音楽死生学

神道のみならず宗教と音楽の関わりは、大変深いものです。音楽死生学(ミュージック・サナトロジー“music thanatology”)とは、1990年代初頭、テレース・シュローダー・シーカー(Therese Schroeder-Sheker)によって始められたもので、このプロジェクト全体は「魂の休息の杯」(Chalice of Repose Project)と名づけられています。主にハープと歌声による身体的、精神的、霊的苦痛の緩和を図ることを目的としたものです。

日本においてもパストラル・ハープを用いて看取ることが行われています。パストラル・ハープとは、愛と安らぎに満ちた音楽によって行われる、死に移行する人への緩和ケアです。そこではハープと人の声が用いられます。

その目的は、死、すなわち人間の魂本来の世界に戻ろうとしている人の、身体的、精神的、霊的な苦痛を解放することです。

死に臨んで美しい澄んだ音色や音楽が聞こえてきたという、臨死体験者の証言はたくさんあります。臨死体験者は、音霊(おとたま)という神霊の波動的エネルギーとして霊威を体感してきたのでしょう。

アメリカにおいて交通事故で兄を亡くした妹へ亡くなった兄が霊界からメッセージを伝えてきました。それは天界で聞こえてきた曲がマーラーの第8番交響曲のフィナーレ「神秘の合唱」だったそうです。この曲はゲーテの戯曲『ファウスト』の中で、ファウストが天国で迎えられる場面で使われています。

うつろうものは
なべてかりもの
ないことがここに
おこり
ふしぎがここに
なされ
くおんのおんなが
われらをみちびく
(『ファウスト 第二部』ゲーテ著 池内紀訳 集英社文庫)

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