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映画「賭ケグルイ」2作品の魅力的すぎるボスキャラ達

はじめに

先日、賭ケグルイの映画1作目と2作目を視聴してきました。
軽く感想を語っておくと、本当に面白かったです!
映画全体の感想はこちらのfilmarksに載ってます!


そして今回は何を書き殴ってくのかというと。
賭ケグルイの映画のオリジナルキャラである
「村雨天音」と「視鬼神真玄」の2人についてです!

映画ではある意味、ボスキャラとして登場したキャラである2人ですが
このキャラたちの魅力が私にぶっ刺さりすぎました!
なので、この2人についていつも通り書きなぐっていきます!

「村雨天音」

どんな人?

映画一作目に登場するオリジナルキャラクターですね!
宮沢氷魚さんが演じられています!
ギャンブル絶対主義である学園において、負け組である家畜たちを束ねて
「非ギャンブル」「不服従」を掲げる組織「ヴィレッジ」のリーダーですね。
彼ら弱者を守り、救いの手を差し伸べ、学園の意向に反抗しています。
彼自身は過去の出来事から「賭け事は何も救わない」「もうやらない」と言っています。
そして、劇中で語られているようにこのギャンブルまみれの学園の頂点の生徒会長に勝利したことがあるという設定!
もうワクワクするしかない!
なんかゲームとか漫画でいう裏ボスキャラみたいな設定で滾りますよね!
穏健派のトップが実は作中トップクラスの実力の持ち主という
男のロマンが詰まりまくっている!

性格もかなり穏やかで、争いごとは好まない様子。
それでいて、賭け事大好きの賭ケグルイの主人公の夢子さんに
「何か悩みはないですか?」と優しく聞くなど、もうイケメンすぎるだろ。
こいつ。

持ちうる能力

作中では、駆け引きや胆力、洞察力などの人の上に立つうえで必要な要素をギャンブルによって養うといった設定があります。
主人公である蛇喰夢子さんは、圧倒的な洞察力や駆け引きの上手さはもちろんのこと、賭けごとを楽しむという狂気をもって相手を圧倒します。
金のためや相手の上に立つためとかではなく純粋な「楽しみ」で勝負するギャンブラーです。
では、映画一作目のボスキャラである天音さんはどのような強みを持つのか。

それは、「圧倒的な動体視力」です。
はい。ある漫画を知っている人なら分かるかもしれません。
はい。「神」です。

作中では、トランプゲームが行われていたのですが、他のプレイヤーは相手が何を出すのか予測して自分の出すカードを決めています。

しかし、天音さんはカードが配られた際に、
隙間から見える僅かな絵柄からカードの種類を特定。対戦相手が配られたカードを記憶し、相手が手札をシャッフルしたとしても並外れた動体視力でカードをとらえ続けてカードの並び順を完全に読み切るというバカげた力を見せます。

他のギャンブラーが運や予測や心理戦を行う中、単純なフィジカルでごり押しします。
そうです。心理戦が通用しません。
だって知ってるから。
完全にチートです。
他の種類のゲームでは分かりませんが、ことカードゲームに至ってはマジで強いと思います。

過去の出来事

物語序盤はヴィレッジのトップとして特に大きな動きはありませんでしたが、中盤から大きく動き始めます。
組織が壊滅しかけ、ギャンブルに参加しなければならなくなったときに
仲間たちは「立ち上がろう!」「自由を勝ち取るんだ」と一念発起します。
しかし、彼は乗り気ではない様子。
「ギャンブルは何も救わない」
彼はこの考えを曲げるつもりはなく、圧倒的な実力を持ちながら勝負の舞台に上がろうとはしませんでした。

これについては、過去の出来事が大きく関わっています。
それは姉の存在でした。
彼は生徒会長とのギャンブルに勝利することで、家畜に落とされた姉を救おうとしたのです。
結果、ギャンブルに勝利し、姉を救うことが出来たのですが。
なんと、その話をした直後に姉は飛び降り自殺をしてしまいます。

何が何やら分からない天音さん。
「なぜ姉は自殺したのか」「ギャンブルは何も救わないのではないか」「自分に出来ることは何かないのか」
自分の力で姉を救ったはずが、自分の手で殺してしまったとも考えられます。
この出来事から「姉と同じような弱者を救う」「ギャンブルは二度としない」と決めてヴィレッジという組織を作ったと思われます。

作中の活躍

劇中でギャンブルに参加することになる天音さん。
仲間のピンチに駆け付けます。
マジでヒーロー。軽く相手を完封します。

そして2戦目。
身内に裏切者がいると分かり、ピンチに。
「やはりギャンブルで何も救えない」「自分には何もできない」と悩みます。

そんな天音さんに、主人公の夢子さんは
「お姉さんは本当にあなたに救ってほしかったんでしょうか」
と尋ねます。
他人に左右されるのではなく、自分自身を信じて踏み出すからこそ人生は輝くのだと。
ここから、お姉さんがなぜ自殺したのかがなんとなく分かります。
「弟に自分の人生を救われてしまったから」ですね。
自分で這い上がるチャンスも自分の可能性を信じることも出来ず、
弟に救われてしまい、自分の価値が感じられなくなったのかもしれません。

それを知って彼は、そこで初めて相手の手札を見るのではなく、先に出す手札を決めます。
彼が初めて自分の運というか自分の可能性を信じて一歩踏み出した瞬間ですね。
ある意味初めてギャンブラーになったともいえる。

そして、そんな彼の姿を見て、誰かに守られるのではなく、自分自身で突き進もうとした仲間たちにによって天音さんは勝利を手にします。

もうね。本当に主人公だよ。あんた。

しかも、今までの天音さんの道のりがすべて間違いではなく、
誰かを救おうと手を差し伸べてきたからこそ、最後仲間たちが彼を救ったのよね。
姉の未来をつぶしてしまったかもしれないけれど、彼は確かに弱者たちの心を救っていたんだよね。
そして、互いが自分の意思で一歩踏みだしたからこそ、あの映画のラストにつながっている。
マジで最高よ。


魅力

「圧倒的な実力」と「過去のトラウマからくる精神的な弱さ」ですね。

実力は明らかに高いし、洞察力もずば抜けている。
作中では「強者」として描写されています。

しかし、彼の内面には破滅願望にもみえる精神的な弱さが見え隠れします。
過去のトラウマから、「実は何も救えないのではないか」という疑念があり、自分の力を信じて前にすすむことが出来なかった。

そんな「強さ」と「弱さ」を兼ね備えた魅力的なキャラであると私は思いました!



「視鬼神真玄」

そして、2作目のボスキャラ。
シキガミさんですね。
ぶっちゃけこいつには言いたいことが死ぬほどあります。
以前学園をつぶしかけて停学をくらっていた超問題児。
そんな彼はどんな人間なのか。

狂気 卑怯 狡猾

彼は常に不穏な空気を漂わせており、非常に危険な存在です。
明らかにやばい人。
ギャンブル漫画にはよく出てきそうな人だよね。
そんな彼が、なぜ危険なのかというと。


・人が死ぬと脅して降参させる。
・学園中に爆弾を設置して、生徒を人質にとる
・ロシアンルーレットで、空砲と実弾を自由に入れ替えてイカサマをする。といった感じで、終始まともにギャンブルをしません。

基本は相手の弱みに付け込んで脅し、相手の降参待ちです。
搦め手ですね。
彼の劇中のセリフですが
「ギャンブルってのは、勝つと決まって席につく」と言っています。
そのぐらい勝ちに執着している男です。
勝ちのためならば、どこまでも卑怯に、狡猾になることが出来るのです。

彼にとってギャンブルは勝つためのものであり
夢子さんのように楽しむものではない。
という考え方ですね。

というか、賭け事をする以上リスクがあるのは、当たり前です。そして、そのリスクを出来るだけ回避したいと考えるのも当たり前です。
そう考えると、圧倒的な権力を後ろ盾に、相手が降参すように仕向けることは一見卑怯にも見えるかもしれませんが、非常に合理的です。

というか、のこのこ相手の陣地にろくな対抗手段もなしにやってくる対戦相手の方が危機感が足りていないとも思える。

本質

そんな彼の本質ですが「臆病」だと思います。
というか実際は「普通の人」なのかもしれません。

劇中で最後にロシアンルーレットを自分が受けることになり、
しかもそれが想定と異なり実銃であると判明して
死ぬほど取り乱します。
さっきまでの強キャラ感はどこに。
あほみたいに命乞いをし始める。
泣き叫び、最後には銃を自分からそらしてしまう。
実質的な敗北宣言ですね。

死のリスクを背負ってギャンブルを楽しむ夢子達とは異なり、
そんなリスクは最初から考えていなかったシキガミさん。
だって、彼にとってギャンブルとは勝って相手を屈服させるものであり、楽しむものでもなければ、ましてや自分の命を賭けるものとは考えもしていなかったでしょう。
ただ単純に相手の上に立つ一つの手段としか考えていなかったのです。

こういう所を見透かされて、会長からは「つまらない」と言われていたんだろう。

臆病ゆえの準備。

馬鹿正直に学園のルールに従ってギャンブルをするやつらに対して、確実に勝つためのギャンブルをしている。
そのための準備は徹底しており、相手の弱みや弱点を正確に理解して勝負中に追い詰める。
イカサマもちゃんとやる。

この学園は将来人の上に立つ人材を育てているらしいので、それを考えると馬鹿正直にギャンブルに挑むより、前もって裏工作をするのは当たり前だろとも感じる。
事前に相手を調べてしっかりと対策を練っておくことや、勝つための道筋を事前にを考えておくことなどは、洞察力とかと同じくらい必要な要素なのではないか。

そう考えると、主人公サイドとは別の側面で、人の上に立つものとしての要素を身に着けているとも思える。
自分が勝つため、または有利になるための根回しをしておくあたり、シキガミさんは色んな意味で優秀だと言える。

実際それで、この学園の上位ギャンブラーを倒してるので、ある意味正解。
洞察力や運、胆力などの要素で勝てない相手にどうすればいいかを考えた結果があれなのかもしれない。
実際に、作中の駆け引きの面では明らかに上位勢には一歩及ばない実力ではある。
しかし、洞察力がまったくないわけではない。

劇中では、
・メアリさんが人の死を背負えないことを見透かして脅す。
・夢子さんに対しては、自分の命は掛けられるが、他人まで巻き込めない性質とかギャンブルが好きならそれをするための学園を人質にとるといった対策。
・最後のロシアンルーレット中も狡いイカサマしながら、ちゃんと鈴井くんの覚悟のなさを把握して味方を撃たせて降参を誘発する。等

ちゃんとそれぞれの弱点を理解した上での策略を考えて実行している。
明らかに実力差のあるギャンブラー相手に勝つための手段として搦め手を利用しながらも、しっかり心理戦もしかけてる。
事前の準備が活きてるよね。

演技について

藤井流星くんの演技も素晴らしい。
単純に見ると、セリフも結構棒読みだし、変にピクピクしてるし、厨二病かよみたいな雰囲気だし、狂気を纏うキャラを演じるにしては演技力が足りないとも思える。
あまりにも記号的な狂気キャラに見える。



しかしそれは、シキガミさんというキャラを通すと、印象が変わる。
彼の本性は、かなり薄っぺらい男なのだ。
夢子さんたちと違いギャンブルを楽しむという思考ではなく、勝つためにギャンブルをする男。
なので、命を賭けるとか出来ない男なのだ。
「ギャンブルとは勝つと決まって席に着くのだ」

自分は出来るだけ安全が保障されている場所にいて、勝てる勝負しかしない。
だからあそこまで狡猾に準備を進める。
死にたくないからこその準備である。


そしてそんな彼の劇中の振る舞いは、相手をビビらせるための演技なのだ。
本当は弱い自分が、相手に精神力で優っていると錯覚させるための演技。
自分は異質であり、イかれた狂人であると目の動きや独特な所作や話し方をすることで、必要以上に相手にアピールをしている。

なのであんなにも記号的に見えるし、仮面をかぶってそのまま演じているように見えるのよね!
それらの要素を踏まえた素晴らしい演技でした!


魅力

彼の魅力は「弱さを隠すための狂気」「強者を演じる弱者」
これですね。
すごい奴かと思ったら、実は全然そんなことはない的なキャラクターっていっぱいいると思うんですよ。
特に小物の敵だとめっちゃいる。

小物キャラって、自分の身の丈に合わない結果に酔いしれて、自分の弱い部分に気づかないことが多い。それが原因で足元すくわれるみたいな展開が多い。
でもシキガミさんの場合は、自分の勝手な妄想にもなるけど、自分の弱さに向き合った結果ああいうキャラになったとも思う。
ギャンブルでの純粋な読み合いでは勝てないことが分かったからこそ、盤外戦術や事前に出来るだけ自分に有利な環境を作っておくなどの手段を取ったのだと思う。
無理してイカレタキャラを演じているのも、相手に対して精神的に有利に立つため。
自分が弱者であるからこその、彼の努力は素晴らしいと思います。

強者を目指して狂人を演じるも、本当の狂人に負けてしまうのも悪役として本当に素晴らしい。
というか、罠にはめることは考えても、罠にはめられることは考えてない辺りは詰めが甘いよね。
こういうところも魅力よね。


さいごに

本当に二人とも、実写映画オリジナルキャラと思えないほど、魅力にあふれている!
というか世界観にマッチしすぎている。

ギャンブルに意味を見出せない天音さん
ギャンブルに勝つことに意味を見出すシキガミさん

このギャンブルに対する向き合い方も面白い!
また、劇中での扱いも面白い。
「強者として見られている天音さん」と
「強者として振舞うも弱者であると見抜かれているシキガミさん」

という対比もいいよね!

そこに「ギャンブルに対して楽しみを見出し、圧倒的な狂者だとみられている夢子さん」というド級の劇薬が主人公なのも面白い!

それぞれのキャラクターが、ギャンブルを通して色んな思惑で絡み合い、衝突する。
とても素晴らしい映画作品でした!

アマプラで見えるので
ぜひ見てください!



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