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カムヤライドがすごい

「俺の立つここが境界線だ!」

スーパーヒーローには決めゼリフが必要だ。「ニンジャ殺すべし」とか「天が呼ぶ地が呼ぶ人が呼ぶ」とか「銀のつばさにのぞみを乗せて」とか「だいたいわかった」とかそういうやつだ。そして久正人先生のカムヤライドもそういうやつだ。

冒頭は口上の一部だが、とにかくそういう決めセリフをぶちかます変身ヒーロー漫画だ。4世紀の日本、ヤマトタケルがめちゃくちゃピンチに陥っているところにふらりと現れて、代わりにクマソと怪獣(国津神)をぶちのめすやつだ。(メインビジュアルで蹴られてるやつがクマソの国津神だ)

おれはニチアサ文化に触れていないが、真の意味でキッズだったころはジバンとか仮面ライダーRXを見て育った。そんなころの心を正しく励起させる超かっこいいマンガだ。これを読んでるおまえは久先生がどれほどのパワを持つ漫画家かだいたいわかってるだろうが、おれはこの漫画から音と動きと熱を感じた。書き文字からではない。絵からだ。読み返してみるとビックリするほど肝心なところに書き文字が無い。初めて必殺光線が放たれたのなら「バシュウ!」とか書くだろう。おれだってそうだ。しかし久先生は必要最小限だ。効果線すらない。しかし「見りゃわかるだろう」そう言いたげだ。なんという漫画力だ。しかし最大の見せ場、怪獣に必殺技を叩き込んだ時、簡単に言うと封印が完成した時は「LOCK!」と出る。これは音ではない。概念だ。カムヤライドが完全に敵を制圧したという概念だ。ニンジャスレイヤーで完全に死んだ敵が必ず「サヨナラ!」て言うのと同じだ。そりゃそこは書くわ。最高。

あまりの衝撃におれはトーチウェブの試し読みから離れ、キンドルで電子コミックスを買い、アイパッドの大画面で単行本最新話まで堪能した。そのままねこの敷布団と化してした嫁様にアイパッドをパスし「いいから読んでくれ」と伝えた。嫁様は読み「面白かった」と答えたあと、再びねこの敷布団と化した。

とにかく激アツヒーローなので今後も単行本が出たら追いかけて行く所存だ。あと古墳時代の話なので主要人物としてヤマトタケルが出てくるが、ショタヒロインとして描かれている。

本文中の触手とケツがエロティックすぎていけない気持ちになりかける。久先生は屈強な漫画力を得るために悪魔と契約しており、その代償として出す本に必ず緊縛シーンを入れるゲッシュがあるのだ。そういう方面でも目が離せないので全員読もうな。


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