見出し画像

テレビニュースに感情を操作されないために

正月休暇明けの伊丹空港で、女性に声をかけられた。
相手「〇〇テレビの者ですが、ご出張ですか?」
私「はい」
相手「首都圏には行かれませんか?」
私「行きますが、何か?」
相手「首都圏に緊急事態宣言が発出される予定ですが、お仕事に影響はありますか?」
私「それほどでも・・」
相手「首都圏に緊急事態宣言が出たら、出張ができなくなったり、いろいろ不便になるのではないかと思いまして・・」
まだ私が話をしているのにもかかわらず、その女性は次のターゲットを探して目が泳いでいる。

「首都圏の緊急事態宣言に対して関西のビジネス関係者も不安を感じている」というストーリーがあり、そういう感情を持っている人の声しか必要ないらしい。
街頭インタビューをテレビで視聴する立場だったけれど、その裏側を見た気がした。

他人が感情的に話す姿をみると、自分の感情もゆさぶられる。人は感情がゆさぶられればゆさぶられるほど、それに注意関心を向ける。人間は、危険に対しては瞬時に反応しないといけないので、ネガティブな感情により強く反応するようにできている。

感情は伝染する
「緊急事態宣言」について感情的に語られる映像が流れると、それに注意を向け見てしまう。テレビは、新聞や雑誌と違って、映像と音声を伴うので、発信者の感情(非言語情報)が伝染しやすい。「緊急事態宣言」と、“不安、心配、恐怖”といったネガティブな感情がセットとなって記憶に残る。
「緊急事態宣言」という言葉に接するたびに、ネガティブな感情が沸き起こる。それゆえ、他人の感情が伝染しただけなのに、あたかも自分が不安に感じているかのようになる。”怖いもの見たさ”という言葉があるが、不安だからまた情報を探してテレビを見る。
つまり、視聴率が上がるのだ。

人命にかかわる災害のニュースなどは、特に心理的な影響を受けやすいので、ぼーっと受け身で見ることを避けて、時間を区切ったり、意識的に、客観的にみる必要がある。

東日本大震災の際も、被災地以外の人が毎日テレビ報道を見ていて落ち着かなくなったり、疲れやすくなったりする人が続出し、私たちもたくさんの相談を受けた。
また、被災地では停電や避難所生活でテレビを見ていなかった人たちが、のちにテレビを見出したとたんに、具合が悪くなったという話をたくさん聞いた。

テレビなどで感情的に話をしている人の姿を見たときは、客観的事実や出来事と、話をしている人の個人的な感情を区別して見ていないと、簡単に自分の感情を操作されてしまう。

話している人の感情の影響を受けたくないときは、「この人は不安なんだな」とか、「なぜこんなに感情的になっているのだろう?」などと考察をしながら客観的に見ると、話をしている人の感情との距離が取りやすくなる。

どんなコメントも「あくまでも個人の感想です」と思いながら見ることで、他人の感情の影響から自分を守ることができる。

※ここに一つ加えておきたいことは、映画を見るときにこのような見方をすると追体験できなくてつまらなくなるので、時と場合を考える必要があると思う。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?