2024年8月12日~8月15日 酒。読書。観劇。それだけ in 京都

私の「note」のプロフィールは、『酒。読書。観劇。それだけ』とそっけない、というか投げやりな一文だが、それで充分説明に足りている。

たとえば、2024年8月12日から8月15日にかけて……

2024年8月12日

12:18 東京駅

少し早く着いたので、八重洲の地下街を歩く。ちょうど昼時ということもあるのか、飲食店の前には長蛇の列。
新幹線は「南海トラフ地震臨時情報」を受けて、静岡あたりで減速運転しているらしく、少し遅れて入線、出発。
お盆時期ののぞみ号は全席指定席のため、全体的にゆったりした感じ。

ふと見ると……

ギターを背負った青年の希望と不安が入り交じった表情に胸が熱くなる(左上は、「クリスマスエキスプレス」の牧瀬里穂さんですよね?)

旅のお供は、先日観たNODA・MAPの新作公演「正三角関係」の戯曲が掲載されているということで購入した「新潮」2024年9月号。

結局寝落ちで読めず

結局、10分遅れで京都駅に到着
京都駅は大混雑。改札内のお土産物屋さんには長蛇の列。

15:15 ひっとぽいんと

地下鉄を乗り継いで、毎度おなじみの「ひっとぽいんと」へ。
「そういえば、誕生日やったな」
……さすが付き合いの長い、マスターの安原氏。よく覚えておられる……
というわけで、恒例のテキーラファイト。

相変わらずのバカ話。
話題は何故か「立ち飲み屋」の話(たぶん、京都の最近の立ち飲み文化を根付かせたであろう「すいば」さんの、とある店舗が閉店したという話からだったような)。
「なんか最近の立ち飲み屋って、明るくてフレンドリーな気がする。あのフレンドリーさが、強要されてるようで、気持ち悪い」と私。
「京都着いて早々、相変わらずの毒舌やな」
あなたこそ、人のことは言えないでしょう。

そんなこんな毒舌合戦を繰り広げ、満足して16時ころ退店。
ホテルに向かう途中、「なごみ鉄板 ぞろんぱ」さんの前を通り、仕込み中の店内を覗くと店長が気づいてくれた。
「忙しい?」
「忙しいっすよ」
「今日、無理?」
「いや、カウンターなら何とか空いてます」
「何時?」
「何時でもOKです」
「じゃぁ、18時に来る」

とりあえず本日のお店が決まったので、ホッとした気持ちでホテルに向かう。

部屋はキッチン付き
洗濯機・洗剤も完備

少し休憩してシャワーを浴び、「ぞろんぱ」さんへ向かう。

18:00 和鉄板ぞろんぱ

「今年の暑さ、ヤバイっすよね」
店長の永野氏が言う。
「ボクら、一番暑い時間に店に来るんですけど、途中、日影に入ると『涼しいな』って思います。そんなワケないんですけど。もうなんか、おかしなってるんですよ」
確かにそうかも。

「"京都日本酒ドロップキック"以来ですよね?ウチ、今年も集客1位だったんですけど、(初参戦の)「立ち飲みやみー」さんが2位で。それも僅差、ちょっと気ぃ抜いてたら負けてましたわ。ボクらまだ、お店に行ったことないんですけど」
さっきの「ひっとぽいんと」での話をひっくり返すようだが、実は、私もドロップキックで「立ち飲みやみー」さんに行った。
「一政さんに行こうと思ってたら、その手前の「やみー」さんの前で女性のキャッチ(というと失礼だが)に捕まって。でも、追加でお酒を注文したから、やっぱり良い店だったと思うよ」

カウンター奥の席でそんな話をしていたのだが、入口あたりには観光客らしいカップルが静かに食事をしている。

「わたし、この前(東京の)五反田の会社の面接受けたんですよ」
アルバイト店員の女性が言う。
五反田といえば、某大手メーカーのお膝元で関連会社も多くある。
「私、五反田の近くに住んでたんですよ」
観光客らしいカップルの女性客が言う。どうやら東京から来たようだ。
「で、結果は?」
「受かりました。でも、別の、丸の内の会社に決めました」

20:30 ぽんしゅや 三徳六味 四条烏丸店

お店に行ったのは覚えているのだが、何を注文したのか覚えていない。

あぁ、やっぱり定番の「ポテサラ」を注文してた

気がついたら、ホテルで寝ていた。

2024年8月13日

飲み過ぎたせいか、調子が悪い。
ベッドでずっとグズグズして、10時に恒例の関西テレビ「よ~いドン!」を見る。
昨日「立ち飲みやみー」さんの話題が出たので今日の午後にでも行ってみたいと思う。
ドロップキックといえば、「肉酒屋 輪っか」さんにも行きたいと思って調べてみると火曜日は定休日らしい。というわけで、明日、行ってみたいと思う。
11時過ぎにホテルを出る。
地下鉄で今出川に行き「カプリ食堂」に向かうが、外から覗くと、今日はオーナーがいない様子。そのまま素通り。
どうするか考えて、以前行った沖縄料理のお店に行くことに決める。

11:45 沖縄食堂 いちゃりば

以前行った時のもの

今回はソーキそばではなく、「かつおそば」なるものを注文。

もちろん「オリオンビール」も

料理は美味しいが、どうにも調子が悪い。ビールが全く進まなくなった。
何とか完食し、ビールも飲み干し、お店を出る。
殺人的暑さも相まって、どんどん気持ちが悪くなってくる。
地下鉄で戻り、途中で胃薬を購入してホテルに戻る。
胃薬を飲んで少し寝ると、少しは回復した感じになる。

調子に乗ってホテルを出て、昨日「ぞろんぱ」さんで聞いた「立ち飲みやみー」さんへ向かう……が、何と今日・明日休みとの張り紙……

どうしようか考えて、結局、いつも15時開店でお世話になっている「五黄の寅」さんへ辿り着く。

15:00 五黄の寅

開店直後のお店は、厨房に男性一人、ホールに女性一人の、ほぼワンオペ状態。
まだまだ本調子でないため、カウンターの一番奥の席でビールをちびちび(というか、おっかなびっくり)飲む。
アテは枝豆とサラダ(ハーフにしてもらった)。

お盆だからか、久しぶりに会ったと思しき若いグループと、かつて職場で上司部下だったと思しきグループが近況を報告しあっている。
16時過ぎ、北海道帰りだという常連の男性が一人で入店。お土産を渡し、店員さんたちの労を労って、お酒をふるまって陽気に乾杯。
店員さんたちも常連さんの来店で安心したのか、お店の雰囲気が軽くなる。
それを感じたのか、酔いが回ってきたのか、グループ客の声も若干大きくなる。
いよいよ居酒屋が動き出す、この瞬間が私は好きだ。
周りの雰囲気もあって調子が上がって来た私は、日本酒を1杯飲み、16時半頃退店。
ホテルで少し休憩し、シャワーを浴びて、同じ室町通にある「大八寿司」へ向かう。

17:30 大八寿司

「注文もらっても、ちょっと時間が掛かるかもしれないけど、いい?」
店主の今宿さんが聞く。ホール係の奥様も忙しそうに働いている。
テーブル席に外国人のグループ。
カウンターには、飛び込みで入ったと思われる若い男性の一人客が、お茶を飲みながら寿司が出来上がるのを待っている。その隣に座らせてもらう。
前菜をつまみに、ビールをちびちびと飲む。

店主は忙しそうに寿司を握っている。
ようやく落ち着いたところで、注文。

鰻巻うまきたまご
このお店に来ると店主の出身地・滋賀県のお酒を飲む
これは「不老仙」

「篠さんとこは?まだ?」
「この後行こうかな、と」
「じゃぁ、「ぞろんぱ」さんは」
「六角に、昨日」
「ウチも昔、ドロップキックに参加してたでしょ?その時のお客さんも、必ず、「ぞろんぱ」さんには行くって、みんな東京の方ですけど」
「まぁ、あそこは今年の集客もトップでしたからね。人気ありますよ。で、昨日聞いたら、2位がなんと、「立ち飲みやみー」さんだそうで」
「あそこのお店、評判ですよね。ウチら夫婦も何回か行ったんですけど-あそこのオーナーさんも、たまにウチに来てくれはるんで-、昼の1時だったら空いてるかなと思ったら、結構お客さんが入ってて」
……恐るべし、「立ち飲みやみー」。

19:30 一政

「大八寿司」さんで告げたように、数分歩いて「一政」さんへ。
入るとオーナーシェフの篠さんが不思議そうな顔をする。
「ああ、そうか。お盆だ」

夏の京都といえば「はも」。天ぷらにしてもらった

1階のテーブル席に1組。2階にはお客がいなさそう。
1階奥のカウンター席は、奥に若そうなカップル、その隣に中年にさしかかったようなカップル、そして私、その隣に学生らしい男性2人組。

新人らしい小柄な女性店員さんは、若者らしくハキハキ明るい。
どうも奥にいたカップルの女性はこのお店の店員さんらしく、帰り際に新人さんに挨拶。残っている男性は、このお店の常連客らしい。
女性が帰った後、少し篠さんと話をしていた男性は「じゃあ」と言って帰っていった。
ものすごくカッコいい人だなぁと思っていたら、実は、超有名人気俳優だった。
「えっ、気がつかなかったんですか?」
店内には彼のサインも飾っているし、彼がボトルキープしていることも知っている。
しかし、まさか、自分の飲んでいる(しかも、旅行に来た京都の、別に老舗でもない居酒屋の)席の近くに有名人がいるなんて、想像できるわけもないではないか。
「東京だと、普通に芸能人に会ったりしないんですか?」
……するわけがない。

「年に何回か東京から来てくれるんですよ」
篠さんが、隣の中年にさしかかったと思しきカップルに私の事を紹介している。
男性の方、よく見ると、どこかでお会いしたことがあるような……
「"輪っか"っていう肉料理の店をやっていて……」
!!そうだ、明日行こうと思っていたお店の店主だ!!
何という偶然。
「ちょうど、明日伺おうと思ってたんですよ」
ということで、明日の予約をしておく。

「明日、いなかに帰るんだよね?」
篠さんが新人女性に聞いている。
「違います。"いなかに帰る"んじゃなくて、"帰省"です!」
??どういうこと? 同じ意味じゃないの?
「鹿児島は"田舎"じゃありません!」
……なるほど。これは失礼。

このお店にしては珍しく、21時過ぎには客が私一人になった。
「明日からは忙しいと信じよう」
篠さんが自分に言い聞かせるように呟く。
明日に備えて、というわけでもないが、みんながゆっくりできるよう、私も退店。
真っ直ぐホテルに帰り、早々に就寝。

2024年8月14日

地震の不安がぬぐえないまま、今度は台風が接近中。
JR東海は16日の計画運休を検討しているらしい。
そんなニュースを見ながら本稿を書き始める。

10:00 映画『夏の終わりに願うこと』@UPLINK京都

ホテルを出て徒歩数分。
新風館の地下にあるUPLINK京都で、映画『夏の終わりに願うこと』を観る。
毎週水曜日のサービスデーということもあり、それなりの客入り。
感動冷めやらぬうちに、と、ホテルに直帰し、感想文を書く。

投稿後、少し休憩して「ひっとぽいんと」へ行くが、営業していない。
ドアの前に「平日は17時開店に変更しました」と張り紙が。
……忘れていた。その話、随分前に聞いたのだった。
どこかで時間を潰すのももったいないので、部屋に戻り休憩。
「新潮」に掲載されていた綿野恵太氏の寄稿文『ひろゆきに論破されてみた件』を読む。
論旨としてはある程度理解できるが、やっぱり「言い訳」の感も否めなず客観的判断ができないので、ここで感想は書かない。
シャワーを浴び、改めて「ひっとぽいんと」へ向かう。

16:40 ひっとぽいんと

開店時間の少し前に入店。
店内ではマスターの安原氏が、購入したばかりのWi-FiルーターとiPhoneのセッティングに悪戦苦闘している。
それを温かく見守る(そして、時に冷静なツッコミをする)、安原氏の彼女さん。
2人にビールをご馳走しながら、だらだら喋る。

「一昨日、立ち飲み屋を散々ディスったけど、昨日、立ち飲み屋に行こうとした」
「(爆笑)また何で?」
安原氏、彼女さんに一昨日のあらましを説明。

「いや……何て言うか、『立ち飲みやみー』さんの評判を聞いたから」
「あー、あそこめちゃ人気ある。ウチらも何回か行こうとしたけど、混んでて入れなかった」
彼女さんも同意する。
「美味しくて安いって評判ですよ」
彼らまで知っているとは、「やみー」さんの評判の高さがうかがえる。
ぜひ、今度行ってみたい。

安原氏が自身のiPhoneの切り替えに手を取られている(開店を示す表の看板は彼女さんが出しに行った)ので、邪魔しないように退店。
というか、昨日約束したとおり、「肉酒屋 輪っか」さんに行くからだ。

18:00 肉酒屋 輪っか

昨日、「一政」さんでお会いした店主が温かく迎えてくれる。

ここに来るまで暑かったので、ビールが美味い!

「今日は"男祭り"ですわ」
作務衣姿の店主と揃いの赤いTシャツを着た男性店員たちがキビキビ働き、気持ちがいい。
座敷席からは、お盆で帰省しているのか、子どもたちのはしゃいだ声が聞こえてくる。

味自慢 肉やっこ
輪っか焼き

美味しいアテをつまみながら、焼酎ロックに切り替えてまったり飲む。

家族連れの団体客のオーダーが落ち着いたのか、店員さんに余裕が出てくる。
彼らの話題は高校野球。
「番狂わせ、ヤバイな。もう、どこが優勝するか予想つかへん」
「京都(国際)が優勝したら、何年ぶりやろ?」
「いや、もう覚えてない」

(2024/08/23追記)
京都勢が68年ぶりに夏を制覇。京都国際は初優勝。
優勝で、お店は盛り上がっていることだろう。
おめでとうございます。

そんな話をしているところに、常連らしき女性客が一人で来店。
店主とのやりとりから察するに、どうやらプロ野球球団オリックス・バッファローズのファンらしく「明日(木曜日)と土曜日に(京セラドームに観戦に)行く」と嬉しそうに話している。

日本酒に切り替えて、客の話を熱心に聞くでもなく、ぼんやり過ごす。

「え? 彼氏と別れたんやっけ?」
「もう1年前くらいになるけど、また、新しい彼氏が出来て……」

後から来た男性一人客は、「やっと引越しが落ち着いて」と店主に報告している。

観光客で賑わう四条界隈から離れた丸太町のこのお店は常連客で賑わっている。
何だか「素の京都」にお邪魔させてもらっているようで、嬉しくなる。

「バタバタしてて、ゆっくりお話できず、すんませんでした」
わざわざ見送りに出てくれた店主が、軽く頭を下げる。
いえいえ、こちらこそ、気持ちの良いお店で、美味しい料理とお酒をいただき、ありがとうございました。

20時過ぎの住宅街はゆるい風が吹き、心地良い(まぁ、「和鉄板ぞろんぱ」さんの店長に言わせれば「こんなんで"涼しい"とか思うって、もう、おかしなってるんですよ」ということになるのかもしれないが)。

体調面も心配なので、この心地良い気分のまま京都の夜を〆ることにする。
部屋に帰り、早々に床に入る。
が、やっぱり京都の夜に未練があるのか、ウトウトしては起き、を繰り返す。
23時を過ぎ「あぁ、どこのお店もラストオーダーの時間だなぁ」と思ったところで踏ん切りがついたのか、ようやく眠りに落ちた。

2024年8月15日

戦」の日。
先日観たNODA・MAPの舞台『正三角関係』の拙稿で、私は散々『戦』と書いた。

昨日飲み歩いていて気づかなかったが、JR東海は8月16日の計画運休の実施を決めたらしい。で、今日(15日)に臨時ののぞみ号を運転するとのことで、恐らく京都駅も東京駅もかなりの混雑ぶりだろうと今から覚悟を決める。

9:30 京都駅

朝9時の京都駅は、外国人観光客でごった返しているが、日本人が慌てている様子は見受けられない。台風情報を確認しつつ、午後辺りから動き始めるのだろうか。
9時半京都駅発ののぞみ号もそれなりに空席がある。

京都駅のコンビニで見つけた限定プレモルを飲みながら、窓の外を眺める。

台風が接近しているとは思えないほど、夏の空が広がっている。

ビールをちびちびと飲みながら、「新潮」に掲載されていた、飴屋法水氏と岡田利規氏の対談『「個」と「種」を束ねる想像力』を読む。

飴屋 (略)この二重性、現実とされたり虚構とされたり、本人とされたり役とされたり、そのちょうど真ん中に立ち上がるのが演劇で。どうして二重なのかというと、両方が不完全だから。片側だけでは足りないから。だから重ねる。(略)
現実と想像力、本人と役、というようなことが、「個」と「種」の間で起きている。演劇ではよく身体という言葉を使うから、なんか血とか汗とか誤解されやすいけれど、身体っていうのは有限性のことだと思うんです。イメージとか想像力という、無限の広がりのあるものに対して、この身体は有限で、死んだら終わっちゃうものだし、怪我しただけで舞台に出られない、その程度のものなんです。
それでも演劇は、ひたすらその有限性を起点にやるんだけど、そこには二重で、「個」の身体に重なるようにして、「種」というものがずっと貼り付いて一緒にある。

この後、細野晴臣氏と中沢新一氏の対談『精神の音楽を追い求めて』を読み、西村紗知氏による柴崎友香氏の新作『あらゆることは今起こる』(医学書院)の書評などを読んでいるうちに東京へ到着。
新幹線は途中で一時停止したり減速したりで、7分程度の遅れ。
東京駅のホームはそれなりに混んでいて、改札を抜けた「みどりの窓口」には長蛇の列が出来ている(ぱっと見、外国人が多かったような。まだ、台風の影響は出ていないのかも)。

電車を乗り継いで無事帰宅。

この期間を含めた、2024年8月9日~18日までは、以下に。


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