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シュプリーム×マルジェラから考える。コラボカルチャーの最終局面。
2024年3月25日、supremeとMM6 Maison Margielaのコラボが正式に発表され巷を騒がせた。
本記事を執筆時点(3/27)では、発売こそされていないものの、事前の盛り上がりを見れば即完売間違いなしのコラボレーション。ラインナップを見ても両ブランドの色を残しながらの見事な融合といえる。
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当ブログは流行りのファッション情報を取り上げることを好まないが、今回の記事ではシュプリーム×MM6のコラボレーションが意味すること、また、今後ファッション業界におけるコラボレーションはどのようになっていくのかをあくまで大局的に考えていきたい。
※他の情報発信をされている方のようにコラボレーションの内容やアイテムに関する詳細な解説・レビューは取り扱わない。
前代未聞ともいえるコラボ。ついにマルジェラは、シュプリームと融合を見せる。
マルジェラの中でも「女性のための衣服」を提案するディフュージョンラインであるMM6。
ここ数シーズンのコレクションを見ていると、メゾンマルジェラの本ライン以上にマルタン本人期のデザインを強く感じさせる。
本ラインのガリアーノ色が強まる中、MM6のラインでは、マルタン時代のアーカイブからの引用やマルタン期のエルメスのデザインからの要素をうかがうことができることもあり、近年人気を博している。
だからどうというわけではないが…。
そんな中、今回のコラボレーションでは“メゾンマルジェラ”の名前ではなく“あくまでMM6メゾンマルジェラ”とのコラボ。
たしかに、振り返れば、SalomonやEASTPAK、THE NORTH FACE、CHENPENGなど話題のコラボレーションはメゾンマルジェラではなく、MM6メゾンマルジェラ名義ということがほとんど。
何かしらの棲み分けがあるのでしょうか。(ご存知の方、教えてください)
今回は、このMM6とのコラボだからこそ、かつてマルタンが残した偉大なデザイン・アイテムをふんだんに引用した内容になっていましたのかもしれません。
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しかし、この記事の本旨はここではありません。
シュプリーム×マルジェラのアイテムがどうこうという表層部分ではなく、そもそも、このコラボレーションがなされたという外枠の部分について言及していきたいと思っています。
先にお断りしておきますが、このコラボに否定的でもなければ、両ブランドに強い思い入れのある愛好家でもありません。
シュプリームとマルジェラ。水と油を混和させたのは誰か。
マルタン・マルジェラがデザイナーを務めていた頃のマルジェラは極めてクラシックで硬派な印象があった。当然、その中にマルジェラらしいアバンギャルド(というよりもエッジの効いた)なアプローチが加えられているわけだが。
マルタンの哲学性が現れた有名なエピソードがある。
以下は、マルタン本人が当時デザイナーを務めていた際を振り返って語ったものだ。
『服を買いにくるお客さんがタグを見て「あの誰それが作った服!!」と盛り上がるそんな時代。その風潮が嫌でたまらなかった。だから、四隅を縫い留めた真っ白いタグにした。』
百歩譲っても、BOXロゴで有名なシュプリームとは相容れない考え方がメゾンマルジェラの根底にあるように思える。
かつてシュプリームが敢行したビッグネームとのコラボレーション。
それも誰もが想像し得なかったコラボレーションがもう一つある。
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2017年「supreme × Louis Vuitton」コラボレーションだ。
ストリートとラグジュアリーの融合。これまで全く違う文脈で語られていた両者がコラボを実現したことでラグジュアリーストリートの時代に追い風が吹くことになる。
しかし、このコラボレーションは予想し得なかった一方で、同時に納得感のあるものだった。
それは当時、ルイヴィトンのメンズアーティスティックディレクターを務めたキム・ジョーンズの存在があったからだ。
キム・ジョーンズは“ハイファッションとストリートを融合するメンズ界の異才(ファッションスナップより)”と称されているデザイナー。
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現在のディオールのコレクションを見れば、これ以上説明には及ばない。
つまるところ、「シュプリームとルイヴィトン」という「水と油」を混和させるためにキム・ジョーンズが界面活性剤的な働きを見せたわけだ。
本来混ざり合わないものを仲介する人物の存在が、前代未聞のコラボレーションを実現していた2017年。
そして、2024年。あのコラボから7年。
随分とファッション業界のコラボレーションがやり尽くされてきた昨今。
一体何が、supreme × MM6 Maison Margielaを実現させたのだろうか。
当然、明確な答えなどわからないが一つだけ確かなことは、我々消費者のコラボレーションに対する雰囲気がかなり変わってきたということがある。
ある意味でコラボレーションに麻痺してきている。
やや批判的に捉えれば、お互いのアイコンをTシャツにプリントしただけのものを“コラボ”としてしまう感覚が根付いている。
裏原宿が育てたコラボカルチャーは「1からアイテムを作るよりも、既にいいものにエッセンスを加えてアレンジすること」で価値をうむものだったはずなのだが。
数々のブランドがリリースするコラボの洗礼を受けた我々消費者にとって、supreme30周年にふわしいポストに残っていたブランドがもはや、マルジェラほどのビッグネームしかいなかったのではないか。
言い換えれば、コラボカルチャーの最終局面が迫っているのではないか。
シュプリームとマルジェラは混ざり合わず、鮮やかなマーブリングを見せた。
少々トゲのある言い方をしてしまったが「お互いのアイコンをTシャツにプリントするだけ」の下手なコラボは例えるなら、絵の具で色を作ろうとするようなもの。
赤と青を適量ずつ混ぜれば、綺麗な紫色になるが、どちらかの要素が多寡になれば汚い紫色になる。下手をすれば黒っぽくなる。
そもそも、二つの要素を混ぜて、全く別の要素を作ろうとする試みになんの意味があるのか。
ブランドのロゴを並べただけでは、喧嘩して綺麗な色を織り成すはずがない。
一方で、今回のシュプリームとマルジェラのコラボは互いの色を混ざり合わせようとはせず、あくまで互いの色をそのまま生かした。
言うなれば、マーブリングのようなもの。
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赤と青をそのまま見せることで鮮やかなコラボレーションになっているように思える。
今後もファッション業界における“コラボレーション”の波は収まることを知らないだろう。
何せ、ファッションはあらゆる表現がやり尽くされた世界なのだから。
しかし、見事なマーブリングを描く今回のようなコラボには、今後も期待したい。
まずは、ストリートの王とファッション界の異端児のコラボを静かに見守る。
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