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深く。溺れる。底で歩く。

アンコウは泳げないらしい。
代わりに、海底を歩く。

海の生物は、すべて泳げるものだと思っていた。
海といっても、砂浜、深海、潮流が速いところなど、それぞれの場所は違う景色が広がる。
生き残るために、その場所に最適な進化を遂げるのは当然だろう。

ぼくも泳げない。溺れている。
波を上手に乗りこなすこともできないし
周りにいる仲間と並んで泳げない。

イソギンチャクと踊るクマノミに恋をする。
でも、逃げられて。傷ついて。

自分とは違うヒレがほしくなって。
泳ぎ方を変えて。
小さなエラで、目一杯の酸素を吸って生きている。

いつか、深く、深く、沈んで、
海の底で堂々と歩いて生きたい。

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