瀬那祈

主に幻想小説を書きます。読むほうはジャンルを問わない雑食で、読んだ本の感想などを気が向…

瀬那祈

主に幻想小説を書きます。読むほうはジャンルを問わない雑食で、読んだ本の感想などを気が向いたときに書き散らかしています。来栖翠という名前でも小説を書いております。 https://mypage.syosetu.com/2082642/

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自己紹介:瀬那祈と申します。

※2021/10/10リンク先等修正しました。  自作の小説の宣伝や読んだ本の感想などをいくつも書いておきながら、自己紹介らしいことを何もしていなかったことに気づきましたので、遅ればせながらこの記事を書かせていただきます。  瀬那祈と申します。小説を書いております。小説投稿サイトに投稿を始めました。来栖翠という名義でも活動をしております。 カクヨム(来栖翠名義)      : https://kakuyomu.jp/users/m_quzuki 小説家になろう(瀬那祈

    • 2022年1月2日:年が明けて

       あけましておめでとうございます。  この4月に名古屋へ引っ越したのがついこの間のように思われますが、お雑煮のお餅を食べながら、年が明けたのだなとしみじみ感じています。  昨年は新しい土地に移り住んだこともあり、けっこう大変な一年でした。でも、新しい出会いもたくさんあって、終わってみると良い一年だったとも思います。日々を生きていると、いまこの瞬間がいちばん辛いのだと思いがちなので、本当に良い時間だったかどうかはいつも過ぎ去ってみないとわからないものですね。  今年は物語

      • 似て非なるもの:倉橋由美子著『合成美女』

         街も秋めいて、朝晩などはいくぶん涼しくなってきました。  晩に窓を開けて涼んでいると、『蚊帳出づる地獄の顔に秋の風』という加藤楸邨の句を思い出します。これは男と女の織り成す地獄ですが、秋の涼しさがあれば地獄もまた住み易しといったところでしょうか。  とはいえ、できることなら地獄とは無縁の日々を送りたいものです。  ほかにも秋といえば、芸術の秋、スポーツの秋、食欲の秋などあげればきりがありませんが、やはり本好きの私としては読書の秋が欠かせません。  今回ご紹介するのは、

        • コンビニで下着と歯ブラシを買ってひとの家のパジャマを着て寝る

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        • 本についての所感
          9本
        • 日記
          2本

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          救済の形:ジュリアン・グリーン著『モイラ』を読んで

           久しぶりにこちらへ投稿します。  実は本州に住まいを移しました。北の大地とは対照的な、残暑激しい土地と、そこに根付く独特な文化に戸惑いながらも何とかやっています。  不便で仕方なかった雪ももう見られないと思うと名残惜しくなるように、日盛りにアスファルトの溶けるにおいも、いつかは好もしいものに変わっていくことでしょう。  更新があいてしまったのは忙しかったからというのもありますが、小説を書いていたためです。  こちらでは瀬那祈という名前で活動しておりますが、来栖翠という

          救済の形:ジュリアン・グリーン著『モイラ』を読んで

          『エテルノ』第十一話を掲載しました。

          『エテルノ』第十一話 本日掲載しました。 《あらすじ》 大樹の洞で目覚めた猟師ルカは、名前以外の記憶をすべて失っていた。暗い森を彷徨い行き倒れた彼はアキノと名乗る女性に助けられ、森の外れにある彼女の屋敷で暮らすことになる。アキノは以前狼に襲われそうになったところをルカに助けて貰ったことがあり、彼に単なる恩人以上の感情を抱いていた。またルカも次第にアキノに惹かれてゆくのだったが、彼女はある悲しい秘密を隠していた――

          『エテルノ』第十一話を掲載しました。

          エスカレーターに乗れない人々

           新しい年が明けた。  星がいつもどおり運行して、明日が今日に変わっただけなのに、そこに一月一日という名前がつけられるだけで世界そのものが変わってしまったかのな錯覚をおぼえる。  そういう心持ちでいると、自分自身にも何らかの変化を求めたくなるもので、どうせ長くは続かないとわかっていても新しいことに挑戦してみたくなる。そこで新年早々、新しいことを始めてみた。  といっても、大それたことではない。巷で話題の『鬼滅の刃』のアニメを観たというだけのことである。  私はもともと

          エスカレーターに乗れない人々

          あけましておめでとうございます。今年も昨年と変わらず、書き続け、読み続ける年になると思います。私のつくりあげたものが、誰かの心に届くことを願って。よろしくお願いします。

          あけましておめでとうございます。今年も昨年と変わらず、書き続け、読み続ける年になると思います。私のつくりあげたものが、誰かの心に届くことを願って。よろしくお願いします。

          特別な物語:ディーリア・オーエンズ著『ザリガニの鳴くところ』を読んで

           この時期になると、一年の振り返りをしたくなります。  特に振り返りたくなることが多い一年でしたが、それはさておくとして、読書のほうでも今年読んだ本のなかで印象に残ったものを読み返すようにしています。  今回読み返したのは、ディーリア・オーエンズ氏の『ザリガニの鳴くところ』です。  本作は帯にあるとおり2019年にアメリカで最も売れた本であり、読んだことはなくとも名前は知っている、という方もいらっしゃるのではないでしょうか。  著者のディーリア・オーエンズ氏は動物学者で

          特別な物語:ディーリア・オーエンズ著『ザリガニの鳴くところ』を読んで

          狭間にあるもの:梨木香歩著『炉辺の風おと』を読んで

           仕事で遠出しなくてはならず、吹雪のなかを片道四時間もかけて車で走ってきました。ホワイトアウトのなかを走るのは初めてではありませんが、緊張のために胃が痛くなります。眼前に雪の幕が下ろされ、一寸先も覗くことができないおそろしさ。とても慣れるものではありません。  幸い事故もなく帰ってくることができ、日課となっている読書をしながら、こうやって穏やかな気持ちで本を読めることのいかに素晴らしいことかを噛み締めています。  ちょうど読み終わった本があります。梨木香歩氏の『炉辺の風おと

          狭間にあるもの:梨木香歩著『炉辺の風おと』を読んで

          封鎖されたのは:張愛玲著『傾城の恋 / 封鎖』を読んで

           北国に住んでいるのですが、今年はいつもと違う冬です。  雪の多い地域では根雪という言葉がよく使われます。降ってすぐ融ける雪とは違って、春まで融け残る雪のことなのですが、いつもは十一月のうちに根雪を見るはずが、今年は十二月に入っても舗道のアスファルトが露わになったままでした。  コロナウイルスのことを考えると寒くならないほうがよいのでしょうか。しかしながら雪のない十二月というのもしっくりきません。  雪国の人間は、雪に苦しめられ、また雪に癒やされるのでしょう。毎年、雪の降

          封鎖されたのは:張愛玲著『傾城の恋 / 封鎖』を読んで

          オリオン座寝物語を聞きたまえ

          オリオン座寝物語を聞きたまえ

          『エテルノ』第五話を掲載しました。

          ・カクヨム 『エテルノ』 ・ステキブンゲイ 『エテルノ』  第五話を掲載しました。  桜が散り、森にも梅雨がやって来ます。降りしきる雨のなか、ルカとアキノは過ぎゆく春と近づく夏に思いを馳せるのでした――

          『エテルノ』第五話を掲載しました。

          『エテルノ』第四話を更新しました。

          ・カクヨム 『エテルノ』 ・ステキブンゲイ 『エテルノ』  連載中の小説『エテルノ』の第四話を更新しました。  アキノとともに夜桜を見に行くこととなったルカ。散り敷く桜の下に隠された秘密が、ひとつ明らかになります。

          『エテルノ』第四話を更新しました。

          新聞で紹介されていた張愛玲さんの『傾城の恋/封鎖』を読んでいます。豊かでありながらも滑らかな描写に引き込まれるとともに、これを原書で読むことができたなら、とも思い。しかしながら翻訳された文章も好みなので、読んでいると感情が忙しいのでした。

          新聞で紹介されていた張愛玲さんの『傾城の恋/封鎖』を読んでいます。豊かでありながらも滑らかな描写に引き込まれるとともに、これを原書で読むことができたなら、とも思い。しかしながら翻訳された文章も好みなので、読んでいると感情が忙しいのでした。

          神々の戦い:倉橋由美子著『城の中の城』を読んで

           いろんな国へ渡っても、最後は生まれた場所へ戻ってくる鳥のように、気がつけば倉橋由美子氏の作品を読み返している私がいます。  氏の作品はその時期によって文体から受け取るイメージが異なり、初期には翻訳文学を思わせる鉱物的な文章であったのが、作品を追うごとに柔らかく、植物的に変わってゆきます。そして最後の小説作品である『酔郷譚』に至っては、酒をテーマにした短編集ということもあってついに水のように滑らかな文体の境地へと至るのです。この絶妙な変化もまた、倉橋文学の魅力のひとつと言え

          神々の戦い:倉橋由美子著『城の中の城』を読んで