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日蝕



きのうの
街に届いていた、サイレンが今
吐き出した
この息に乗る、
寂しさについて
歌ってきた
シンガーのそばで
 
幽かに
あしたから追いかけて来る
カノン
 
畏れていた闇から生まれる、忍ばせておいた
黒いルージュを滲ませて
夜に映した
時間の
表情
 
いつか思い出す
疲れ切った
今日の私を連れて、遠慮なく
人間に触れようとするものたちから眼を
逸らさずにいるとき、
立ち上がる
この景色の中から
 
遠く
流れて行くと
決めた
星が、閉じた
空にも映っている、どこまでも光って
 
満たされた黄色い
花たちの中に
封じ込めるための
鍵は無かった、
唇から散ったのは蝶の翅、季節を渡ろうとした
色に
息を呑む、
好きになった人に何度でも出会う






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