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【考察:国際政治】日本のやり方──国民の意識を逸らす方法と、日本独特の外交的手腕。

 2023年5月19日(金)。21時33分。広島サミットが開催された日。

 こんにちは。井上和音です。

 毎日書いていると、実は書いてはいけないこともたくさん書いているのではと不安になることが多いですし、今も不安に思っています。少し前までは「自分は有名になることは無いから何を書いても良い」という心持ち、ないしは勢いで書いていたような気がするのですが、何か私にプライドでも起こったのでしょうか。それとも、一人の人間として当たり前の心持ちを持つことが出来るようになったのでしょうか。成った、というか、戻った、のほうが心持ちとしては正しいような気がします。要は空気を読むようになりました。「これは言っていいのか悪いのか」「求められているものは何なのか」とか考えるようになりました。

 多分、考えるようになったのはセパゾン錠を飲むのを減らしたことです。原因はそこにあり、自己中心的な考え方が少なくなってきました。実はここ最近では電車に乗ったときに優先席に座ることが無くなってきました。倫理観が高くなったわけではなくて、少し前までは帰りの電車の中ではもうふらふらで倒れる寸前の毎日を過ごしていたのですが、セパゾン錠を減らしてからは倒れることなくじっと電車の中で立ち続けることが出来るようになってきました。優先席に座っていた過去の自分を保身したいだけではないかと思われますが、そうかもしれません。ただの保身なのかもしれません。ただ、行動が出来ることは今だけなので、今、現在の状況、体調では、優先席に座るほど体力が無くなった日々ではないと、ただそれだけですね。

 書きたいことを書いてもいいでしょうか。

 「いいですよ。こんにちは。年賀いやがらせです。略してこんらせです」

 書きたいことを書くと、今日から広島サミットが開催されたらしいです。最近は時事ネタについて特に情報を集めているわけでもないし、なぜか興味も薄れてきています。どうしてええ、という感じですが。これもまた数ミリグラムの薬で変わってしまうような感情の変化の一つに過ぎないのでしょうか。

 さらっと広島サミットが始まり、無事にアメリカのバイデン大統領も訪日し、キャデラック・ワンも広島の街中を走ることが出来てめでたしめでたしという感じですね。デフォルトの問題で「オンラインで参加するかもしれない」とバイデン大統領が言っていた不安もなんのその。なんの力が働いたかは分かりませんが、日本にとって最高の形で広島サミットを迎えることが出来ました。

 政治的な報道は広島サミットで持ち切りの中で、しれっと防衛費増額の財源を巡る法案が衆議院財務金融委員会で可決されていたりして。増税が前提になっていると野党は日本維新の会も立憲民主党も一致団結して反対していたらしいですが、普通に通過しNHKnews7でも小さな時間の枠で報道されました。このビックイベントに対して、国にとって不都合な法案なり謝罪なりをぶつけて国民の視線を逸らせるやり方は自民党政権だけではなく、かつての民主党政権でもありました。東日本大震災に対する民主党政権の政治判断が遅かったと謝罪が始まったのが、18:00頃。その後、島田しまだ紳助しんすけさんが暴力団との関りがあったとして、涙の引退会見が始まったのが、19:00から。番組の報道は一斉に島田紳助さんの引退会見に放送が切り替わり、当時の民主党政権の謝罪の報道は国民の意識から消え去っていきました。

 こうやって、ビックイベントに不都合な真実をぶつけるという報道を見たのは二度目ですが、民主党政権であろうと自民党政権であろうと同じやり方をやっているので総合してみると「これが日本のやり方」とまとめることが出来るのかなあと思います。良いも悪いも非難しているわけでも賛同しているわけでもありません。ただこれが日本の国民から不都合な事実に対して目を逸らすやり方なのだなあと思っただけです。

 もう一つ、「これが日本のやり方だなあ」と気が付いたのは、G7、主要国首脳会議そのものなのです。例えば中国の外交のやり方などは、最近では発展途上国のインフラを整えるという援助の目的で開発を行う代わりに多額の債務を負わせる。発展途上国の政府とは関係ない国民は、インフラを整えてくれた中国に感謝し国民の貧しい層は「中国は良い国だ」と思わせます。するとどうなるかと言うと、民主的な選挙でも中国寄りの政治家に投票が集まることになり、結果として国家権力自体が中国寄りの発展途上国が出来上がります。いわゆる「債務さいむの罠」とか言われる過剰なインフラ整備も、発展途上国は馬鹿だから「債務の罠」に引っ掛かると言われているのかいないのかは分かりませんが、馬鹿だから返せない債務を抱え込むのではなくて、国民からの支持が得られなくなり自身の政治生命が絶たれてしまうから仕方なく債務を抱え込んで自分の政権を維持しようと考えます。

 要は、中国は赤の他人を無理やり巻き込んで自国の権威や権力の影響力を高めていこうとしていきます。

 例えばアメリカなどはどうかと言われれば、発展途上国に対して「支援」という名目で米軍基地を造らせて、反政府組織に対抗できる軍事力を発展途上国に与えて世界の警察としてパックス・アメリカーナを創り上げていきました。第二次世界大戦以降はアメリカ軍を他国に派遣しなかった大統領は歴史上いません。世界の交通の要衝には常にアメリカ軍が駐留しており、石油が重要視された時代には中東にも手を伸ばし、反アメリカ的な政治を行う主導者は容赦なく政権が転覆されていきました。別にこの戦略に良いも悪いもないかと思います。現にアメリカ軍がいきなり撤退してしまったアフガニスタンではタリバンが政権を握り女性は教育が受けられなくなり、国民の職も次々と無くなっていきました。アメリカ軍が居たほうが良かったのか悪かったのか、それはアフガニスタン国内の立場の違いによって見方は変わるし、他国から見たら変わるし、親米なのかどうかでも変わるし。良いとか悪いとかの判断は一人の人間では出来ません。

 日本に話を戻すと、「これが日本のやり方か」と今回の広島サミットで思ったのは「日本が主体で始めて、日本が策定した計画を行い、他国に対しては『日本にとにかく付いて来い』」という外交のやり方が日本のやり方なのかなと思い始めました。例えば、サミットの議決案の骨子はサミットが始まる前からもう既に官僚や政治家によってまとめらています。「じゃあサミットでは一体何の話をするんだ」と思えば、特にサミットで話し合われた会議の内容は報道では出て来ません。NHKnews7では一時間の枠を取っておきながら「議題」しか報道せず、表面上の情報をのらりくらりと流すだけです。会議の内容はどうだったかは特に重要視されず、《《会議が行われたそのもの》》を大事にする日本の形式美を優先する独特な文化がよく出ているかと思われます。会議の結果出される宣言文はもう決められているので、欧米の文化の視点からしたら「私たちは一体何のために集まっているのか」と疑問を持たれそうですが、日本が主導となった場合の外交の特徴として「いいから黙って策定した計画通りに話を進めていってください。この骨子案で行けば誰も損はしないでしょう」といった感じなので、日本としてはそれで良いのです。

 要は、黙って俺に付いて来いが日本のやり方です。良いも悪いもありませんし、格好良いような気もします。黙って俺に付いて来いで、原爆資料館や平和公園にG7の首脳らを全員参加させたのは日本の官僚たちの策定した計画が全て上手く行った、歴史に刻まれる完璧な手腕だったと思われます。ゼレンスキー大統領も来ますね。日本の強固なリーダーシップにあらゆる国々が付いて来る、そんな日がやって来ているのかもしれませんね。

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