『三島由紀夫vs東大全共闘 50年目の真実』米中デカップリング時代は世界にどういう影響を与えるのか(日本の歴史)
三島由紀夫の本は1冊も読んだことがなく、講談社の前にある群林堂の豆大福が好物だという共通点があるだけだが、東大駒場でのディスカッション映画を観てみた。
まず第一に、日本の全共闘などの学生運動は米ソ冷戦という大前提があったが故に起こったことだとすると、米ソ冷戦は、自由主義とマルクス主義の対立で、マルクス主義をキリスト教からスピンオフしたイデオロギーの形態と考えるならば、キリスト教文明の内輪もめだと橋本大三郎さんは言う。
その内輪もめがTVという媒体を通じて1968年に世界中に飛び火し、フランスの5月革命、中国の文化大革命、チェコのプラハの春、アメリカのベトナム反戦デモ、日本の安田講堂事件、そして翌年の全共闘と三島由紀夫とのディスカッションにつながることになる。
この映画を観た理由は、キリスト教内の内輪もめからのイデオロギー対立でなく、今はじまったばかりの米中の対立。つまり、「神が存在することによる人権思想、法の支配、民主主義」(アメリカ)と「人が人を支配する社会」(中国共産党の中国)の対立が、いかに世界や日本に影響を与えるかを考察するヒントにしたいからだ。しかも、今回の対立は、「解放区」に実体としてのバリケードは不要で、SNSというデジタルの目に見えない「解放区」が存在し、持続し、簡単にグローバルに連携できる。
それにしても、前述の社会学者の橋爪大三郎氏が、全共闘一の論客で三島と議論を戦わしていた芥正彦氏と一緒に演劇をやっていたということには驚いた。芥氏と橋爪氏も演劇の舞台俳優のようにはっきりとした口調なのはそれが理由なのだろう。
小熊英二さんの『1968年』も読んでみたい衝動に駆られた。
Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。