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関西の低山 (白髪岳)

 まずは人間が良いことだ。古市の駅を降りてすぐにそう感じた。
 登山口に辿り着くまで、アスファルトの道を歩く。広めの道路はたまに地元の車が通るくらいでのんびりしている。両脇は畑。丹波篠山の枝豆、栗の木や色とりどりの野の花を見た。農園もさることながら、自家の庭先に植えられたナスやイチジク、カリンも見事に大きな実を付けていた。道で出会う人たちは、みんな笑顔で挨拶をしてくれる。中にはわざわざ家から地図を持ってきてくれる人までいた。

 目指す山は白髪岳。白髪岳は中腹から岩登りが続く。だから黙々と岩を掴んでいくと短時間で山頂に上がれる。なかなか公園のジャングルジムによじ登って遊ぶ大人は少ない。ハイキングでは人目を憚らず足を掛け、腕を伸ばし、岩の上に立つ、そんな事ができるのが嬉しい。

 下山して駅に向かう為に来た道を歩いていくと、どこかの飼い犬が私たちの間をすり抜けて、あちこち駆け回っていた。こんな山間で自由気ままにお散歩する犬って幸せだよね。心なしか呑気でにこやかな顔をした犬だった。自分のテリトリーはキチンとわきまえているんだろうな、しばらくしたらどこかへ行ってしまった。下校途中の小学生もみんな挨拶をしてくれる。

 そして何より面白かった事は、行きの道中に声をかけてくださった農家さんがまだ販売をされていて、そこで落花生を買えたことだ。ハイキング前は当然、荷物になるので落花生の塩茹でを試食させて貰っただけだったが、その塩味の旨いこと、ここら辺の土が落花生に合っているようで、よく育って大きい事。絶対に帰りにゲットしたいと思わせた。
 あいにく、落花生は大人気で、袋詰めの量が足りないと言う。あぁなんて残念、と思い始めた時、手早く農家さんが畑から掘り起こした落花生を持ってきてくれたので、急遽みんなで土の付いた落花生をその根から、もぎ取るお手伝いをする事になった。農家さんは助かると言って感謝していたけど、私たちは収穫作業を体験させてもらって大満足だった。落花生は、たくさんの手で面白いようにぷちんぷちんと摘まれて、カゴの中に放り込まれた。こういうお土産付きの山行はさらに良い。

 さぁ、私の落花生、うまく茹で上がれ。


お芋もお安く手に入りました。


すぎはら農園

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