くどうようこ@本好きの日英同時通訳者

現役の同時通訳者で大の本好き。 現在は京都芸術大学大学院通信課程で文芸専攻クリティカル…

くどうようこ@本好きの日英同時通訳者

現役の同時通訳者で大の本好き。 現在は京都芸術大学大学院通信課程で文芸専攻クリティカルライティングゼミに在籍中。 通訳や英語のこと、読んだ本のレビュー、掲載されたライティングの記事などもろもろ紹介します。 瞬読のトレーナーもやってます😃

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最近の記事

古代ギリシャ以来の変革の時が今らしい〜『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』〜【9月実用書チャレンジ19】

さて。 本日で9月実用書チャレンジ最後です。今日は『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』を取り上げます。 本書は今月のチャレンジで3日に分けて読んだ『プルーストとイカ』の続編です。 人はどうやって字を読む能力を手に入れ使いこなしているのか、が書かれていたのが前著でしたが、本書ではまさに今私たちが直面しているデジタル時代の読み方についての考察が書かれている本です。 「スマホは脳にとって害だ」とデジタル絶対反対でもなく、「紙

    • 頭は使えば使うほどよくなる〜『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』〜【9月実用書チャレンジ17、18】

      今日の本は、たくさんのことを学ばせてもらっている脳内科医・加藤俊徳先生の『一生頭がよくなり続けるすごい脳の使い方』です。青がモチーフの最初の本は2022年11月の出版。もう2年近く前ですね。そしてその続編『もっとすごい脳の使い方』が出たのが今年の5月のことでした。 印象的な表紙なので、書店で見かけたことがある方もいるのでは? 今でも平積みで置いてある書店がありますよ。 まず、前提として私たちの脳のピークは40歳後半から50歳代であり、死ぬまで脳は成長することができる、とい

      • 小さなことのつみ重ねが大きくなる〜『「できない」を「できる」に変える 大谷翔平の思考法』〜【9月実用書チャレンジ16】

        今日は話題の大谷翔平選手の話です。 まさに本日、2024年9月20日に「50−50」で話題になっていますね。まだまだ大記録を打ち立てた大谷選手、その頭の中はいったい……? この本は臨床スポーツ心理学者として長年さまざまなプロアスリートを見てきた著者が大谷選手の言動からその思考法を抜き出し、成功方程式を読み解いた本です。大谷選手の偉業だけ見ると、「彼は天才だから」で済ませたくなるのが自分も含めた凡人の悲しいところです。しかし、体格に恵まれているから、野球の才能があったから、と

        • トラに惹かれて買ってみれば〜『あした死ぬかもよ? 人生最後の日に笑って死ねる27の質問』〜【9月実用書チャレンジ15】

          今日は昨日に引き続き、最近手元にきた、ひすいこたろう本です。 この本は限定カバーVerなんですよ。で、完全にジャケ買い……もともとはこういう装丁でした。 いえね、もちろん内容を考えるとこれでいいんですよ。ただ、私はトラに惹かれたってだけです。ベストセラーとは聞いていたので、この際買うことにしました。 この本を開くと初っぱなから……死にます。というか、死ぬときの瞬間を考えてから、本書の質問に答えるという形になっています。「後悔しないように生きよう」とか「人間いつ死ぬか分か

        古代ギリシャ以来の変革の時が今らしい〜『デジタルで読む脳 X 紙の本で読む脳 :「深い読み」ができるバイリテラシー脳を育てる』〜【9月実用書チャレンジ19】

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        • 9月実用書チャレンジ
          20本
        • 英語のあれこれ
          19本
        • 2024夏休み新書チャレンジ
          23本

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          幕末の歴史も違うレンズを通して見れば〜『人生最後の日に ガッツポーズして死ねる たったひとつの生き方』〜【9月実用書チャレンジ14】

          今日は、自己啓発系の本になりますか、ひすいこたろうの『人生最後の日に ガッツポーズして死ねる たったひとつの生き方』です。 この本で出てくるのは、 吉田松陰 高杉晋作 野村望東尼 ジョン万次郎 坂本龍馬 幕末の歴史に詳しい人ならともかく、この中で「野村望東尼」の名前は知らなかったという人も多いのでは、と思います。どうですか? 私は名前は知っていました。が、幕末の志士に関係のあった人とはつゆ知らず……お恥ずかしい限りです。 それなのになぜ名前は知っていたかというと、福岡

          幕末の歴史も違うレンズを通して見れば〜『人生最後の日に ガッツポーズして死ねる たったひとつの生き方』〜【9月実用書チャレンジ14】

          食べ物、ではなくて飲み物の大切さ〜『なぜ、一流は飲み物にこだわるのか?』〜【9月実用書チャレンジ13】

          今日は一転違うトピック、飲み物についてです。 「やっぱり休憩のときにコーヒーがなくっちゃ!」というコーヒー党の方、いやいや私は紅茶、という人もいますね。コーヒー飲み過ぎるとカフェイン摂りすぎというけど、いったいどのぐらい含まれているの、緑茶や紅茶はどうなの、ってあらためて問われると、自分はどうだろうって気になりませんか? 本書では飲み物でパフォーマンスを上げるにはどうしたらよいか、またこういう状況のときはどんな飲み物を飲めばよいか、ということがかなり細かく書かれています。

          食べ物、ではなくて飲み物の大切さ〜『なぜ、一流は飲み物にこだわるのか?』〜【9月実用書チャレンジ13】

          脳もワークアウトするべし!〜『BRAIN WORKOUT ブレイン・ワークアウト』〜【9月実用書チャレンジ12】

          今日は、『BRAIN WORKOUT ブレイン・ワークアウト』です。しばらく他の本と並行して読んでいましたが、読み終わったので取り上げます。確か8月の終わり頃だったでしょうか、今日のKindle本お買い得情報のメルマガに紹介されていたところを即買いです。 「脳科学」「AI」「知的生産性」「読書」「認知」という感じの言葉が近ごろ私の大好物となっておりまして、そのすべてに関係しているという自分の興味に99%マッチした内容でした。 まずは脳の機能について。「運動すれば頭がよくな

          脳もワークアウトするべし!〜『BRAIN WORKOUT ブレイン・ワークアウト』〜【9月実用書チャレンジ12】

          言葉には世界を動かす力がある〜『世界を動かした名演説』〜【9月実用書チャレンジ11】

          昨日の予告通り、今日は『世界を動かした名演説』です。パックンことパトリック・ハーランと池上彰の共著です。新書とはいえ、全281ページでかなりボリュームのある本です。 すべてパックンと池上さんの対話で演説が解説されています。パックンの英語ネイティブの語感、そして池上さんの国際政治に長年関わってきたジャーナリストとしての知識と感覚で演説当時の状況がよく分かる内容になっています。戦後現代史のおさらいとしてもよい本だと思います。 最初のチャーチルの演説を音読してみて思いました。

          言葉には世界を動かす力がある〜『世界を動かした名演説』〜【9月実用書チャレンジ11】

          問題は話す中身だ!〜『話し方は3割』〜【9月実用書チャレンジ10】

          松本和也、と聞いてパッと誰かと分かる人、どのぐらいいるんだろうか? 表紙の上の方にある通り、元NHKの松本アナです。 私がなぜそんなに覚えているかというと、2003年からNHKで放送していた英語番組「英語でしゃべらナイト」に出ていたから、なのです。パックンことパトリック・ハーラン、釈由美子、そしてこの松本アナがレギュラー陣のこの番組、かなり面白かった! 松本アナも釈由美子も最初は英語が得意という訳でもなく、体当たりな感じで有名人にインタビューしたり、そしてパックンがいろいろ

          問題は話す中身だ!〜『話し方は3割』〜【9月実用書チャレンジ10】

          pumpkin spiceとは?【英語のあれこれ4】

          あなたは本を読みますか? それとも聴きますか? 最近、日本のAmazonでは、毎月定額1500円で聴き放題となっていますが、アメリカのAmazon.comでのaudibleは毎月いくつかのクレジットをもらってその数だけダウンロードできるようになっています。 日本のAmazonでも英語の本も購入できるし、audibleも聴き放題の対象のものもありますが、やはり数は少ない。ということで私はアメリカのAmazon.comの方も契約しています。 すると、毎週何回もメルマガが来る

          pumpkin spiceとは?【英語のあれこれ4】

          スペックは同じでもモデルが違う?〜『夫のトリセツ』〜【9月実用書チャレンジ12日目】

          ちょっとヘビーな内容を読んでいたので、ここでまた閑話休題、友人がすごくハマっているという「トリセツ」シリーズを読んでみました。いえ、実は読んだのではなく、聴いたのですけどね。 何の気なしに『夫のトリセツ』から始めたのですが、『妻のトリセツ』の方が先だったようですね。 この2冊は同じ講談社+α新書のレーベルですが、これに続く「息子」とか「娘」とか「孫」とかは、違う出版社から出ているようです。 友人がハマるのもこれは分かる! 日常で家族と接するときに思う「んもぉ〜!」という

          スペックは同じでもモデルが違う?〜『夫のトリセツ』〜【9月実用書チャレンジ12日目】

          たくさん読めばそれですべてよいのか?〜『プルーストとイカ』〜【9月実用書チャレンジ9−3】

          今日は『プルーストとイカ』3回目、ディスクレシアとまとめの章です。 ディスクレシア、とは読字障害といわれる、字を読むことになんらかの問題がある状態のことです。しかし、ここまで本書を読んでくると、「あ、そう」と簡単な話ではないのが分かります。なぜかというと、本を読むときに人間の脳が行っていることは、目から入った文字を視覚野で認識して、それが何を意味するのか検索して照合する、という極めて複雑な作業だからです。 ディスクレシア、と一口に言ってもいろいろな症状があるようです。文字

          たくさん読めばそれですべてよいのか?〜『プルーストとイカ』〜【9月実用書チャレンジ9−3】

          読み聞かせは「脳」に効く!〜『プルーストとイカ』〜【9月実用書チャレンジ9−2】

          昨日に引き続き、『プルーストとイカ』を読んでいます。PartⅡはまさに私の知りたいことが書いてある核心のような感じがしています。はたして、どうなるのか? 子どもの頃に親から本の読み聞かせをされると…… 本好きな子になる? 勉強もできる子になる? いろいろいいことあるとは一般的に思われていますが、本書でまず説かれているのは、「認知システム」に大きく影響を与える、ということです。どういうことかというと、字が読めるようになる前にまず、この世界にあるものはすべて名前がある、と学

          読み聞かせは「脳」に効く!〜『プルーストとイカ』〜【9月実用書チャレンジ9−2】

          ヒトはなぜ文字が読めるのか?〜『プルーストとイカ』〜【9月実用書チャレンジ9−1】

          今日は今月読みたいと思っていた本に入りたいと思います。私の中で今、もっともホットなトピックである、「読むこと」と「理解」の話です。 副題の「読書は脳をどのように変えるのか?」というのが私が詳しく知りたいことです。 本好きで活字中毒ということもありますが、やはり同時通訳者として過ごしてきた経験と、コロナ以降始めた「瞬読」で分かったことから文字を読むときに人間の脳ではどういうことが起きているか、ということが気になってしょうがない、脳科学的にどういうことなのか、という疑問が頭を

          ヒトはなぜ文字が読めるのか?〜『プルーストとイカ』〜【9月実用書チャレンジ9−1】

          「いやらしくならないように」〜ChatGPTをネイティブチェック代わりに使う〜【英語のあれこれ3】

          本日仕事で、「いやらしくならないように頑張ります」という発言が出ました。同時通訳だったので、そのときの私は交代で休憩中。わ〜、これどないして訳すねん! と思ったので、一緒にいつも仕事をしているパートナーの通訳者に「どう訳した?」と聞いてみました。 「え、あれ? 困るよねぇ。"assiduously"でなんとかごまかしたよ〜」 彼は日本語が堪能なアメリカ人なのです。 こんな副詞が出てくるなんて、ネイティブの語彙にはやはり敵いません。それどころか、わたし、恥ずかしながらこの単

          「いやらしくならないように」〜ChatGPTをネイティブチェック代わりに使う〜【英語のあれこれ3】

          江戸の世に躍り出たメディア王〜『蔦屋重三郎と江戸文化を創った13人』〜【9月実用書チャレンジ8】

          今日は別の本を、と思っていたのですが、注文しておいたこの本が届いてしまったので、やはり読んでしまいました! もうご存じの方も多いと思いますが、来年のNHK大河ドラマの主人公は、この蔦屋重三郎です。 蔦屋重三郎、通称・蔦重は、江戸時代の「版元」でした。「版元? つまり、今の出版社?」と思いますよね、私もそう思っていました。でも違うんです。「版元」とは、出版社兼書店、兼印刷工房みたいな感じで、そのすべてに通じている存在でした。蔦重は、今の世でも名の知られた喜多川歌麿、葛飾北斎

          江戸の世に躍り出たメディア王〜『蔦屋重三郎と江戸文化を創った13人』〜【9月実用書チャレンジ8】