【Interview】Web3をひらく人々/第1回-③ 株式会社あるやうむ 代表取締役 畠中博晶さん
Web3黎明期のフロントランナーにきく!『Web3をひらく人々』第1回は「NFT×地方創生」事業を展開する株式会社あるやうむ(本社:北海道札幌市 以下、あるやうむ )の畠中博晶さんにお話を伺っています。
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第1回-③ ”おもんない”ならおもしろく!地方スタートアップのマイルストーンに
―畠中さんは東京のご出身ですが、札幌で創業されました。経緯は?
僕は東京の中高一貫校を受験し進学しました。上の中くらいの進学校でしたけれど、学力や育った家庭環境も含めて、ずば抜けている人と、僕を含めそれ以外の人の差をいつも感じていました。先生も最難関校進学を目指す生徒以外にはあまり関心を持っていないように思えたり。ガールフレンドの家に遊びに行くと親御さんに僕の食べ方がなぜだか気に入られず「出禁」を言い渡されたこともあり…きつかったですね(苦笑)。
子供ながらにガラスの天井にぶち当たったような経験を経て、東京を離れ心機一転、関西の大学(京都大学総合人間学部)に進んだんですが、そこでも友人達は卒業すると結局東京の企業に就職して行くんですよ。多くの人が惹かれる経済活動が東京ばかりに集積しているのは本当に“おもんない”と思いました。でもそこをいかに崩していくかが醍醐味だとも思いました。
北海道は地理的にも僕が今まで住んでいた本州と分かれているし、札幌のしがらみのない空気感も気に入りました。シンプルに僕にとって居心地がよいという理由で移住を決め、起業しました。
―あるやうむの社員さんは全員地方に住みフルリモートで勤務されているんですね。意図は?
以前僕自身が、フルリモート制を導入しているJPYC株式会社(本社・東京都千代田区)で働いていました。その時、広島や神戸、札幌の僕など首都圏以外に住む者が東京在住の社員さんを牽引するほど、実務の能力が顕著だったんです。おそらく、地方は東京に比べ情報が少ないからこそ、意識が散漫にならず、仕事に集中できるんですね。でもそれだけに東京に比べると面白い仕事も少ない。そこを踏まえて、ミッションをしっかり共有するとか、物価水準を問わず首都圏同様の給与にするとか、地方に住んでいても物心ゆとりある生活環境とやり甲斐ある仕事の環境を両立できる配慮や条件で雇用できれば、優秀な人材にも地方にいながら大いに実力を発揮してもらえると思いました。
―あるやうむはベンチャーキャピタルの出資を機に地方創生事業に踏み切り拡大されています。その実績を背景に、先日には株式会社KDDI(本社・東京都千代田区)からの出資も決まり業務提携も結ばれています。投資家に地方の新興企業がこれほど注目されることは稀だと伺いました。
たとえば東京大都市圏と札幌都市圏の人口比率は15:1でも、投資を受けている新興企業の比率は1万:31で、東京の1%にも満たないんですよね。それくらい地方は投資家にとって純然な未知の領域です。北海道を含め北日本エリアは特に遅れを取っていますが、僕らは、地方でも不利にならないオンライン上の成長産業に身を置いていることも功を奏しています。新興企業への投資は社会の新陳代謝を上げます。投資家の中には、経済合理性だけではなく、地方のポテンシャルに目を向け地方のスタートアップの必要性を説く方もいらっしゃいますから、それだけに僕らの動向は、投資家にも地方の新興企業にも注目されていると自覚しています。
僕らに注目が集まることで、多くの人に地方の可能性もみせられる。首都圏の競合他社は、僕らなんて容易い存在と思っているかもしれませんが、一つ一つ丁寧によりよいサービスをご提供することに徹し、淡々と市場で競争していきます。
―今後の展望をお聞かせください。
NFTに特化したふるさと納税の自社ポータルサイトの開発をさらに進めインフラを盤石にします。NFTを活用した観光振興事業も同時に展開し、出来得る限りで地方創生事業を推し進めていきたいです。2023年度は前年度の10倍、年商5億円を目標にしています。
僕自身としては、実は事業より起業家と話している方が性に合っているので、この会社を軌道に乗せゆくゆくはEXITし、地方のスタートアップに関わる投資や、または投資に至るまで起業家の面倒をみるような役目を担いたいですね。
NFTの基盤であるブロックチェーンは、従来の中央集権型に頓着しない未来を標榜する地方にこそ有望な先端技術です。「NFT×地方創生」を推進する僕らがそのマイルストーンを示せたらとも思います。面白いことが首都圏にばかり集中する“おもんない”現状を力に変えて、痛快に臨んでいきたいです。
※NFT
記録の改変、改ざんが極めて困難なブロックチェーン技術によりデジタルデータやコンテンツの唯一無二の価値や真正性、所有権を示すことができる代替不可能な”デジタル証明書"
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