コーヒーと兄

ハンドドリップのコーヒーを久しぶりに淹れた。今回の豆はハニー珈琲の冬凪カフェだ。私はコーヒー豆は深煎りが好きだ。浅煎りの豆は淹れると酸っぱい気がする。酸っぱいコーヒーはなんだか苦手。サードウェーブのコーヒーは大体酸っぱいので、サードウェーブのコーヒーが流行ったときは、ちょっと困っていた。フィンランドのコーヒーは酸っぱいと聞く。フィンランドにはずっと前から行きたいが(『かもめ食堂』の影響)、酸っぱいコーヒーはちょっとなぁ。


それにしても、久しぶりのハンドドリップコーヒー、非常に旨し。平日の朝はハンドドリップのコーヒーを淹れる余裕なんてないもんなぁ。

せいぜいブレンディを飲むくらい。

まぁブレンディも美味しいけども。

ブレンディとハンドドリップのコーヒーと比べちゃならんよね。


しかし、ハニー珈琲はVIOROの店舗が閉店してしまうらしい。

たまに仕事帰りに、ハニー珈琲で豆を眺めるのが、息抜きの時間だったんだけどなぁ。

ああ、残念だ。博多駅の地下の一蘭の向かいにもハニー珈琲の店舗があるらしいので、次からそこに行ってみようかな。あと天神だったら、店舗は三越にもあるらしい。

まぁ、三越とVIOROだったら目と鼻の先だもんね。

天神に二店舗も必要ないのかな。


コーヒーを淹れていると、いつも長兄のことを思い出す。

長兄はコーヒーが大好きで、自分で焙煎も行う。大学生の頃から、コーヒー豆屋さんに足繁く通い、豆をいくつも研究して、色々と試作をしていた。焙煎用の鍋を火で炙ってかしゃかしゃ言わせている姿をよく見ていた。

長兄の趣味はコーヒー豆だった。


その兄の熱心さは、通い詰めた豆屋さんのマスターからも買われていたらしい。

ある日いつもの様に、豆屋さんでどの豆がいいかと、豆を買いながら、豆トークをマスターとしていたらしい。すると、マスターから

「君、大学生?どこ大?」

と聞かれたと。

「九大です」

と兄が答えたら、マスターは残念そうに

「九大生をコーヒー屋さんにスカウトしちゃいかんな」

と言って、兄のコーヒー豆屋の弟子入りのスカウトを諦めたらしい。


ふむ、ではどこの大学生だったら、コーヒー豆屋の弟子にスカウトするつもりだったのだろう。そこも気になる。


その後、兄は就職し、結婚し、今はマンション暮らしだ。兄の住むマンションのベランダでは喫煙もできない(まぁ兄は喫煙者ではないが)。そんな中、豆の焙煎なんて、ベランダではできませんよね。

なので、兄はちょくちょく実家に帰り、実家の庭で豆の焙煎をやっているらしい。


兄の淹れるコーヒーは旨いよなぁ。兄がコーヒー豆屋を継いでいたらどうなったんだろうなぁ。それはそれで面白かったかもしれんなぁ。まぁそうは言っても凝り性の兄からすると、私のコーヒー熱なんて可愛いもんよなぁ。


コーヒーには色んな物語がある。

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