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お酒

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お酒にまつわる本など
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#読書感想文

「師」の言葉で自分の道を確かめる~太田和彦著『超・居酒屋入門』~

太田和彦著『超・居酒屋入門』(新潮文庫、2003年。以下、本書)を久しぶりにパラパラと捲って上記文章に出合い、暫し感慨に耽った。本書が刊行された当時、私は30代前半だったし、親本となった単行本『居酒屋の流儀』(講談社、1998年。以下、親本)を読んだときは、まだ20代だったのだ。
当時の私が上記文章を読んで「そんなものなのかなぁ」と漠然と思っただけだったのは、もちろん、『人間も五十を過ぎれば』とい

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金井真紀著『酒場學校の日々』

金井真紀著『酒場學校の日々 フムフム・グビグビ・たまに文學』(ちくま文庫、2023年。以下、本書)を読みながら、私は本書の登場人物たちではなく、自分の記憶の中にある人たちのことを思い出していた。

「酒飲み」を自認する人は、それぞれ「酒の飲み方を教わった学校」と言える、居酒屋や小料理屋、或いはスナックやバーといったお店を持っているのではないだろうか。
私は、入社2年目に支給されたなけなしの夏のボー

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魅惑の「ランチ酒」~原田ひ香著『ランチ酒』~

しがないサラリーマンとしては、「ランチ酒」という言葉は魅惑的に響く。普段の就業時の昼休みには菓子パンを齧っている酒飲みの私は、たまに外出すると「グラスビール1杯くらいならバレないんじゃないか?」という葛藤に苛まれる。
だからこそ、有給休暇を取った日には、「積年の恨みを晴らす」とばかりに飲食店でお酒片手にランチを楽しむ。
働き蟻のごとく忙しなく、唯々「エネルギー補給」のための昼食をとる御同輩を横目に

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実在しないけど行ってみたい居酒屋~秋山鉄著『居酒屋野郎ナニワブシ』~

2021年10月、新型コロナウイルスまん延によって長く続いた緊急事態宣言が、ようやく解除された。
同月末には飲食店の営業及びアルコール提供の制限についても、ほぼ解除された。
酒好きの私も、解除後は馴染みのお店の復活祝いと(勝手に)称して飲み歩いているわけだが、やはり居酒屋の雰囲気は格別だ。
カウンターに一人座る私は誰と会話するわけでもないが、見ず知らずの人たちの喧騒の中に身を置いているだけで不思議

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今日もうまい酒が飲みたい!

私は酒飲みだ。
全国、いや、全世界にそう思っている人が大勢いて、今日も今日とてどこかで機嫌良く酔っ払っていることだろう。
そう思うと、世界中に酒飲みの仲間たちがたくさんいるような気になって、嬉しくなって、ますます酒がうまくなる気がするのである。
だがしかし…
酔った頭に、ふとした疑問が浮かぶ。
我々は何故お酒を飲むのか?

インターネットやSNSが発達した現代、検索すれば理由くらい簡単に見つかりそ

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