見出し画像

【中国語講座】またまた数字の話

前々回の記事で「“零”が不思議な動きをする」というようなことを書きましたが、覚えてくださっているでしょうか?

1008000(日本語:百万八千)という数字を中国語で言う時、こんなふうに言うのですね:

一百万零八千
yìbăiwàn líng bāqiān

確かに「1」と「8」の間は桁が2つ飛んでいますが、最初の「100…」のところまでで“一百万”と読むので、そのあとの「8」との間で桁は飛んでいない(「0」が入る余地がない)はずなのに、実際読むときはなぜか“一百万”と“八千”の間に“零”を入れて読むのだそうです。不思議ですねぇ。

まぁネイティブが言うなら仕方ありません。今後の研究課題だなとか思っていたのですが、また先日不思議な体験をしました(苦笑)。

NHKの中国語ニュースで、何の数字だったか忘れましたが、こんな数字が出てきました。

2000905(日本語:二百万九百五)
 
この場合、僕の理解では「200万」と「905」の間に「0」が1つ入って桁が飛んでいるのですから、こう読むと思いました:

二百万零九百零五

この場合は“二百万”と“九百零五”の間であきらかに桁が飛んでいます。千の位がゼロになっていますものね。絶対ここで“零”を読まないといけないよね。。。と思っていたら、実際にはこう読まれていました:

二百万九百零五
èrbăiwàn jiŭbăi líng wŭ

えええええ?そんなばかな~~~!

「1008000」の時は桁が飛んでいないのに“零”を入れたくせに、「2000905」の場合は桁が飛んでいるのに“零”を入れないなんて!!!

ニュース本番が終わってすぐにアナウンサーに聞きに行きました。彼は「1008000」の時に“零”を入れないで読んでいたアナウンサーで、その時も僕は質問したので、彼もまた僕から質問されるだろうと思っていたそうです(笑)。

彼も理由は分からないとしながらも、「もし『905』のところが例えば『965』のように桁の飛んでいない数字だったら“二百万”の後に“零”を入れますが、『905』のところで“零”を言いますからねぇ。」と教えてくれました。まぁ確かに“二百万零九百零五”と読むとリズムが悪い感じがするのは、分かりますけどね。。。

不思議ですが、まぁこれも今後の研究課題としておきます。

あと、もう一つ、へぇっと思うことがありました。これも数字です。

22000(日本語:二万二千)って中国語だとどう読みますか?

ふつう「2万」は“两万liăngwàn”で、「2千」は“两千liăngqiān”ですよね?ですから“两万两千liăngwàn liăngqiān”でいいと思うのですが、例のアナウンサーはこう読んだのです:

两万二千
liăngwàn èrqiān

実はこの現象については僕は聞いたことがありまして、“两liăng”が続く時は2回目を“二èr”にするということがどこぞの本に書いてあったということを、とある読者の方から教えていただいたことがありました。ずいぶん前のことです。でもその時は何人かの中国人に尋ねてみたところみんな“两万两千”と読むとのことだったので、その後忘れていたのですが、“两万二千”と読む人もいるのですね!

しっかりした規則というほどではないようなので、自分が言う時は言いなれたほうでいいと思いますが、何か興味深いですね。やはり言語は奥が深い(笑)。

通訳・翻訳家 伊藤祥雄
1968年生まれ 兵庫県出身
大阪外国語大学 外国語学部 中国語学科卒業、在学中に北京師範大学中文系留学、大阪大学大学院 文学研究科 博士前期課程修了
サイマルアカデミー中国語通訳者養成コース修了
通訳・翻訳業を行うかたわら、中国語講師、NHK国際放送局の中国語放送の番組作成、ナレーションを担当
「文法から学べる中国語」等、著書多数

2021年5月までの記事は弊社の「翻訳コラム」でお読みいただけます。