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1年の学びの集大成!10代が自ら立てた"問い"を探究する「My Inspire High Award 2024」全国大会レポート

「My Inspire High Award 2024」は、Inspire Highを通して様々な「問い」に向き合ってきた10代が、1年間の学びの集大成として自身の「問い」を生み出し、探究の成果をアウトプットするイベントです。全国2,400以上の「問い」の中から選ばれた14名がオンラインでプレゼンテーションを行う全国大会が、2月17日(土)に開催されました。本レポートでは当日の様子をお伝えします。


◼️My Inspire High Awardとは?

「My Inspire High Award 2024」では、自分自身の問いを設定し、そのきっかけや、問いについてのリサーチ、ロールモデルの選定などを通して考えを深め、探究の成果をアウトプットしてもらいます。
今回、たくさんの問いの中から選ばれた14名が全国大会に集結し、オンラインでプレゼンを行いました。

また、過去Inspire Highのセッションに登場した2名のガイドと、10代を応援する12社の企業も参加し、それぞれが最もインスピレーションを受けた問いを「ガイド賞」「企業賞」として表彰しました。

■ガイド

■企業

◼️10代の「自分だけの問い」と、ガイド・企業からのフィードバック

今回、全国大会に選出されたのは14名。それぞれが自身の経験や日常生活の中で生まれた疑問から「問い」を生み出し、その「問い」に対する探究の成果を発表してくれました。また、一人一人にガイドや企業からフィードバックが送られました。ここでは10代の発表内容とガイド・企業からのフィードバックの一部をご紹介いたします。

「外国人が日本のテーブルマナーに驚く理由は?」
公文国際学園高等部 角田 恵梨佳さん

海外から来た友人が、日本人の食事の仕方に驚いていたことをきっかけに、この問いを立てた角田さん。各国の食文化とその背景を考察し、「文化や宗教の影響がテーブルマナーとして現れている。違いを受け入れるための相互理解が必要。」と多様性を理解し合うことの重要性を伝えてくれました。また、「テーブルマナーに限らずもっと外国の文化を勉強してみたい。」と更なる探究への可能性を感じさせる言葉で発表を締めくくりました。

◼️Innovator 賞 supported by LION

ライオン株式会社 久樂 英範さんからのフィードバック
「当たり前の日常に視点を置いていたことが、ライオンが掲げている“より良い習慣作りで人々の毎日に貢献する”というパーパスとの親和性を感じました。聞きやすいプレゼンで、資料からも食事が好きなことが伝わってきて素敵でした。」

「正義って存在するの?」
近畿大学附属広島中学校福山校 岡田 秀幸さん

「アニメや漫画に出てくる主人公は、悪役と同じように相手を攻撃しているのになぜ許されるのか」という疑問から今回の問いを立てた岡田さん。身近な人へのインタビューや著名人の言葉から、他人の考える"正義”と自分の考える"正義”に違いがあることに気付きます。「正義に正解はないが、話し合い議論し続けることが大事。それが世界平和に繋がる」と、話し合いの習慣を身につけることの大切さを説いてくれました。

◼️パーソルキャリア賞

パーソルキャリア株式会社 森 宏記さんからのフィードバック
「“正義”という一見疑いようのない価値観を疑う視点が素晴らしかったです。その視点が新しい世の中を作り、社会が変わっていくきっかけになると思います。また、話し合いを解決策としているところも非常に共感できました。」

「本当の『悪者』って何?」
鷗友学園女子中学校 福島 雪乃さん

本や映画に出てくる悪役が完全な悪に見えなかったと語る福島さん。童話『赤ずきん』を例に取り上げ、「狼の行動は生きるための行動。ただ人間目線で話が進んでいくため、人間を食べることが、生きるための行動という考えに繋がらない。」と鋭い視点で物語の構成を指摘しました。ロールモデルに選んだやなせたかしさんの言葉から、「どちらが悪かを決めつけず、行動の理由を考えることが大切」という考えを力強く発表してくれました。

◼️枝優花賞

映画監督 枝 優花さんからのフィードバック
「私自身が普段作品を作る中で大切にしている“人間は多面的”という価値観を、発表のテーマにされていたことに親和性を感じました。誰もが知っている童話を用いて説明することで、とてもわかりやすい発表でした。」

「なぜ、好きなことにいつかは飽きるの?」
鷗友学園女子中学校 大塚 莉子さん

新しい推しができた時、今まで熱中していたものへの興味が薄れていたという実体験から今回の問いを立てた大塚さん。好きなものは突き通すことが大事で、コロコロと変えてしまうのはよくないのでは?と考えていました。
しかし、黒柳徹子さんや江戸川乱歩さんの生き方から「飽きることは悪いことではない。新しい視点を見つけること、飽きる勇気を持つことで新しい世界に飛び出すことができる。」と前向きな答えを見つけてくれました。

◼️PARCO賞

株式会社パルコ 成田 元司さんからのフィードバック
「人は好きという殻に閉じこもりがちだが、そこから飛び出す勇気が大事という考え方が、型にはまらない事業を行うことを目指すパルコとして共感しました。私自身も新たな挑戦をしていきたいと思いました。」

「AIと仲良くなるには?」
日本大学東北高等学校 南梨 夢乃さん

Inspire Highのセッションで家庭用AIロボット「LOVOT」と出会ったことをきっかけに、AIに興味を持った南梨さん。「将来、人間は人工知能に追い越される」というAIを恐れた声に疑問を抱き、今回の問いを立てました。AIにできること・できないことを踏まえ、AIと共存するために人間に必要な能力を調べ、最後に「AIは仕事の効率化のための道具ではなく、苦手な部分をサポートし合うパートナーという考えを世界に広めたい」と提案しました。

◼️LINE MUSIC賞

LINE MUSIC株式会社 田中 大輔さんからのフィードバック
「AIというタイムリーなテーマを取り扱う着眼点と、“AIはパートナー”という表現が素敵でした。業務でAIを使用する中で、指示の重要性を感じており、南梨さんのAIと向き合う考え方に共感しました。」

「老いることは不幸なこと?」
植草学園大学附属高等学校 森 珠貴さん

親族が病気を患い体調が悪化していく姿を見て、今回の問いを立てた森さん。アイヌ民族の「老い」はめでたい祝い事であるという考え方や、知り合いの元介護士の方へのインタビューを通して、自身の高齢者への偏見に気付きました。「老いとともに幸せの価値観は変化する」「今感じられる幸せを大事にすることで、老後の人生に潤いを与えられるのではないか」と森さんにとっての「老い」との向き合い方を見つけてくれました。

◼️ウォンテッドリー賞

ウォンテッドリー株式会社 貴船 桃佳さんからのフィードバック
「ハッピーとは言い難い身の回りの出来事から問いを見つけ、まっすぐ向き合われていることに、森さんの人としての強さを感じました。結論の部分で“老い”に対する新たな視点を与えている点もよかったです。」

「なぜ人は他人と違うところがあってもそれをなかなか誇れないのか?」
明治大学付属中野八王子中学校 宮本 ゆりかさん

2023年、夏の甲子園で慶應義塾高校が優勝。高校球児=坊主という概念を壊した彼らに衝撃を覚えながらも、「そもそもなぜ高校球児は坊主と決められていたのか」「他の違うことを恐れているのでは」という疑問からこの問いを立てた宮本さん。日本に存在する“同調圧力”に言及し「常識を変えていきましょう。そして自分に自信を持ちましょう」と力強いメッセージで発表を締めくくりました。

◼️資生堂賞

SHISEIDO CHINA  三浦 遊さんからのフィードバック
「違いを認め、一人ひとりが誇りを持つ社会は、まさに資生堂が目指しているものです。そういったダイバーシティが実現した社会への情熱を強く感じました。自分自身も常識にとらわれず、世の中を新しい目で見れるような仕事をしていきたいと改めて思いました。」

「世の中の流行はどのようにして生まれるのか」
学校法人聖ドミニコ学園 竹野 はるいさん

学校生活の中で、服や文房具などの流行りに波があることに気づいた竹野さん。「個人的な“好き”という思いを探究する中で生まれた新しい発想や創作が、周囲の共感を呼び、広がることで流行が生まれる。周りの変化を受け入れながら、自分の変わらない芯の部分を持ち続けていきたい」と、探究の中で見つけた竹野さんなりの流行との向き合い方を語ってくれました。

◼️森ビル賞

森ビル株式会社 竹田 真二さんからのフィードバック
「流行を捉えることは、森ビルが行っている“街づくり”にとって重要な要素です。ただ流行を追い続けるのではなく、そこにいる人の価値観や本質を捉えることが大切です。変わらないものを大切にしていきたいという結論に共感しました。」

「Yakushima Islandってなんか変じゃない?」
明秀学園日立高等学校 前田 音葉さん

テレビで「Yakushima Island」という言葉を聞き「島」「Island」と同じ意味の言葉が重複していることに疑問を持った前田さん。表記のルールを調べたり、校正の仕事に着目したり、「言葉」にさまざまな角度で向きあう中で、「言葉は正しい、正しくないと決められるものではなく、わかりやすく伝えるための道具」と、言葉との向き合い方を語ってくれました。

◼️TBS賞

TBSイノベーション・パートナーズ 久保田 千絵さんからのフィードバック
「日常に埋もれがちな、素朴な疑問を深掘りすることは、なかなか難しいこと。また、「正しい、正しくない」と結論づけるのではなく、言葉の“伝える”という目的を理解し、曖昧さを許容するという観点から、自分なりの考えを導き出したことが素晴らしかったです。」

「孤独は敵なのか?」
桜花学園高等学校 堀川 愛可さん

一人でいた際に担任の先生に心配されたことを不思議に思い、今回の問いを立てた堀川さん。孤独について調べるとマイナスな意見が多数を占める一方で、孤独を“自由”と感じる人がいること、また、200万人のフォロワーを持つネイト・ガーナー氏が「200万人のフォロワーがいるけど友達はいない」と語っていたことから、孤独の本質について考えました。
その上で「孤独が辛いと思う人の力になりたい」と孤独を感じる人々のコミュニティーを作ることを提案してくれました。

◼️ルイスロビン敬賞

環境イノベーター ルイスロビン敬さんからのフィードバック
「少し前まで孤独は高齢者の問題と考えられていましたが、現代は若年層の間でも深刻化している大きな社会問題です。コロナ禍で問題が加速し、クリエイティブな解決策が必要という状況の中で、堀川さんの視点とアイデアは素晴らしいと感じました。」

「なぜ議会への関心が低いのか?」
長野県長野西高等学校 片桐 菜々美さん

アメリカの大統領選挙は多くの人が熱狂しているが、日本では同じような熱狂がみられないことに疑問を抱き、今回の問いを立てた片桐さん。日本人が政治に関心が低い理由として「政治に要望が通る気がしない」などの思いがあると考えました。そこで、自身の村で行われている、中学生議会や議会モニターなどの活動に参加した際のエピソードから、国民が政治に興味関心を持つための具体的な提案をしてくれました。

◼️CAMPFIRE賞

株式会社CAMPFIRE 中島 真さんからのフィードバック
「テーマ設定にハッとさせられたと同時に、アイデアも自身の経験をふまえ説得力がありました。私も地方出身ということもあり、10代からもっと故郷に関われていたら、何か違う未来があったかもしれないと考えさせられました。」

「家族とは何か」
星の杜中学校 小倉 ももこさん

兄弟が家を出ることになったことをきっかけに家族の形について考えるようになった小倉さん。母へのインタビューや著名人の言葉から、「家族とは心のつながりがあり、支え合うことのできるもの。ずっと笑顔で幸せでいられる場所」と結論づけました。また、マザーテレサの「世界平和のために何ができるかですって?家に帰って、あなたの家族を愛しなさい。」という言葉から、家族と世界平和の繋がりにも言及しました。

◼️MIXI賞

株式会社MIXI 笠原 健治さんからのフィードバック
「ファミリー向けの事業をしている企業として、親和性を感じました。また、個人的にも生活のベースに家族があるので、家族を大切にするという価値観に共感しました。」

「他者と自分、対立を防ぐには?」
市原中央高等学校 大野 リリさん

人間関係でのトラブルが増えたという実体験から、この問いを立てた大野さん。Inspire Highのセッションを視聴していく中で、両者の意見の食い違いの先に、戦争が起きてしまった事例を知ります。人間関係は、人の命を奪ってしまうことに繋がりかねないにもかかわらず、なぜ学校で教えないのかという新たな問いを立て、「平和学」の導入を提案してくれました。

◼️PR TIMES賞

株式会社PR TIMES 三島 映拓さんからのフィードバック
「実体験から生み出した問いを、世界平和まで発展させて考え、新たな問いを立てた点が素晴らしいです。PRの根幹である、社会との関係性をどのように築いていくかについて日々考える中で、大野さんの考えにとても共感しました。」

「スーパーマーケットで回収されたキャベツ外葉は廃棄されているの?」
公文国際学園高等部 古澤 琴子さん

故郷の山の斜面に巨大な太陽光パネルが設置され、自然豊かな土地が奪われたことに悲しみを覚えたことから、環境問題に注目するようになったという古澤さん。スーパーでキャベツの外葉を捨てるための箱が用意されていることに疑問を抱き、各スーパーでリサーチをしたところ、そのほとんどが廃棄されていることを知ります。廃棄される外葉を利用して和傘を作ることを提案し、「キャベツ和傘を広げ、環境問題への関心を広げる。」と熱意を込めて語ってくれました。

◼️パナソニック Make New Magazine賞

パナソニック株式会社 臼井 重雄さんからのフィードバック
「日常の中に隠れている問題に気づくこと、和傘をつくるというクリエイティブな解決策に落とし込んだこと、そして何よりプレゼンの伝える力、全てが揃ったとっても素晴らしい発表でした。たくさんインスパイアされました!ありがとうございました。」

◼️まとめ

今回の「My Inspire High Award 2024」では多様な視点の問いがたくさん生まれました。
始めに立てた問いから更に新たな問いを生み出したり、「もっとこの分野について調べたい」と語ってくれたりと、更なる探究心が生まれる様子が見られました。
また、多様な仕事に取り組む大人から直接フィードバックをもらうという経験が、大きな自信になったのではないでしょうか。
Inspire Highはこれからも、「答えのない問い」に向き合い続ける10代の探究心を応援し続けます。

「My Inspire High Award 2024」全国大会

◼️参加協力校紹介(順不同)

  • 公文国際学園高等部

  • 近畿大学附属広島中学校福山校

  • 専修学校クラーク高等学院大阪梅田校

  • 御殿場西高等学校

  • 日本大学東北高等学校

  • 兵庫県立兵庫高等学校

  • 安田女子高等学校

  • 明秀学園日立高等学校

  • 綾羽高等学校

  • 桜花学園高等学校

  • 墨田区立錦糸中学校

  • 女子聖学院高等学校

  • 総社市立昭和中学校

  • 東京女子学院高等学校

  • 西武台高等学校

  • 盛岡白百合学園高等学校

  • 明治大学中野八王子中学高等学校

  • 長野県松本美須々ケ丘高等学校

  • 植草学園大学附属高等学校

  • 西武台千葉高等学校

  • 東京学館高等学校

  • 鷗友学園女子中学高等学校