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思考力を上げたいの巻



今回はデザイン関係ない回なのですが、またオススメしてもらった本を読んだので、思考の整理も兼ねて記録したいと思います。


今回ご紹介させて頂く本はこちらです。

・『「具体⇄抽象」トレーニング 思考力が飛躍的にアップする29問』
細谷 功    PHPビジネス新書


以前もお話した通り、私は本を読むのがとても苦手なのですが、図解や練習問題も載っていて、就寝前に読んでいたのですが、合計3時間ほどで読了できました。


◎著書の概要



題名にもありますが、思考力を格段と上げる方法がわかりやすく記されている一冊です。


大きな概要としては、物事を考える際に、抽象化と具体化を往復することで思考力が上がるということを説明したものになります。


物事は全て川上から川下へ向かって抽象→具体と樹形図のように裾野が広がっていきます。


著者の中で例として、建築においては建築家が一人で設計図を作るところから始まり、詳細設計、実際の施行へと移る流れが挙げられています。
全体の構図を示すのが抽象であり、作業が進行するにつれ作業が細分化し、具体の領域に行く。


抽象から具体に階層が降りていくに連れて、作業分担が行われるため、関わる人数も必然的に増えていくということになります。


まさに大企業の構図もそうですし、様々なものにこの考え方は当てはまります。


さらにこの本の中には、抽象的な視点と具体的なそれとで見ている立場が違うからこそ生まれる不毛な議論についても書かれています。


例えば
Aという人が加害者の人権の必要性について述べた時に、Bという人はAが被害者側になった時にも同じことが言えるのか反論をする、というようにです。


なぜこのような議論が絶えないのかは、階層が異なる視点の議論をしてもそもそも噛み合うわけがないということです。Aは極めて抽象的な一般論の話をしていて、Bはそれに対し極めて具体的なレベルの話をしている。


抽象的な意見は、わかった上で様々な枝葉(例外)となるものを切り捨て、言い切ったものになります。本の中では「都合の良いように切り取ること」と表現されています。そのため、具体的な視点で捉える人にとってはいくつもの反論の余地が生じるということ。


ここではどちらが正しい正しくないの前に、そもそも異なる次元の議論に終着点はないということが述べられています。


これは個人においてもそうで、人間は自分のことほどよく知っているため具体的に見ることができ、他人ほど抽象的な括りでレッテルを貼ってしまいます。


そのため他人から自分を抽象的な括りで決めつけられると反論してしまうというわけです。
わかっていてもできないという人間の自己矛盾なんですね。


他人に対しては一般論・理想論を安易に展開し、自分に矛先が向けられると自分は特別なケースだからという言い訳をしてしまうと書かれています。


著者では、自分のことほど抽象的に一歩引いた目線で見て、他人のことはより深くその人の事情を具体的に考慮することがコミュニケーションにおいては丁度いいということでした。


最終的に読者が目指すべきものとは、抽象と具体という視点を持てるか、そして今行われていることはどこなのかをその軸上にマッピングできるかということだと述べられています。


そのためには抽象と具体を繰り返して思考する日々の習慣が必要になるというわけです。




◎感想


少し話は変わりますが、言葉自体も人間が恣意的に作り出した抽象的な概念ですし、例えば「正しい」という概念も人間が勝手に作り出したものである以上、神がいない限りは誰も正しい正しくないの判別はしようがないのではないかと私は常日頃思っていました。


高校の現代文の先生から「恣意的」という概念のお話を聞いて当時からなんとなくずっとそう考えています。


そういう意味においては、よく性善説性悪説の論争もありますが、悪という概念や法律も人間が恣意的に作った概念なので、人間が本能で起こす言動は正しいも悪いも本質的には判別できないという消去法で、性善説かなと個人的には思っています。


ただそれも別に正しい正しくないは誰にも判断しようがないということですね。元に戻りますが。


あれこれ考えると結局どんな議論も不毛になるのか、なんなら誰とも本質的にはわかり合えないものなのかと悲観的にもなりかねないですが、話を戻したいと思います。


この本を読んで学んだのは、抽象的な視点というのは全ての人が見えるものではないということです。


これは一朝一夕では身につきませんが、常に具体的なことは抽象化して全体を捉え、抽象的なことは具体的に掘り下げと、その両方を繰り返して思考することが大切なのだとわかりました。


また仕事や対人関係においては、相手の目線に立つこと、そして論点が抽象的なものなのか、具体的なものなのか、どちらを軸にすべきかを考えて物事を伝えることも必要なことだと実感しました。



◎おわりに


なかなか頭で理解できても実際に現実において物事を具体と抽象の両面で捉えるのは難しいですよね〜


思考のトレーニングになる練習問題も沢山載っているので勉強になりました。


不定期で挟んでいるマジメ読書感想文の回ですが、次回はデザインに戻りますので。笑


最後まで読んで頂きありがとうございました!


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