本との出会いはひとそれぞれ 〜『姜尚中の青春読書ノート』〜【11月読書本チャレンジ12】
今日は今までとはかなり趣を変えて、『姜尚中の青春読書ノート』を取り上げます。本棚でしばらく眠っていた本です。
なぜこの本を買ったのか、というと、姜尚中さんご本人にお会いしたことがあるからです。もう数年前の話になりますが、熊本大学での講演を通訳する機会がありました。
それまで「何か政治的な発言をされる文化人」ぐらいの印象しかなく、名前を存じ上げているぐらいだったのですが、実際にお会いしてみるとなんとも気さくな方で通訳との事前打ち合わせにも快く応じてくださいました。そのときの印象が残っていたところに、たまたまこの本を見かけたので買ったのでした。
珍しく、中身をあまり見ないで買った本なので、ここで紹介されている本は全部が興味を持つ本ということではありません。でも熊本で生まれ育った姜尚中氏の見る『三四郎』はなるほど、ととても面白く読むことができました。三四郎は熊本生まれで東京の大学に進学した青年です。見る物聞く物すべてが目新しい田舎者としてその生活が描かれている話ですが、そこが姜尚中氏には思うところがあるのですね。
福岡に生まれて今は大分に住む私も、仕事で東京に3年弱ほど住んだことがあります。アンチ巨人の家に生まれたせいもあり、どうも自分は「反・東京」意識が強い傾向にあるようで、第1章では妙に親近感を覚えてしまいました。『三四郎』も完読していない小説です。これはまた読むモチベーションになりましたね。
「本棚を見ればその人が分かる」という話も聞いたことがあります。そうすれば基本乱読の徒である私などは混乱の極み、でしょうか? いずれにしても本との出会いは人と同じく、一期一会。これからもいろいろな本と出会いたいものです。
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