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砂糖



向日葵のまばたき
 
大きく
閉じて
開いて、連れていた葉影の夢は矛盾
 
溶け残って
甘い
底の方を斜めにして流れ始めたキラキラ、この
停止した
時の中を滑り降りて来るのは
 
受け入れるような口角を固めて
のぞかせた舌先で、本当にたたかうべき
やさしさが美しく 上り下る幻に触れて
 
ふりがなが浮かぶ頭上の愛は、
いつも横書きだったと
傘を開きながら想う、
濡れることのない雨のにおい、
月の海を行くような
 
幻想の歩幅で歩く、
現実の
聞き取れない足音に守られた時を
テーブルに置いて、冷たく光る
手の中に残った
鍵をぶら下げて鳴らす
 
手放せなくなったものの
手の内で
 
張り付いていた言葉が錆びて剝がれた
海辺の青い車、
波音のする方へ
向けた鼻先の流線、うまく風を逃がしてまだ
ここにいたいと光っている






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