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『通説を覆す世界と日本の近現代史 ―自由主義VS専制主義200年の攻防!』「資本論」は初版1,000冊を売るのに4年もかかったが、ロシアがヨーロッパを引っ掻き回した動機となった(世界の歴史)

 学校の授業でじっくり習わなかった人が多い近代史・現代史の解説本。切り口が斬新なので分かりやすい。例えば、過去の人類の歴史を以下のようにまとめてあり、近代史・現代史を俯瞰して捉えるには最適な1冊だ。

 1)王様に近いほうが勝ち(王侯貴族)
 2)神様に近いほうが勝ち(教会勢力)
 3)カネを持っているほうが勝ち(資本家)
 4)資本主義+軍事力=帝国主義(砲艦外交でペリーは日本を脅す)

 プロイセン政府の批判から国外追放になり、無国籍者として虐げられた金持ちボンボンのマルクスが、4)の資本主義に対抗する著作3作を出版する。

 1848年 「共産党宣言」 日本では遠山の金さんが南町奉行に
 1859年 「経済額批判」 日本では「安政の大獄」
 1867年 「資本論(1)」 日本では「大政奉還」、「資本論(2)(3)」はエンゲルス作

 「資本論」は初版1,000冊を売るのに4年もかかった。

 マルクスは「資本論」で「資本主義⇒社会主義⇒共産主義」と進化するとした。マルクスが発明した共産主義を「1)王侯貴族のロマノフ王朝」打倒のための道具とし、ストライキため評議会が各地でできた。評議会はロシア語でソビエトという。

 日露戦争に負け、東側は無理なので、西側の黒海に南下するなか、ヨーロッパの汎ゲルマン(オーストリア=ハンガリー帝国)と汎スラブ(ソビエト)の民族感情がぶつかったのが、サラエボ事件からの第一次世界大戦。ロシア革命とは、日露戦争と第一次世界大戦の反対運動から進んだもの。これにより、ソビエト社会主義共和国連邦が成立し、東西冷戦時代となった。

 結局、東西冷戦前のヨーロッパは、プロイセン政府から追放されたマルクスの1,000冊の本がベースになり、ロシアが引っ掻き回したといえる。

 東西冷戦の象徴であるベルリンの壁が崩壊したのは、シャボフスキーベルリン地区委員会第一書記が、「旅行許可に関する政令改正」の記者会見で、「たったいまから、出国を希望する東ドイツ国民は、自由に出国できる」(本当は、明日10日から、出国を希望する東ドイツ国民は、出国ビザの申請ができる)と勘違いし受け答えしてしまった結果、8時のニュースでそれを知った市民が夜9時ころになり検問所に集まり、勢いで「ベルリンの壁」が壊されてしまった。

 そして、20世紀の東西冷戦「資本主義VS共産主義」は、21世紀になって「自由主義VS専制主義」になっただけ。もともと共産主義や社会主義は専制主義と相性がよく、独裁者がそれを利用したともいえる。

Creative Organized Technology をグローバルなものに育てていきたいと思っています。