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41-2.iCommunity☆ご案内

特集:集まろう!皆んなのiCommunity

下山晴彦(跡見学園女子大学教授/臨床心理iNEXT代表)

Clinical Psychology Magazine "iNEXT", No.41-2

注目新刊本「著者」研修会(オープン「事例検討会」第1回)

「ケース・フォーミュレーションの作り方と使い方」を学ぶ
−診断を超えて問題を具体的に理解し、支援方針を立てる−

【日時】2023年12月3日(日曜) 9時〜12時

【講師・事例発表1】林直樹 西ヶ原病院精神科/前帝京大学医学部教授
【講師・事例発表2】下山晴彦 跡見学園女子大学心理学部/臨床心理iNEXT代表

【注目新刊書】事例検討会で学ぶケース・フォーミュレーション(遠見書房)https://tomishobo.com/ca178.html

【申込み】
[臨床心理iNEXT有料会員](1000円):https://select-type.com/ev/?ev=7WzeCHCRtTg
[iNEXT有料会員以外・一般](3000円) :https://select-type.com/ev/?ev=m182I_t_wZM
[オンデマンド視聴のみ](3000円) :https://select-type.com/ev/?ev=-_ut7-PPVGc

ご案内中の注目新刊本「訳者」研修会

「ゲーム依存に対するスクールカウンセラーの総合力」を養う
−今の時代に必要な「ケース理解×チーム作り×スキルアップ」−

【日時】2023年11月23日(木曜:休日) 9時〜12時
【講師】益子洋人  北海道教育大学准教授
    花井博   愛知県公立学校SC みよし市教育センター
    松丸未来  東京都公立中学校S C 私立小学校S C

【注目新刊書】『ガイドブック あつまれ!みんなで取り組む教育相談』
(明石書店)
https://www.akashi.co.jp/book/b614338.html

【申込み】
[臨床心理iNEXT有料会員](1000円):https://select-type.com/ev/?ev=Wo6LMv_U6To
[iNEXT有料会員以外・一般](3000円) :https://select-type.com/ev/?ev=QqpgKZVmLgU
[オンデマンド視聴のみ](3000円) :https://select-type.com/ev/?ev=rdtauk6yLHY


1. iCommunityは専門職として成長する“場”

11月1日に公式にスタートした「iCommunity」は、メンバーが自由にオンラインで参加し、意見交換や情報共有をして心理職が専門職として成長していく“場”です
 
心理職や、心理職を目指す学生の皆さんが、お互いに助け合いながら、スキルアップやキャリアアップを目指す“場”です。4つのセクションから構成されています。まずは簡単な紹介です。
 
【書評コミュニティ】心理職として発展するための最新の知識を学ぶ“場”です。心理系出版社と心理職がタッグを組んで新刊書の情報共有をしていく学習最前線です。


 【実践心理職コミュニティ】専門職として成長するための情報交換と相互学習のユニットです。現場の体験を持ち寄り、心理職の“知恵袋”を共有する場です。

 
【学生コミュニティ】心理職になる難しさや迷いを共有し、みんなで成長していく“場”です。予備校などとも連携し、勉強法、試験準備、実習対応、論文執筆、就活などの課題を乗り越えていくオンライン教室です。

 【事例検討会コミュニティ】心理職としての専門技能を習得する中核となる研修の場です。ただし、今年度は、iCommunity内の「事例検討会コミュニティ」はスタートしません。従来の公開のオンライン事例検討会を行います※)。そのオンライン事例検討会の経験を踏まえて、来年度にiCommunity内の会員制事例検討会をスタートします。 ※)第1回のオープン事例検討会は、冒頭に示した『「ケース・フォーミュレーションの作り方と使い方」を学ぶ』です。詳しい内容は、本稿の後半で詳しくご紹介します。

*iCommunityは、心理職・心理学を学ぶ学生のみが登録可能なオンライン・コミュニティです。ご利用条件など詳細を知りたい方は、前号のマガジン(https://note.com/inext/n/n3277c86a6a66)もご参照ください。

<iCommunityご利用方法について>
 
■既に臨床心理iNEXT会員登録がお済みの方
マイページ(https://member.cpnext.pro/inext_member/login.jsf)から「iCommunity」をクリックし、必要情報(ハンドルネーム等)を登録することで参加可能です。
 
■臨床心理iNEXT会員登録がお済みでない方
一旦臨床心理iNEXTのホームページ(https://cpnext.pro/)から会員登録をしていただいた上で、マイページからiCommunityにアクセスいただけます。



2. 書評コミュニティ

現在、最も活発に動いているセクションです。既にコミュニティのメンバーが執筆した多くの書評が一般公開されています。下記URLでご覧ください。
https://member.cpnext.pro/inext_bookreview/bookreview_list.jsf
 
心理系書籍出版元の8社様(今後増える予定)にご協力をいただき、各社の新刊「推し本」を提供していただきます。提供いただく書籍は、随時コミュニテイ内に掲示されます。メンバーは新刊の書評本リストを見ることで、心理系出版トレンドを把握できます。

臨床心理iNEXTの有料会員(学生会員を含む)は、リスト掲載されている多数の書評本の中に関心のある書籍があれば、評者として書評を書くことができます。その際、出版社から当該書籍が謹呈本として指定の住所に送られます。

<書評投稿までの流れ>

・書評コミュニティより、評者になりたい書籍を選び、書評の投稿を申し込みます。その際、先着2名までが申し込みできる仕組みになっています。定員に達している書籍の書評申し込みはできません。お申込み時に、書籍の送付先住所も入力いただきます。

・申し込み後、指定の住所宛てに書籍が送付されます。評者は書籍の発送後1ヶ月以内500〜1000字の書評を書いてシステム内で投稿します。

書評では、読んで面白かったこと、参考になったこと、役立ったことなど、お薦めポイントを中心に、評者の感想を記載します。読書レポートのように気楽に書いていただくので結構です。書評本は、評者に無料で差し上げます。書評執筆で最新テーマを勉強し、しかも高額な書籍をゲットできる、お得な仕組みです。2〜3冊ほど書評すれば有料会員費用と同等の金額の本を手に入れることができます。
 
臨床心理iNEXTの無料会員(フロンティア会員)として、コミュニティを利用いただいている方は、書評本リストのほか、投稿された書評やコメントを閲覧することができます。書評リストには検索機能がついており、フリーワード(書籍名/著者名/出版社名など)やタグなどから、関心のある書籍を手軽に検索していただくこともできます。
なお、書評やコメントを参考にして「iNEXT推し本大賞」や「ベスト書評賞」を選定したり、著者を招いての勉強会や読書会などのイベントを開催したりすることも検討しています。


3. 実践心理職コミュニティ(+SCコミュニティ+安心ゲット)

臨床心理iNEXTの実践心理職初級会員がiCommunityに参加すると、自動的に実践心理職中級会員にアップグレードされます。初級会員は、心理実践を受け身的に学ぶ段階です。それに対してiCommunity参加は、他のメンバーと交流し、心理職としてのスキルアップと活動の発展に積極的に取り組む段階に移行したことを意味します。それで、iCommunity参加と同時に中級会員としてグレードアップすることとしました。

それに伴って中級用映像教材として、「メンタライゼーション」「ブリーフセラピー」「エキスポージャー」「代替行動アプローチ」「成人発達障害の検査と支援」「不登校の認知行動療法」や「依存に対する認知行動療法」といった中堅心理職にとって重要なテーマを解説する46動画講義も視聴できるようになります。もちろんそれ以外の400を超える動画講義全てを見ることができます。いずれもそのテーマの第一人者のエキスパートの講義ですので、学習機会は飛躍的に増えます。

※動画講義は、マイページ(https://member.cpnext.pro/inext_member/login.jsf)の「映像教材」からご覧いただけます。

現在、実践心理職コミュニティでは、フリートークの他にサブセクションとして「S Cコミュニティ」を設定し、活発な意見交換や情報共有が始まっています。冒頭に示したように11月23日(木曜:休日)には、S Cのゲーム依存対策ということで「ケース理解×チーム作り×スキルアップ」研修会が開催されます。そのような研修会とも関連してスクールカウンセラーの発展に向けての意見交換がなされています。
 
さらに、SCコミュニティから「安心ゲットプログラム」※)を活用できる仕組みになっています(有料会員のみ、SCコミュニティ内に安心ゲットプログラムの登録/ログインボタンが表示されます。尚、学生の方は実践心理職コミュニティ・SCコミュニティにアクセスできないため、安心ゲットプログラムをご利用いただくことはできません)。
 
※)安心ゲットプログラム
https://cpnext.pro/pdf/安心GETチラシ.pdf


4. 学生コミュニティ

公認心理師制度が導入されたことで心理職は国家資格として格上げになりました。しかし、それと同時に心理職を目指す学生さんは、学部生も院生も以前と比べものにならないくらい忙しくなったと思います

学部生は、公認心理師カリキュラムで決まっている科目の授業単位を取らなくてはいけません。実習にも参加しなければいけません。卒論も書かなければいけません。大学院受験の準備をして試験に合格しなければなりません。

院生は、2年間のうちに心理職の基本技能を習得し、学内及び学外の実習に参加し、基礎的な臨床経験を積むことになります。規定の実習時間を満たさなければなりません。その間に公認心理師の大学院カリキュラムの単位を取得するとともに修士論文のための研究、データ分析、執筆をしなければいけません。さらに修了前の3月に実施される公認心理師試験の受験準備も必要となります。そして、並行して就職活動もしなければいけなくなります。

目の回るような忙しさですね。以前のように心理職になることの不安や迷い、悩みを同級生などの友達と共有したり、語り合ったりする時間がなくなってきています。先輩や関係者に相談したり、アドバイスを受けたりする余裕もなくなってきているでしょうか。それは、とても残念なことであるとともに心配なことです。心理職になるためには、進路についての迷いの中で、様々な人に相談をして自分の進路を選択していく自己決定のプロセスが必要だからです

学生コミュニティは、そのような心理学系大学の学部生や大学院生の皆さんを中心としたコミュニティです。 大学院入試から資格試験まで受験勉強の仕方や、大学院での生活、資格取得後の進路など様々な疑問やお悩みを共有できます。また、iCommunity を利用する現役大学院生や心理職からの生の声やアドバイスを受けるチャンスもあります。 さらに、心理職系予備校の講師を招いての研修会も実施予定です


5.無料会員と有料会員の違い

iCommunityは、心理職資格(公認心理師又は臨床心理士)を保有している方、あるいは心理学系の大学又は大学院に所属している方であれば、登録手続きができます。

iCommunityの登録・利用には別途費用のお支払いは不要です。
 
ただし、会員種別(iNEXT有料会員か無料会員か)や、ステータス(学生か心理職か)によって、利用可能なコミュニティや機能が違ってきます。両者の機能の違いを図1に整理したので、ご覧ください。
 
無料会員は、コミュニティ内で行われている活動を閲覧できます。しかし、原則としてトピックを立てたり、コメントできたりする機能は有していません。ですので、iCommunityの活動に関心のある方は、まず無料会員となってコミュニティ活動を閲覧した上で、より積極的に参加したという気持ちならば有料会員に移行するということもできます。

図1


6.公開オンライン事例検討会

事例検討会コミュニティは、4つあるコミュニティの中で唯一、11月1日にはスタートしませんでした。当面は、従来通りのオープンな事例検討研修会を継続して開催し、その経験を踏まえて来年度にiCommunity内の「事例検討会コミュニティ」をスタートすることとしました。冒頭でご案内した注目「新刊書」研修会は、前者のオープンな事例検討会です。
 
各職場や大学、あるいは各学派研究会では事例検討会は行われています。しかし、職場の違いや学派の違いを超えて技能を磨く場としての事例検討会は意外と少ないのが現状です。特に地方の職場や一人職場では、事例検討会で学ぶ機会を得ることができなくなっています。それで、臨床心理iNEXTでは、心理支援の重要テーマに関してエキスパートを事例発表者や指定討論者に招いてのオンライン事例検討会を開催してきました
 
そこでは、若手が発表してベテランが指導するといった上下関係を排して平等に学ぶことを重視します。また、参加者や指定討論者が自己流の解釈を開陳するといった評論家的な事例検討会を排して、発表者が事例理解を深めるための学びの場にする構造としています。今回は、第1回の公開オンライン事例検討会として冒頭でご案内した『「ケース・フォーミュレーションの作り方と使い方」を学ぶ』を開催します


7.第1回公開オンライン事例検討会

iNEXTオンライン事例検討会では、重要テーマのエキスパートをお招きし、事例検討を通して心理職の知識とスキルを学びます。第1回のテーマは、「ケース・フォーミュレーション」です。ケース・フォーミュレーションは、「問題の成り立ちに関しての、明確で単純で、共有された理解」と定義されます。診断は一般的な診断分類枠組みに収斂するのに対してケースフォーミュレーションは、あくまでも個人ごとに異なる個別の問題の成り立ちを具体的に理解することです。また、診断のように医師が一方的に判断するのではなく、当事者や関係者と協働して作るものでもあります。
 
ケース・フォーミュレーションは、心理職の専門性の中核技能です。ケース・フォーミュレーションを学ぶことは、医学的治療とは異なる心理支援の専門性とは何かを知ることでもあります。そこで、第1回のゲストとして、境界性パーソナリティ障害の研究と臨床の第一人者で、松沢病院精神科部長や帝京大学医学部教授を務められた精神科医の林直樹先生をお迎えし、医学的診断との違いを含めてケース・フォーミュレーションの作り方と使い方について、事例検討を通して解説します
 
事例は、林先生と臨床心理iNEXT代表の下山晴彦が発表します。指定討論として若手の心理職二人が参加し、事例検討を行います。事例検討を通して「診断を超えて問題を具体的に理解し、支援方針を立てる」技能を学びます。心理職や心理職を目指す院生であれば誰でも参加できるオンライン事例検討会です。ぜひ多くの方にご参加いただきたく思っています。


8.発表事例の概略と参加者へのメッセージ

研修会では、事例発表者が「ケース・フォーミュレーションとは何か」を簡潔に説明した上で、自験例の経過を提示する。そして、若手心理職の指定討論を含めた事例検討を通してケース・フォーミュレーションの作り方と使い方を学ぶ。

【林先生からのメッセージ】 クライエントの評価は、心理療法を組み立てるための出発点である。しかしそこでは、さまざまな心理療法の間で共有可能部分を見出すことが難しいことがある。ケース・フォーミュレーションは、クライエント評価の基礎部分であり、それだけに種々の立場における評価の相互比較、そしてそれぞれの評価の深化を実現するためのプラットフォームとなりうる。
【林先生の発表事例】発表では、このような問題意識の下で、家庭内暴力の被害者となりPTSDを発症した50代半ば女性のケースを取り上げ、そのケース・フォーミュレーションによる評価と診断、そして約半年間の治療の経過を提示する。

【下山からのメッセージ】
ケース・フォーミュレーションは、アセスメント情報に基づいて形成する。したがって、アセスメントが不十分であったり、診断のための情報しかなったりする場合には、適切なケース・フォーミュレーションを作れない。その結果、適切な介入方針も立てられない。その点で適切なケース・フォーミュレーションと介入方針を立てるためには、アセスメントの技能が何よりも重要となる。
【下山の発表事例】クリニックよりOCDとして紹介されてきた大学生(その後に複雑性PTSDの可能性が出てくる)のケースを取り上げ、事例検討を通してどのように情報収集し、どのようにケース・フォーミュレーションを形成するのかをみていく。

■記事校正 by 田嶋志保(臨床心理iNEXT 研究員)
■デザイン by 原田優(公認心理師&臨床心理士)

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臨床心理マガジン iNEXT 第41号
Clinical Psychology Magazine "iNEXT", No.41-2

◇編集長・発行人:下山晴彦


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