6、事実の一義性と解釈の多義性に基づく、真実の個数に関する考察
読者諸氏は、芳子やサキエが「モブ」と読んでいる部員がいることにお気づきのことと思う。
先に私は、サキエを支持する部員が主にサキエと同じ一年生であると述べた。
他のものは芳子がサキエ以外の役を外した際、出て行ってしまってそれっきりである。
特に2年生の部員達は、
日頃より、後輩のサキエの花のような美しさと、まごうかたなきスター性を、
痛いほど見せつけられており、これまでも心穏やかならざる日々を過ごしていた。
そこに起きた衣装壊乱事件である。
部長の芳子が大勢に反してサキエの肩