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note限定記事(ロングインタビュー&コラム etc)

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3/23(sat)『オクトパストラベラー オーケストラコンサート-To travel is to live-』ライヴレポート

『オクトパストラベラー オーケストラコンサート-To travel is to live-』ライヴレポート2024年3月23日(土)2nd text=土田真弓  旅立とう、君だけの物語へ──そんなキャッチコピーと共に世へ送り出された正統派RPG「OCTOPATH TRAVELER」。〈ドット絵〉と〈3DCG〉を交えた〈HD-2D〉と呼ばれる美麗なグラフィックと、8人の主人公が織り成す壮大な物語でも人気の同タイトルが5周年を迎え、記念企画として初のオーケストラ・コンサート「

【ステイシー・ケント】ロングインタヴュー:ノーベル賞作家カズオ・イシグロも魅了される、洒脱夫婦の機微に満ちたジャズ表現の襞

ノーベル賞作家カズオ・イシグロも魅了される、洒脱夫婦の機微に満ちたジャズ表現の襞interview & text:佐藤英輔 大人なノリで、仲睦まじい。英国を拠点とするジャズ・シンガーのステイシー・ケントとサックス奏者のジム・トムリンソンのインタヴュー時の様に触れて、なんかほっこりしてしまった。その出会いはロンドンのギルドホール音楽演劇学校で、1991年に結婚。その後、2人は二人三脚で心の隙間にすうっと入り込むような滑らかなアルバム群を順次発表するようになる。そして、かような

【ヴォイテク・マゾレフスキ】ロングインタヴュー:ポーランド・ジャズの旗手的好漢ベーシスト、パンデミック後に広がった活動や音楽観を語る

ポーランド・ジャズの旗手的好漢ベーシスト、パンデミック後に広がった活動や音楽観を語るinterview & text:佐藤英輔  人差し指から小指にかけて指の背に、左右それぞれ“PUNK”と”JAZZ“という文字を彫っている。それは<自分自身であれ、自分の道を行けという思想>と、<自由を自分のなかに見つけるという精神>を意味するという。かような制作指針を実直に取り、ワールドワイドに活動をしているポーランド人ジャズ・ベーシストがヴォイテク・マゾレフスキだ。  1976 年グダ

東京芸術祭2023『とおくのアンサンブル』トークセッション とくさしけんご×箕口一美×長島確

東京芸術祭2023が今年も開催される。 その中でも、注目してほしい演目が10月7日、14日に開催される「耳を澄ませて音や地形を体感する吹き抜け空間コンサート」です。 サウナのための音楽や、F/T20『移動祝祭商店街 まぼろし編 その旅の旅の旅』でのまちなかで聴く音源作品など、人の営みの環境の中で音楽を捉えようとする作曲家とくさしけんごさんによる、吹き抜け空間で体感するコンサート。 互いに離れた場所に位置する奏者同士のアンサンブルに、とおくから耳を澄ませる。東京芸術劇場やまちな

【LIVE REPORT】ウチナー・ジャズ・オール・スターズ・スペシャル・コンサート

ウチナー・ジャズ・オール・スターズ・スペシャル・コンサート2022年7月30日 沖縄県沖縄市 ミュージックタウン音市場 text&photo:渡部晋也  今年6月にリスペクトレコードからリリースされた『ウチナー・ジャズ・ゴーズ・オン』は、沖縄で活躍するメンバーによるアルバムだが、リリースを記念して沖縄市・ミュージックタウン音市場でコンサートが開催された。チケットは早々にほぼ完売だったようで、開演前の楽屋でくつろぐ出演者のスマホに、直前にチケットを求める友達からの電話がかって

【LIVE REPORT】GET THE CLASSICS ASKA Premium Symphonic Concert 2022-TOKYO

LIVE REPORT GET THE CLASSICS ASKA Premium Symphonic Concert 2022-TOKYO 2022年10月29日@東京国際フォーラム ホールA Text:桑原シロー  2022年、ドラマティックなライヴをいくつも残したASKA。そういうイメージを抱いた理由は、予期せぬ事態と対峙して動揺しながらも決して立ち止まらず進もうとする彼の不屈の根性が、ツアーやフェス、イヴェントなどさまざまなステージ上で炸裂していたのを体感できたか

日本ツアー目前!カニサレス(Cañizares)インタヴュー

フラメンコの巨星パコ・デ・ルシアのセカンド・ギタリストとして10年間活動、97年にソロ・デビュー。ギタリストとしてだけでなく、作曲家としてもフラメンコ・シーンとクラシック音楽シーンの両方で支持された。2011年、ベルリン・フィルハーモニー管弦楽団からの招待を受け「アランフェス協奏曲」を共演。以来ヨーロッパ中のオーケストラと共演を重ねているカニサレス。 いよいよ、日本ツアーが迫ってきた。ギタリストの鈴木大介氏に今回の日本ツアーのプログラムや、新作アルバム『アル・アンダルス協奏曲

【ドミニク・ミラー】ロングインタヴュー:スティングの側近ギタリスト、審美眼に富むECM3作目を発表

スティングの側近ギタリスト、審美眼に富むECM3作目を発表 interview & text:佐藤英輔  すらりとしていて、格好いい。その様に触れると、なるほどこの人はジャズ畑というより、ロック畑の人物であると思わされようか。現在ECMからリーダー作を出しているギター奏者のドミニク・ミラーだが、彼は1990年以降スティングのバンドに在籍し、その懐刀的な存在となっている。そして、その一方でアコースティック・ギターを弾いた詩的なリーダー作を随時発表してきた。そんな彼の2023

【ウォルフガング・ハフナー】ロングインタヴュー:ドイツ/ヨーロッパを代表するドラマー、ACT からの最新盤と、ヴォーカル作品のプロデュース作!

ドイツ/ヨーロッパを代表するドラマー、ACT からの最新盤と、ヴォーカル作品のプロデュース作! interview&text:佐藤英輔 ウォルフガング・ハフナーは、ジャズを中心に多彩な活動をしているドイツ人ドラマーだ。1965年生まれの彼はこの15年強は独アクトからリーダー作を出している辣腕だが、本当にハート・ウォームな好漢。なんか接していて、とてもほっこりさせられちゃうところがあった。そんなハフナーは欧州や米国の著名奏者ともいろいろ付き合いを持っているが、それもさもあり

【富貴晴美】ロングインタヴュー『舞いあがれ!』サントラ:舞ちゃんと一緒に音楽も成長したい!

舞ちゃんと一緒に音楽も成長したい! intwervew&text:賀来タクト ――『マッサン』(2014)に続き、8年ぶり、2度目の朝ドラです。 富貴 お声をかけていただいて、とても嬉しかったです。私にとって、朝ドラは特別なものです。毎朝、放送されますし、放送期間も長い。10話くらいの連ドラではなかなかできないことをやることができるんです。 ――2度目ということで、緊張も特にないと思われますけど。 富貴 いえ、「よりよいものを」と思っていますし、逆に自分でハードルを上

【マイケル・リーグ ロングインタヴュー】グループ一丸で原点に帰り、大車輪。異能クリエイター率いる、スナーキー・パピーのめくるめく今が浮き上がる。

グループ一丸で減点に帰り、大車輪。異能クリエイター率いる、スナーキー・パピーのめくるめく今が浮き上がる。 Interview&text:佐藤英輔  マイケル・リーグは強い音楽愛や好奇心、そして確かな音楽観や趣味性を高い次元で折り合わせる活動をずっと続けているベーシスト、バンド・リーダー、プロデューサーだ。そして、かような彼の才覚を知らしめる、メインの活動母体となる大所帯バンドがスナーキー・パピーである。その新作『エンパイア・セントラル』は、かつてのスナーキー・パピーの

トルド・グスタフセン(Tord Gustavsen) ロングインタヴュー「ECM を代表するノルウェー人ピアニスト、その誉を新作とともに語る。」

ECMを代表するノルウェー人ピアニスト、その誉を新作とともに語る。interview&text:佐藤英輔  2000年代ECMの欧州ジャズ表現をリードするピアニストが、トルド・グスタフセンだ。1970年、ノルウェーのオスロ生まれ。子供ころからクラシック・ピアノを学んだ彼は教会でも演奏。大学では複数の場で音楽を学び、卒業後はシンガーのサポートをするとともに、自らの表現も研鑽していった。そんな彼のデビューは2003年、第一作『チェンジング・プレイス』はECMからリリースされた。

沖野修也(KYOTO JAZZ SEXTET)ロングインタヴュー 「レジェンダリー・ドラマー森山威男が全面参加、次世代へ伝えたい日本のジャズ」

レジェンダリー・ドラマー森山威男が全面参加、次世代へ伝えたい日本のジャズ interview&text:佐藤英輔  日本のリアル・ジャズのアイコンと、DJ/クラブ文化を介する今の闊達なジャズ観の出会い。KYOTO JAZZ SEXTET feat.森山威男の『SUCCESSION』は、まさにそうした内実を抱える。  機知と知見に満ちたインターナショナルなDJ+の活動をする沖野修也が率いるオーセンティックなジャズ・コンボであるKYOTO JAZZ SEXTETの新作は、大御所

【森下周央彌】〈ないもの〉を求めた楽曲を、独創的な編成で綴るギタリスト/作曲家

©Shinya Fukumori 〈ないもの〉を求めた楽曲を、独創的な編成で綴るギタリスト/作曲家 interview & text:佐藤英輔  大阪在住のギタリストである森下周央彌のデビュー作『Ein.』を聴き、いささか驚いた。弦楽器その他を組み込んだその内容はとっても静謐で、アート。その質の高い表現総体からは、彼がどういう音楽遍歴を通ってきた人物であるのかを察しにくい内容になっている。そして、それは森下が誰でもない、自分の音楽を作っている証左となる。そんな彼はどう