”中間期的な快適性”とパッシブデザイン
パッシブデザインとは
"パッシブデザイン"とは建築空間の環境を制御する手法のうち、設備エネルギーに拠らない環境制御の手法のデザインのことを言います。断熱や日射遮蔽の庇などさまざまな手法を組み合わせることで設備エネルギーの負荷低減を図ります。
“閉じた系”と”開いた系”
これらパッシブデザインの手法には”閉じた系”と”開いた系”の2種類の考え方があります。
閉じた系とは外部環境を遮り影響を小さくすることにより負荷を小さくする考え方で、断熱や日射遮蔽といった要素技術が代表的です。
開いた系とは外部環境を取り込むことにより負荷を小さくする考え方で、日射取得や通風、自然採光といった要素技術が代表的です。
パッシブデザインはこの”閉じた系”と”開いた系”の組み合わせやバランスによって設備エネルギー負荷を小さくしながら屋内環境が快適になるようデザインします。
”自然に開かれた建築”のパッシブデザイン
”自然に開かれた建築”としてのパッシブデザインはこれに時間軸を加えて、設備エネルギーに依らない快適時間帯をより長くすることを目指します。「”中間期的な快適性”をパッシブデザインによって引き伸ばす。」とも表現できます。春や秋といった季節的な中間期、あるいは夏の早朝や夕涼み、冬の日中の陽だまりの心地よさ、これら”中間期的な快適性”は、自然に開かれた建築の目指す空間体験の価値観のひとつです。
パッシブデザインの目的として、設備利用時のエネルギー負荷をできるだけ小さくするという考え方が一般的ですが、設備利用時間を短くして設備エネルギー負荷を小さくするという考え方もあります。この二つは似ていますが目指す空間の質が異なります。”自然に開かれた建築”の考え方としては、設備エネルギーに依らない快適時間帯を如何に長くできるかを目指しているので"開かれた系"の要素技術によって空間化され、不定性で多様な変化のある空間の質になります。
年間では春や秋といった中間期と呼ばれている快適な期間をより長く、夏季の一日の単位では夜間や早朝の爽やかな時間帯をより長く、冬季の一日の単位では昼間の日射による暖かさを感じられる時間帯をより長く、体感できるようにパッシブデザインで工夫します。
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