駆け出し百人一首(21)我が背子と二人見ませばいくばくかこの降る雪の嬉しからまし(光明皇后)
我(わ)が背子(せこ)と二人(ふたり)見(み)ませばいくばくかこの降(ふ)る雪(ゆき)の嬉(うれ)しからまし
万葉集 巻八 1658番
訳:愛しいあなたと二人で見たら、この降る雪もどれほど嬉しいでしょうか。
If I saw today's snow with you, how much I could enjoy it.
初雪、虹、満月。そういったものを見ると、大切な人と喜びを共有したくなりますね。光明皇后も、夫の聖武天皇と一緒にこの喜びを見たいと思ったのです。
反実仮想の「まし」が使われており、現実には今、彼はそばにいないのです。この歌を送ることで、「逢いに来て欲しい」という気持ちを伝えたのではないでしょうか。
文法事項
見ませば〜嬉しからまし:「まし」は反実仮想で、英語の仮定法同様、現実に反する内容を想像する。実際には、天皇はそばにおらず、一人で雪を見ていることが分かる。
古文単語
背子:女性から男性に親しみをこめて呼びかける語。darlingのニュアンスに近く、主に夫婦間・恋人間で使われる。背、兄(せ)とも。
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