氷華
氷に
閉じ込められた花が外気に触れて、深い
虚空に
ゆれる葉っぱ、ここに
来るまでのどこかで、反転する
もうひとつの顔を放した
さびしさに
重ねた無音が ふるえる
心を照らす、光は
光だけで満たされた光から
踏み出して、遠く
見つめた光を持ち帰る、僕はその断片を
信じていた、人には
見せない
仕事終わりの真っ赤な手のひらみたいに、
花びらの
真紅が散った言葉を忘れない、目的や
価値の
外で散る言葉たちのことを想っている、誰にも
干渉できない幸福がめぐる
この身体で受け取っている、どこまでも
広がる架空の森に届く光、限りなく
燃えて、ほどける指先で
触れている、冷えた白い空に
消え入る語尾から
伸びて来る枝葉が遊ぶ
朝の表情、君の知らないところで
はじまる
今日を愛してみる
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