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オーバーサイズの時代は終わった…から何?[ファッションリベラルアーツvol.16]

2010年代半ばから一大トレンドとして注目を集めるようになった“オーバーサイズ(ビッグシルエット)”のファッション
2010年代までは細身のシルエットが主流だったものの、現在ではすっかり「ゆったりとしたスタイル」が定番のひとつになっています。
タイトなシルエット(〜2010年代前半)➡︎ビッグシルエット(2010年代半ば〜)というトレンドの教科書の1ページ目に載っているようなわかりやすい変化がこの頃に起きていたわけです。

しかしここ数年、こんな記事やサムネイルを頻繁に見かけます。
「オーバーサイズのトレンド終焉」「ビッグシルエット、オワコン。」「ゆるいシルエットは時代遅れ」etc…。

これらの中身を確認すると、その語り口はほとんど共通しています。
“オーバーサイズ(ビッグシルエット)”がトレンドとして目新しさを有していた2015〜2020年頃までは、ファッションに関心がある人だけを中心に受け入れられていたものの、徐々にファッションに興味のない層にまで“オーバーサイズ”が波及したことで「ネクストトレンド」への移行が始まっていくのではないか(現にはじまっている)という主張です。
ごもっとも。詰まるところ、賞味期限が切れ始めているのです。

以前、こちらの記事で図解した通り、オシャレの基本構造は「少数派であるからオシャレ」であり、オシャレという状況は相対評価の中で生じるものです。よって、オシャレの最先端である“トレンド”という概念が多数派に受け入れられることは、その構造からしてあり得ません。

サンローラン 2014年春夏(左) バレンシアガ 2024年春(右)

間違いなく、
タイトなシルエット(〜2010年代前半)➡︎ビッグシルエット(2010年代半ば〜)に続く、次の流れはタイトなシルエットへの移行になるでしょう。

ただ、これはあくまでトレンドという自分から切り離された外側の話です。
「オーバーサイズのトレンドが終わるか否か、あるいはいつ頃終わりを迎えるのか」ということよりも、もっと優先的に目を向けていただきたいことは「自分がオーバーサイズの服を着たいか否か」です。

ヴェトモン 2024年春夏(左2枚) メゾン ミハラヤスヒロ 2024-25年秋冬(右2枚)

これは巷で「オーバーサイズがオワコンだ」と騒がれ始めてしばらく経過した2024年のコレクション写真です。
どちらもファッション界の第一線で活躍するブランドが提案しているアイテムですが、これを“オーバーサイズ(ビッグシルエット)”と呼ばずして、なんと呼ぶでしょう。
それどころか従来のビッグシルエットを優に越す、超ビッグシルエット。

両ブランドはトレンドの流れに迎合することなく、独自の哲学を持ってファッションを提案しているのです。
その姿勢といえば「オーバーサイズの時代が終わった?だから何?」と言わんばかり。

あなたの哲学は何を着たいと言っているのか


この記事は「トレンドに屈して頑固であれ!」と言いたいわけではありません。
しかし、トレンドという外縁にばかり気を取られ、自分自身が純粋に着たいものを楽しめないのでは、それってファッションと呼べるのでしょうか?
トレンド予想もいいですが、その時々で着たいと思ったものを、気を衒うことなく着ればいいと思います。

「社会のトレンド」も大事ですが、それ以前に「自分のトレンド」にも敏感でいることを忘れないように。
ということで今日もわたしは、オーバーサイズの服を着て出かけます。


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⬆︎男女問わず「コンセプトづくり」は自分らしいファッションに出会うツールとして最適です。


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