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映画鑑賞

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2021年8月の記事一覧

「映画」も「時代劇」もなくならない。「青春」だって!~映画『サマーフィルムにのって』~

この主人公は信じられる。
映画『サマーフィルムにのって』(松本壮史監督、2021年。以下、本作)の物語が動き出すシーンで、そう確信した。

「アイドル風女子」と「イケメン風男子」が互いに「好きだ!」と言い合うだけの映画の主人公、、ではなく、それを見た後のハダシ(伊藤万理華)のファーストカットで、だ。あの、不服と焦燥が入り交じった複雑な表情……

とにかく物語が良く出来ている。
21世紀前半の現実感

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「ユルさとスカッと」の裏にある本当の「怒り」~映画『シュシュシュの娘』~

『新型コロナウイルスにより苦境に追い込まれた 全国のミニシアターへ』
エンドロールの最後に、メッセージが映し出される。

映画『シュシュシュの娘』(2021年。以下、本作)は、メッセージのとおり、苦境に追い込まれた全国のミニシアターのために、「SRサイタマノラッパー」などで知られる入江悠監督がクラウドファンディングの支援金を基に、10年ぶりに撮った「自主映画」である。

内容は、自主映画らしくユル

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舞台『アルプススタンドのはしの方(高校演劇Ver.関西チーム)』/映画『カーテンコールのはしの方』

「しょうがない」
この言葉は、様々な場面で使われる。
「慰め」「赦し」「諭し」…。「諦め」の場合もあるだろう。
誰しも生きていれば、何度も何度も「しょうがない」と呟かざるを得ない状況に遭遇する。そして、日々を生きていくため、不承不承でも「しょうがない」を受け入れるのである。
「しょうがない」は、再び前を向くための言葉である。

不承不承受け入れているうちは、まだいい。
「諦め」として使うことが癖に

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