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36-4.もっと知りたい!解離性障害

(特集:今求められる心理職の技能を学ぶ)

岡野憲一郎(本郷の森診療所院長/京都大学名誉教授)
松井浩子(あざみ野心理オフィス)
加藤直子(本郷の森相談室)
久野美智子(本郷の森相談室)
下山晴彦(臨床心理iNEXT代表/跡見学園女子大学教授/東京大学名誉教授)

Clinical Psychology Magazine "iNEXT", No.36-4

新規ご案内の研修会

注目[新刊書」著者のオンライン研修会

■解離性障害の理解と実践を学ぶ
−出会い方から支援の工夫まで−


【日程】6月4日(日)午前9時〜12時
【講師】 岡野憲一郎 松井浩子 加藤直子 久野美智子
【テキスト】「もっと知りたい解離性障害」(星和書店)
http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo05/bn1042.html

【方法】 Zoomによるオンライン研修会
【申込み】
【iNEXT有料会員専用お申込み】https://select-type.com/ev/?ev=84QvFZYdqCU
【iNEXT有料会員以外・一般用お申込み】https://select-type.com/ev/?ev=BzLU8zm45qU
【オンデマンド視聴お申込み】https://select-type.com/ev/?ev=Cq7kTrsfheA
※)オンデマンド申し込み締め切り:6/13(火)24:00
  オンデマンド配信期間:6/14(水)17:00~6/28(水)17:00

岡野 憲一郎 先生

ご案内中の研修会

■ 最新マインドフルネスの実践を学ぶ
―トラウマと反芻への臨床活用―

【日程】 5月27日(土)午前9時〜12時
【内容と申込】https://note.com/inext/n/nab5b374254b9
※ オンデマンド視聴申込締切:6月6日(火) 

■ 複雑性PTSDの理解と実践を学ぶ
―トラウマ焦点化治療の活用―

【日程】5月21日(日) 9時〜12時
【内容と申込】https://note.com/inext/n/n560d7865ed09
※ オンデマンド視聴申込締切:5月30日(火)

■ 質的研究法の基本を学ぶ
―論文作成の始めの一歩―

オンデマンド視聴:2023年5月17日(水)~ 2023年5月31日(水)
※)オンデマンド申込締切:5月16日(火)
【内容と申込】https://note.com/inext/n/n038be9bcdeef

1.もっと知りたい解離性障害

解離は、トラウマに関連して誰でもなる得る状態です。それが極端な形で作動し、生活に支障をきたしているのが解離性障害です。その中でも多重人格と呼ばれている解離性同一性障害は、自傷行為や抑うつ等の2次的問題の要因にもなるので、心理支援を必要としています。しかし、その実態や支援の方法はあまり知られていません。
 
そこで、「もっと知りたい解離性障害−解離性同一性障害の心理療法―」※)の編者である岡野憲一郎先生と、分担執筆者である松井浩子先生、加藤直子先生、久野美智子先生をお迎えし、「解離性障害の理解と実践を学ぶ」研修会を開催します。研修会では、解離性同一性障害の理解だけでなく、事例を通してどのような出会い方をして、どのように支援の工夫をするのかについても解説されます。
※)http://www.seiwa-pb.co.jp/search/bo05/bn1042.html
 
臨床心理iNEXTでは、心理職が知っておくべき共通基本テーマとして「トラウマ」を取り上げ、それと関連する「複雑性PTSD」、「(トラウマ治療)マインドフルネス」、そして「解離性障害」の研修会を連続して行います。これらのトラウマ関連の研修会については、本誌冒頭にご案内したようにオンデマンド視聴もできますので、多くの方が学びを深めていただければ幸いです。
 
以下に、「解離性障害の理解と実践を学ぶ」研修会講師の先生方にインタビューした記事を掲載します。


2.解離性同一性障害では人格が本当にバラバラなのです

[下山]御本の中で解離性同一性障害は誤解されているので、真実をしっかりと伝えたいという趣旨のことを書かれていました。それと関連して岡野先生が本書を編集された意図を教えてください。
 
[岡野]解離性同一性障害というと、人間の心にいくつかのバージョンがあって、その時々で違う顔を見せるものであると理解されがちです。そして、それは「普通の人間でも起きますね」と誤解されてしまいます。しかし、解離性同一性障害で起きていることは、多くの場合は、それぞれの人格の状態が本当にバラバラなのです。

たとえば、多くの人は、解離性同一性障害における人格の一部は「元の人格のある部分を代表している」とか「その人格が抑圧している部分を代表している」とかという想定をしがちです。そして、「この人格は、主人格のこういう部分を表しているんだ」や「こういう部分を抑圧しているんだ」といった分析的な理論を考えがちです。

しかし、交代人格は本当にバラバラで、他人同士であることが多いのです。お互いに利害が対立していたり、お互い恋愛関係になったりします。このように実に不思議なことが起きています。その部分が本当に我々の想像を超えています。


3. 解離性同一性障害のことをもっと知ってほしい!

[岡野]私自身も時々、「人間の心の中でこんなことが起きるのか!」と考えることもあります。ただ、その部分がわかっていないと、心理職にしても精神科医にしても、解離性同一性障害にどのようにアプローチし、どのように話しかけるのが良いのか本当にわからなくなってしまいます。だから、「解離性同一性障害の患者さんは、このようなことを体験している方なのですよ」ということをまず知っていただきたいと思いました。それで、本を編集したのです。

[下山]先生は、ご本の中で精神分析も解離性同一性障害をしっかりと理解できてなかったと書かれていました。フロイトは、「パーソナリティは一貫性がある」と言っているということなので、先生が体験されている「解離性同一性障害におけるパーソナリティのバラバラさ」は理解していなかったということなのでしょうね。
 
[岡野]実はそういうことなんです。フロイトは心を一つのものとしてしか扱っていませんでした。心が2つも3つもあることは想定していなかったのです。彼は、多重人格のことを意識していたけれども、科学はそれを知るための十分な知識を与えてくれていないとしました。むしろ、フロイトは、心が一つだという図式を考えて、その中で起きていることを抑圧としたのです。


4. 解離した人格でも共意識状態がある場合もある

[下山] 解離と類似する現象として境界性パーソナリティ障害のスプリッティングがあると思います。通常の、その人とは異なる感情表出をしたり行動化したりする分裂した状態と解離とは違うのでしょうか。ご本人も変だと気づいているけれどもコントロールが効かないというレベルの解離もあるのでしょうか。あるいは、解離というのは、主人格が他の人格に全く気づいていない場合のみを言うのでしょうか。
 
[岡野]昔の定義だと、それぞれが健忘障壁によって分かれているとなっていました。つまりAさんが出ている時にはBさんは眠っている、Bさんを今度呼び出すとAさんがやっていることを全然知らないということが起きていないと解離性同一性障害と見做されなかった。しかし、今の解離性同一性障害の定義では、結構いくつかの人格が共意識状態と言って、前の人格がやっていることを、後ろから見ていたりする。後ろから前の人格を操っていたりする場合も含めています。
 
[下山]黒幕人格というものですね。
 
[岡野]そうですね。その場合、前に出ている人格は、自分の口や手が誰かに動かされていると感じている。それを自分は見ているといったことが起きます。そのように意識が共に起きている場合もあります。ただし、一人が運転席に座っていて、あとの人はそれを客観的に見ているという形でしか起きないのです。ということで、体験は、一つの主体しか本当に体験できないのです。他の主体は、それを見ているという形でしかないのです。他の人格が何やっているか全然わからないという状態だけではないですね。ただ大抵は、一定期間記憶がなくなって、その時に何をしていたかわからなくなっています。その間に別の人格が動いているということですね。


5.解離とスプリッティングとの違い

[岡野]スプリッティングの場合には、「昨日、私は先生に対して怒っていましたよ。でも、今日は先生を尊敬していますよ。どこが悪いの?」という感じです。その2つの極端な態度に関して何も不思議と思っていないところがスプリッティングの特徴ですね。両方とも自分がやっている、自分が行為の主体であるということを意識しています。
 
[下山]解離性同一性障害の場合は、自分でもよくわからないままに行動しているのでしょうか。または、ある程度気づいていたとして手が出せないという感じでしょうか。
 
[岡野]手が出せない状態ですね。後ろで見ている人格は、前の人格が凄く暴れたり、凄く強い口調で人に対して怒ったりするのを、「なんでこんなことをするのか」といった感じで見ています。さらに、自分がそういう口調で話しているときには、「あれ、私ってなんでこんな強い口調で話しているのだろう」みたいな体験もします。実は、そのような場合は、背後で声による指示を出したり身体を操って二人羽織の状態になっていたりします。
 
[下山]解離性同一性では、複数の人格が本質的に異なる人格として動いているわけですね。ただし、人格間が全く独立しておらず、他人事のような微妙なつながりがある場合もあるというわけですね。


6.自分の解離性に気づくのは難しいのか?

[下山]そのような独特の解離状態については、研修会で詳しくお話をいただけると思います。ところで、そのような状態は、ご本人自身も理解するのは難しいと思います。いや、それ以前に気づくのも難しいのでしょうね。
 
多少気づいている場合には、自分の在り方について何か不思議に感じているということでしょうか。ご本人が他人格に気づいていない場合には、自分が解離性だということ自体にも気づいていないわけですね。そうなると問題を自覚してないので、相談や治療を受けることもないわけですね。
 
実際に先生のところに相談や治療に来られている人は、氷山の一角という理解で良いでしょうか。実は、表に出ているよりも多くの人が解離性同一性障害を持っており、さまざまな問題やトラブルを起こしているのにもかかわらず、それが解離性に起因していると認識されていないということはないのでしょうか。
 
[岡野]そういうことはありますね。実は多くの人が解離性の特徴を持っているということはあります。その中で予後が良い解離性の方の場合には、思春期とか青年期にかなり色々な人格が入れ代わり立ち代わり出て来ますが、そのうち出なくなります。40代、50代になると、昔解離していたことも忘れてしまうケースがかなりあります。


7. 解離性同一性障害の形成要因としてのトラウマ

[下山]解離性同一性障害は、発達プロセスとの関連で起きてくるのでしょうか?
 
[岡野]そのような発達プロセスで起きるケースがあります。しかし、それだけでなく、人生の上でのトラブルとかストレスを常に体験しているといった場合にも起きます。虐待者としての親が常に一緒に住んだりすると、自分の親の前では全くよそ行きの顔をするといったことがずっと続くことがあります。そうすると、この解離がずっと永続的に起こるということもあります。そういう意味でケースバイケースですね。
 
[下山]確かご本の中にもトラウマが解離性同一性障害を起こす要因にもなっているとありました。そのあたりのことを教えていただけますか。
 
[岡野]欧米の文献では、身体的な虐待や性的な虐待が幼少児にあることが必須と書かれていたりします。しかし、実際のケースにあたると、そこらへんが曖昧だったりします。あるいは実際の性的・身体的な虐待とは別の形でね、例えば、小さい頃にお父さんにくすぐられてもうこれ以上耐えられない、といった時に解離が始まったという方の話も聞いたことがあります。つまり、トラウマ以外でも、自分がこの体験をどうやって体験していいかわからなくて、隠れたい、逃げたいという時に気を失う人もいるかもしれない。

解離傾向を持った人の場合には、スッと別の人格ができてそれが取って替わって、自分は箱の中に入ってしまうといった体験ができてしまうんです。だから、それはトラウマ的でもあるかもしれない。また、他の身体的な苦痛、あるいは災害や事故に遭うことなども含めて、ある種の耐えがたい体験も解離のきっかけとなります。

さらに、本当に深刻な孤独を体験して誰にも癒されない、誰も話し相手がいない場合に、自分の中の別の人格と話したり、目の前の人形と話し始めたりということから、解離が生じるというパターンもありますね。


8. トラウマだけでない解離性同一性障害の形成要因

[下山]ある種の人間の苦悩とか苦痛の体験と結びついているということですよね。その体験をしやすいという意味では、発達障害、特に自閉スペクトラム症がある場合、敏感性や自我の硬さがあるので対人トラブルやトラウマを体験しやすく、解離性同一性障害になりやすいという理解でよろしいでしょうか。
       
[岡野] そうですね。過敏性があると、ちょっとした体験がトラウマレベルの強度に経験されます。それで、敏感な性格・気質、あるいは発達障害的な人たちは解離性同一性障害になりやすいですね。周りの人が見ると何でもないことも、本人はトラウマ体験として経験してしまいます。

ただし、我々がしばしば解離性同一性障害として出会う人として、発達障害とは逆に、人の気持ちが分かりすぎてしまう人がいます。相手の気持ちを強烈に忖度してしまうと自分が出せなくなってしまいます。そして、気がつくと、「お姉ちゃんだから〜しましょうね」と言われたことで、お姉ちゃん人格になるんです。“よい子”人格になるといったことも起こります。そのようなことが、発達障害とは別の文脈で起きてきます。

[下山]解離性同一性障害は色々な文脈で起きてくるんですね。ご本では、過剰適応の問題とも関わってくると書かれていました。

[岡野]そうですね。過剰適応をしていることもわからないぐらいの過剰適応です。


9. 複雑性PTSDと重なる解離性同一性障害の人の世界観

[下山]なるほど。解離性同一性障害は、それとは分かりにくい形で起きてくるのですね。そうなると、その分かりにくい解離性のあり方が2次的なトラブルや症状を起こしてしまい、問題が悪化する悪循環が起きやすくなりますね。解離性同一性障害の人が抱える問題としては、人間関係が崩れたり、自信をなくしてうつ状態になったりするということになるのでしょうか。
 
[岡野]そうですね。ただボーダーラインの患者さんと違うのは、解離性同一性障害の症状は人を動かすとか、あるいは操作するとか、そういうニュアンスがありません。多くの場合、自分の症状をコントロールできないということがあります。そして、特に主人格さんに見られるパーソナリティ傾向として複雑性PTSDの人の傾向と重なるということがあります。

自分に自信がなく、自分の存在が周りにとって迷惑になるんじゃないかといった世界観になっていくわけです。複雑性PTSDと解離性同一性障害では、幼少期に起きていることはすごく似通っています。

[下山]複雑性PTSDと解離性同一性障害で共通する問題行動として自傷行為があるかと思います。そうなると、自傷行為があるケースの場合、その背景に解離性同一性障害がある可能性も考えておかなければいけませんね。


10 . 黒幕人格とはどのような役割なのか?

[下山]自傷行為と関連して、解離性同一性障害における「黒幕人格」について教えてください。黒幕人格がクライエントさんを苦しめていることもあるのではないかと思ったりします。この黒幕人格という名称は、岡野先生が命名したと聞いていますが、どういう役割をする人格なのでしょうか。

[岡野]黒幕人格は、私が初期にお会いした患者さんの中で、「何か黒いものが自分の中にある」、「黒い影がよぎった」、「顔が見えない」などの表現をする人がいました。その中で、何か特殊な位置づけを持った黒っぽい灰色の顔が見えない人たちのことが、あまりにも頻繁に描写されるので、いつの間にか私がそれを「黒幕さん」と言い出してということなんです。
 
実は「黒幕さん」と言った場合、黒幕人格さんが聞いた場合に気を悪くすることもあるんです。最近、「そんな悪者みたいに言われているけどね、自分はそんな風に言われたくないんだ」といった手紙をもらったこともありました。だから、あくまでも敬意を払いつつ「黒幕さん」と言っています。他に良い言い方があればと思うのですが、やはりこの言い方が一番言いやすい。
 
私の患者さんの中にも、ご自身で「黒幕人格ってこうだよね」という方もおられます。「黒幕さん」は、要するに激しい情動を伴った人格です。多くの場合、自分に被害を与えてきた人格が何らかの形で自分の中に住み込んでしまうみたいなところがあります。
 
[下山]それは、「攻撃者への同一化」ということですね。


11.隠れた問題維持要因としての解離性同一性障害

[下山]黒幕人格などのお話を伺うと、解離性同一性障害は本当に複雑だなと、改めて思います。しかも、それとして分かりにくいだけに、気づかれないことも多いわけですね。気づかれないまま、さまざまな問題を起こしている可能性が高いですね。

先生は、ご本の中で「解離性同一性障害は特別なことではなく、誰でもなり得るし、誰でもそういうところを持っているものだ」という趣旨のことを書かれていました。そうなると、実際には多くの人が解離性同一性障害であることに気づかないまま、問題を起こしていると言えます。そして、解離性同一性障害が自傷他害や抑うつなど、さまざまな問題の隠れた維持要因になっている可能性もあることになります。これは、心理支援をする上で重要なテーマですね。
 
さて、研修会では、解離性同一性障害について、①診断のポイント、②関連する脳の話、③見立ての話をしていただき、その後に④事例などを通して問題がどのように現れてくるかをご説明いただくとお聞きしております。とても楽しみです。


12.研修会に向けてのメッセージ

[下山]④の部分をご担当いただく松井浩子先生、加藤直子先生、久野美智子先生から、読者の皆様にメッセージをいただきたいと思っております。

[松井]解離性同一性障害の患者さん、実は結構いらっしゃります。でも、治療を受けるのが怖いとか、信じてもらえないとか、あるいは受け入れてもらえないとか、そういう不安がすごくあって、治療に来る前からもう隠れてしまうことがあります。ですので、専門家の側が解離に関する知識をつけて、そういう人たちに積極的に関わることで、困っている人たちが助けを求められるようになります。そういう意味で多くの方が関心を持っていただけると嬉しいということをお伝えしたいです。
 
[加藤]交代人格という形で結晶化しないまでも、ちょっとした人格変容状態のような形で現れる人たちもいらっしゃります。ですので、解離に関する知識を得ることで臨床活動において見えてくる景色がかなり変わってきます。そういったところを、皆さんと一緒に勉強していけたらなと思っています。

[久野]私は解離の方とお会いしていて、本当に人の脳って不思議だなと思います。実際にそのように感じることが多いですね。事例を通してそのような脳の不思議を一緒に学ぶことができたらと思っています。

記事制作 by 田嶋志保(臨床心理iNEXT 研究員)
デザイン by 原田優(公認心理師 臨床心理士)

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臨床心理マガジン iNEXT 第36号
Clinical Psychology Magazine "iNEXT", No.36

◇編集長・発行人:下山晴彦

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