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『ロード・オブ・ウォー』主人公がオデッサのユダヤ系アメリカ移民だというのも皮肉だ(環境研究)

 ウクライナのオデッサ生まれで、アメリカのニューヨークに移民し、個人商店の武器商人として活躍したユダヤ人の物語。ニューヨークのブルックリン地区にはリトル・オデッサと呼ばれるロシア系、ウクライナ系のユダヤ人が多く住むエリアがある。そこへ移民した家族はクリミアというレストランを経営している。

 主人公の個人ビジネは、ソ連のペレストロイカによる崩壊により、ウクライナ、ベラルーシ、ブルガリアなどの旧ソ連邦の国々から大量のカラシニコフの在庫を、親戚ネットワークで世界中に流通させることが可能となった。この映画はノンフィクションではあるが、実際の武器商品の実話を取材したフィクションでもあり、ペレストロイカにおける旧ソ連邦の役割は大きかったと思う。

 とうとう主人公は武器の密輸で逮捕されるが、釈放される。それは武器ビジネスを行う米国にとり、武器ビジネスの個人商店は必要悪で、アメリカに敵対する勢力に武器を送り、戦争が長引くことを支えている。取り調べでの以下の主人公のセリフは印象的だ。

最大の武器商人は、あなたのボス、つまり米国大統領だ

 そして、映画の最後の字幕で、最大の武器供給者は、米英仏露中の5カ国、国連常任理事国であると締めくくる。2005年の映画なので、クリミア併合などが起きる前の映画にも関わらず、現在のウクライナ、ロシア、NATOの状況をリアルに映し出しているのも面白い。主人公がオデッサのユダヤ系アメリカ移民だというのも皮肉だ。

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