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思い出はいつも雨色。

僕たちを守ってくれるヒーローには基本的に制限時間が存在している。ウルトラマンもアイアンマンも常にそばに居てくれない。唯一、隣人のようなヒーローはアンパンマンくらいだろう。

僕は雨の日だけは世界中を無視して自分だけのヒーローになろうとずっと前から決めている。

今日は、なんと、雨音がアラームの代わりをしてくれた。ひたすら地面に打ち付ける雨音で僕は目を覚ました。「あぁなんて幸せな朝なんだろう」そう思いながら身体に張り付く布団をそっと剥がして、窓を眺めて少し物思いにふけった。

一体、どの地域まで雲が重なっていて雨をふらしているのかな?
何人がこの雨をみているのかな?
そのうちの何割が僕と同じ気持ちで愛おしく水滴を眺めてるかな?

そんな素敵な始まりをした今日は、雨と愛について書こうと思う。


雨の日が好きだ。特にお気に入りの瞬間は、

TOP 1. 傘もささずに雨の中ひたすら歩いて、びしょびしょになること
TOP 2. 窓から眺める雨と風景の融合
TOP 3. 水溜りに移る別世界を綺麗に捉えること

晴れの日ほど、気持ちは憂鬱になる。雨の日ほど気持ちは晴れ晴れとしている。なんだか卑屈な感じ方だ。
だけど今日はそんな僕も大好きです。


雨が好きな理由はいくつもある。

①周囲の音が聞こえにくくなること
 僕は周囲の音にすごく敏感だ。家族の足音、スリッパを引きずる音、やかんを置く音、椅子を引きずる音。これくらいなら大丈夫。もう慣れた。
 だけど、人混みに行くと気分がモヤモヤしてくる。すれ違う人の息遣い、会話、適当にものを置く音。何かがぶつかる音。快晴であればあるほど音は響く。音に随分と悩まされて生きてきた。

 それに音が響きやすい日に限って、僕の心の声は耳障りだ。振動が伝わりやすい張り詰めた快晴の日には糸が四方に張り巡らされて誰かのイライラや悲しみ、もやもや、嬉しさ、楽しさなどが勝手に伝わってくる。本当に聞こえているわけじゃないけど、どうしても引っ張られる。

 だから晴れの日はちょっとだけ息苦しい。ピンと張った糸が僕をがんじがらめにする。

 だけど雨の日は雨音がそんな全てをかき消してくれる気がする。雨音だけに耳を傾けていれば自然と心が落ち着く気がする。


②晴れが続くとノイローゼになる僕
 かつて西海岸に長期間滞在していたことがある。夕方頃から霧がかかり目の前が見えなくなることはよくあった。だが、僕が到着してから2~3ヶ月、一切雨が降らなかった。

 気づけばいつの間にか雨を欲していた。雨が降ってきて欲しかった。

『there のない カリフォルニア』というリービ英雄さんによる文章を目にした人もいるかもしれない。僕はまさにネイチャーショックに陥った

明日も明後日も晴れなのかもしれないと感じ、世界は一切前に進まない気持ちがして焦燥感に駆られ憂鬱になった。

 初めて向こうで雨を見た時。踊った。はしゃいだ。隣にはパリ出身の親友がいた。一緒に騒いだ。パリもやっぱり雨が素敵な街らしい。この時、僕はきっと将来パリに住むんだろうなって感じた。

③雨と僕は似ていること
 ウディアレン監督が僕はすごく好きで、『A Rainy Day in New York』は僕の憧れの人Timmyも出ているから僕の映画ランキングナンバーワンなんですけど。

 主人公のギャツビーは、古風なものオールドスタイルのニューヨークを好む。雨が降ったセントラルパークを「ムーディ」だと言う。最後には雨の中ヒロインとキスをする。

 それに反してエルファニング(これまた僕の大好きな女優さん)演じるアシュリーは雨が好きではない。彼女の求めるロマンティックは雨の中よりも有名な俳優との刹那の恋にあった。

 「雨が好きか?」と聞けばたくさんの人が嫌いという。雨が降ると、外に出るのが億劫だと。髪のセットやメイクは崩れるし、服や靴下はグジュグジュだし。

 あぁなんだか僕の思う僕に似ているといつも思う。僕は自尊心がすこぶる低い。いつもこの環境に僕は邪魔なんじゃないか、いない方が良いのではないか、きっと役に立てない。と自分を下げて下げて下げまくってしまう。下げまくった自分の価値や自尊心は地面に向かって垂直に落ちて衝突して弾ける。(本当はそんなことない。周囲の人々が僕を好きでいてくれて、君が必要だと言ってくれて、頼りにしてくれる。嬉しい。だけど、そう考えるのをどうしてもやめられない)

 なんだ、僕と雨は仲間じゃないか。雨も嫌われたくて世界に降ってきているわけじゃない。僕もそうだ。ならば同類同士好きになろうって思った。



雨を好きになれた僕は幸せだ。恋愛も雨で始まることが多かったし、今でも忘れられない友達との遊びは必ず雨が降っていた。思い出は常に雨色をしている。

そんな雨を愛する僕は決めていることがある。

雨の日だけは自分を大好きになろう

ということ。


普段買わないようなコーヒーを飲み、スイーツを食べ、映画を見て、なんなら好きな人を誘ってデートをする。それから朝早く起きてカフェに行きモーニングを頼み読書をする。

僕はこれだけで幸せだ。

ここにある幸せは全て自分のうちから湧き上がってくる温かみのある幸せだから、怖くない。死にたくもならない。


きっと、世界中の多くの人は「雨が降っているから」と言うだけの理由で、遊びをキャンセルし、移動手段を変え、気分を憂鬱にさせる。

僕は少し、寂しい。

こんなにも素敵で、こんなにも綺麗な世界が一夜にして出来上がる。世界中に天然の鏡が配置されて、光という光が柔らかく反射し屈折を繰り返す。世界がまるで一つの水滴に閉じ込められたかのような感覚に陥る。

雨が上がる頃も美しい。少しだけ晴れ間が見えだすと鳥がそれを知らせてくれる。彼らの義務だからね。たまに虹も見える。僕はこの前自転車で虹を麓まで追いかけた。そして薄暗めのグレーの世界は青色を内部で乱反射し、今度は綺麗な水晶に変わる。

僕は雨の景色が好きだ。

これは日本人特有の感性だと思う。もちろんフランスのパリ人にも似たような感情があるだろう。きっとカナダのバンクーバーの方々にもそう言った感性があるかもしれない。


僕らは雨の国に生まれてきた。


遠く離れた海の向こうの国が、ビーチで日焼けすることを遊びとするなら、それに倣うのもいいけど。
雨を楽しむような工夫や、遊びを考えるのもまた一興だと思う。そして洒落ていると思う。


もっともっと雨が素敵だって受け入れられて、雨音に少しワクワクするような些細な愛が多くの人の心に芽生えたらいいなぁ。
僕に何かできることはあるだろうか。

雨はもう直ぐ止むだろう。
だけど、これから僕はお気に入りのカフェに行き、コーヒーとデザートを食べる(よだれ出てきた)。それから家に帰り課題を少しだけして、映画を見る。なんて素敵な雨の日だ。



れいんどろっぴーす


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