SIACの学生が東北で活動する社会起業家の想い・取り組みを取材する「社会起業家取材レポ」。今回は、SIA2021卒業生の熊坂勇宏さんにお話しを伺いました!
1. 熊坂勇宏さんについて
病院薬剤師として10年間勤務した後、2016年に地元の宮城県登米市に戻り、保険調剤薬局に勤務。2019年、地域医療教育プログラムを提供し、薬剤師の『在宅医療』、『多職種連携』、『コミュニーケーション能力』などを育むため『一般社団法人BEARS GATE』を起業。2021年、薬局ビジネスとソーシャルビジネスを組み合わせた新たな薬局として、『株式会社TUMUGU』を起業。処方箋を受け付ける薬局、在宅の患者にも対応する訪問薬局、地域の社会的挑戦を支援し、人の夢や好き同士を繋げる社会課題の窓口と、3つの事業を行っている。SIA2021卒業生。
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2. 取り組んでいる社会課題
地方には、講演会や学生の居場所作り・支援などといった、小さなチャレンジに踏み出すための場所的・人的繋がりを獲得する機会が乏しい。やりたい事がある時にインフラ整備が整っていなかったり、相談出来る人や場所、受け入れる環境がないことが多い。
また、薬剤師や薬局の仕事は閉鎖的で、他職種と連携が十分に取れていない。ロボットやAIの発達によって薬剤師の仕事がなくなりかねない。さらに、地方によっては、医療者の数が少なく、医療資源も少ない上に高齢化が進んでいて、インフラも整っていないため病院まで来られない人が増えている。
3. インタビュー:これまでの歩み&今後の展望
『株式会社TUMUGU』では、「人を、縁を、想いを、未来を、地域を…"つむぐ"」をモットーに掲げ、宮城県登米市でtumugu薬局という名前の小さな薬局を開いています。お薬の処方箋はもちろん、社会に対して小さなチャレンジをしたい時に相談を持ち込める『tumugu処方箋』という処方箋が用意されている所が大きな特徴です。この処方箋に自身の小さなチャレンジを書いて渡せば、相談者のニーズに合った場所や人と繋げる形で小さなチャレンジを後押ししてくれます。
今回はそんな『株式会社TUMUGU』を立ち上げた創業者の1人、熊坂勇宏さんにこれまでの歩みやこれからの目標などをインタビューさせて頂きました!
Q.薬剤師を志した理由は何ですか?
A.身近な職業だったし、人の役に立ってることが分かりやすい職業だと感じたから。
Q.『株式会社TUMUGU』を起業することが出来た最大の要因は何ですか?
A.完全にパートナー(佐藤さん)の存在だと、即答できます!
Q.実際に事業を行って良かったことと、現在の課題について教えてください。
A.良かったことは外装・内装の見た目の持つ力を実感したこと。課題は人手不足。
Q.今の目標は何ですか?
A.近々の目標はここ(tumugu薬局)で成功すること。その次は仲間を増やしていきたいね。
Q. 大学生に対して何かメッセージをください。
A.アイデアをしっかりアウトプットすることが大切!
4. 編集後記
熊坂さんがお話の中でおっしゃっていた、薬局が持つ大きな価値のお話がとても印象に残っています。
「薬局は病気がなくても行ける唯一の医療機関。年齢にも関係なく行くことが出来て相談もできる場所」
という話をお聞きして、
確かに、薬局という場所が街の中で誰もが気楽に立ち寄る事が出来て、小さな相談ややりたいこと、夢の話が出来る場所、それを受け入れてくれる場所になったら凄く良いなと思いました。
そういう家族でも学校でもない第3の居場所が街の中にあること自体が素晴らしいなと思いましたし、もしそうなったらきっと地域のつながりや人のつながりが今よりも強くなって楽しい街になるんだろうなと思いました。
この取材の中で、自分の中にあった薬局のイメージが「病院の隣で薬を受け取る場所」から「誰でも気軽に人と繋がり、話をすることが出来る場所」へと大きく変わりました。
自宅の近くにもこんな薬局が欲しい...!!
取材・執筆担当:赤川雄哉(東北大学 1年)
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