレビュー〉、ケレケトラ(Keleketla!)『Keleketla!』【2020.6 146】

■この記事は…
2020年6月20日発刊のintoxicate 146〈お茶の間レヴュー INTERNATIONAL〉掲載記事。2020年7月3日に発売されたケレケトラ(Keleketla!)『Keleketla!』をレビューした記事です。

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intoxicate 146


国境やジャンルを越境した、壮大な一大音楽プロジェクト(新宿店 栗原隆行)

ケレケトラj

【CLUB】〈CD・LP〉
Keleketla!

Keleketla!
[Beat Records / Ahead Of Our Time BRC-639(CD)AHED024(LP)]

 〈Keleketla !(ケレケトラ!)〉という名称は「コール・アンド・レスポンス」に使われる「レスポンス」を意味する。大陸を隔てた地で行われたレコーディング・セッションから、多様な音楽性を繋ぎ合わせ、誰もが共有出来る音楽的基盤を築き上げるという目的を表現したとのことだ。


 本プロジェクトの主宰者は、U Kブレイクビーツの先駆者、そしてクラブミュージックのレーベル〈Ninja Tune〉の創設者として知られるコールドカット。マット・ブラックとジョナサン・モアから成るコールドカットと南アフリカの中心的ミュージシャンたちによって始められたこのプロジェクトは、音楽を中心にして密接に築き上げられた結束の輪を起点として広がり、やがて国境を越え、ヨハネスブルクからロンドン、ラゴス、ロサンゼルス、インドネシアにまで及ぶ一大音楽プロジェクトとなった。


 そして様々な地で行われたレコーディング・セッションをまとめた本作には、現代のUKジャズ・シーンの新鋭シャバカ・ハッチングスやジョー・アーモン・ジョーンズ、フェラ・クティのエジプト80で音楽監督兼編曲者として重要な役割を果たしたデレ・ソシミ、先日急逝したアフロビートの創始者、トニー・アレンなどが参加している。


 アフロビートやファンク、スピリチュアル、ジャズなど、様々な音楽的要素が入り混じった豊かな音楽性は、アフリカの広大な大地を想起させる壮大さと、オーガニックな雰囲気をまといながらも、適度なエレクトロニクスと多彩なビートが彩りを加える。


 サンプリング・カルチャーのパイオニアであり、ヒップホップ、ジャズ、テクノ、ハウスなどを吸収した、ジャンルにとらわれない音楽性を持ったアーティストを排出し続けるレーベルを作り上げたコールドカットだからこそと言えるこの絶妙なバランス感。四つ打ちとアフロ・グルーヴをミックスした《Shepherd Song》に彼らの類稀なるセンスを感じた。


ケレケトラa


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