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34-2 臨床心理マンガ☆ジン(漫画人)創刊


(特集:iNEXT新装開店セール)

下山晴彦(臨床心理iNEXT代表/跡見学園女子大学教授・東京大学名誉教授)
三崎てるひこ(漫画家)
Kimi(臨床心理iNEXT NY特派員)

Clinical Psychology Magazine "iNEXT", No.34-2


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<ご案内中の事例検討☆研修会>

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―精神分析とCBTの接点を探る-

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[臨床心理iNEXT有料会員](無料):https://select-type.com/ev/?ev=iJ5RaUSCGeI
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1. 新年のご挨拶

新年明けましておめでとうございます。

臨床心理iNEXT代表の下山晴彦です。謹んで新年のご挨拶を申し上げます。

「臨床心理iNEXT」※)は、昨年暮れに全く新しく生まれ変わりました。今年は、「みんなの心理サービス−選ばれる心理職−」をモットーに、心理職の未来を創る活動を積極的に展開していきます! 

※)新生「臨床心理iNEXT」⇨ https://cpnext.pro

「臨床心理iNEXT」の新装開店の目玉商品の第一弾として、心理職の現実を伝える「臨床心理マンガ☆ジン(漫画人)」を発行することにしました。これは、心理職の現状を漫画で描き、多くの皆様に心理職とはどのような環境で、どのような活動をしているのかを知っていただくための新企画です。

どうぞ今年も「臨床心理iNEXT」を宜しくお願いいたします。


2. 心理職の現実を伝えたい!

世の中では、心の健康のために心理ケアの重要性が言われています。しかし、心理ケアを担う心理職がどのような活動をしているのかは、あまり知られていません。そもそも心理職とはどのような活動をする人で、どこで会えるのかということも、ほとんど知られていないのが現状です。

心の健康の問題は、さまざまな要因が絡み合って起きてきています。一人ひとり個性が違うように、それぞれ問題のあり方は異なっています。そのため、問題の改善や解決に向けての心理サービスでは、単純にマニュアル通りにすれば良いというものではありません。それぞれの問題の特徴を把握しての慎重な対応が求められます。

心理サービスでは、「このようにすれば絶対に大丈夫」とは言えないことばかりです。心理職は、決して恵まれているとは言えない環境の中で、より良い心理サービスを提供しようと日々奮闘しています。最善の心理支援に向けて試行錯誤する中でハラハラドキドキしながら問題解決支援の努力をしているのが、まさに心理職の現実です。


3. ハラハラ☆ドキドキ心理職 by「マンガ☆ジン」&Instagram

そこで、臨床心理iNEXTは、冒頭でお伝えしたように新生「臨床心理iNEXT」の新企画として、「臨床心理マンガ☆ジン(漫画人)」を、臨床心理マガジン特別号としてほぼ月刊で発行することとしました。

漫画のタイトルは、最善の心理サービスを目指して、試行錯誤しながら日々奮闘している心理職の現実を伝えるために「ハラハラ☆ドキドキ心理職」としました。

できる限り多く皆様に心理職の現実を知っていただきたいので、Noteの臨床心理マガジンとは少し趣向を変えて臨床心理iNEXT公式Instagramアカウントでも併せて発信をすることとしました。Instagramでは、NYの街角の風景なども交えて、より楽しんでいただけるための工夫をしております。

多くの人が、漫画を通して、心理職の活動を知り、心理サービスを上手に活用していただけるようになればと願っています。また、心理職自身は、日々の仕事に追われて、自らの置かれている状況を客観的に見直すということはあまりできていません。その点で漫画を通して心理職自らが自己確認をする機会なればと思っています。


4. 「ハラハラ☆ドキドキ心理職」のスタッフ紹介

漫画制作は、心理職の実情に詳しい漫画家の「三崎てるひこ」先生にお願いをしました。三崎てるひこ先生からは、臨床心理iNEXTでの連載スタートと関連する「ハラハラ☆ドキドキ心理職」第一作をいただきました。次項に掲載しましたので、ぜひお楽しみください。

「ハラハラ☆ドキドキ心理職」企画は、臨床心理iNEXTにとっては、全く新しい試みです。そこで、心理職でありデザイナーでもある「Kimi」さんに、臨床心理iNEXT公式Instagramアカウントでの発信を中心に企画全体のプロデューサーをお願いしました。Kimiさんは、日本で心理職として働いた後に、現在は米国NYで活動をされています。

連載に先立って私が、三崎てるひこ先生とプロデューサーのKimiさんにオンラインインタビューの記録を掲載しましたので、ぜひお読みください。


5. ハラハラ☆ドキドキ心理職①


6. 漫画家「三崎てるひこ」先生は、どのような人?

[下山]三崎先生には、心理職のハラハラドキドキした日常生活や活動を描いていただくということで、どうぞ宜しくお願い致します。まずは、三崎先生がこれまでどのような漫画を描いてきたのかを教えてください。

[三崎]私がどんな漫画を描いてきたかについてですが、遡ると投稿を始めたのは少年ジャンプです。ギャグ漫画家になりたいと思って漫画を描き出しました。いわゆるドラゴンボールとかワンピースなどが載っている週刊少年誌に最初に投稿しました。本格的に道具とかを揃えたのが大学生の時でした。

ちょっと話が逸れるんですけど、お笑いが好きだったので、大学生の時に漫才のM-1グランプリの大会にも出たことがありました。友達に「ネタ書いたから一緒にやろう」と言って、1回M-1グランプリに出たけど、やっぱ自分でやるのは違うと感じました。演技力とか、漫画とは違うところを色々求められるので、うまくいかなかった。それで、漫画の方で表現しようということで、また戻ってきて漫画を描き始めました。

[下山]え!漫画家ではなく、芸人を目指したこともあったのですね。


7. 漫画家「三崎先生」は、芸人&心理職だった!

[下山]漫画を描き、芸人を目指した三崎先生は、心理職や心理サービスとはどのような関係にあるのですか。

[三崎]大学生の時は、実際のところ「漫画で食べていくのは難しいな」と思っていました。それで、もう1つ興味のあった心理学を漫画と平行して勉強しました。心理学を専攻しつつ、ちょこちょこギャグ漫画を描いて賞に応募したりしていました。

大学院修了して臨床心理士となり、心理職1本で働き出しました。しかし、諦めきれずに漫画の大賞に応募したところ、「日中韓新人MANGA選手権」に出場しませんかと声がかかりました。それは、日中韓7人ほどの代表が出て5日間ぐらい合宿して籠って漫画を描き続けるというものです。

私以外には、仕事をしながら漫画を描いているという人はいなかった。それで、「まあ私は無理だろうな」と思っていたら、まさかの2位をいただいた。そこから結構漫画の仕事が入り出したので、心理職をしながら漫画の仕事もちょこちょこしています。

[下山]なるほど、三崎先生は、漫画家であり、心理職でもあるのですね。心理職業界では、大学教員をしながら心理職をしている人はいますが、漫画家であり心理職というのは、あまり聞いたことがないですね。心理職にとっては、貴重なタレントです。ぜひ、宜しくお願いします。


8. 漫画の力を借りて心理職の存在を伝える

[下山]さて、「ハラハラ☆ドキドキ心理職」の総合プロジューサーをお願いしているKimiさんですが、心理職であるだけでなく、デザイナーとして色々とお仕事もされていると聞いております。今回は、臨床心理iNEXTのN Y特派員になっていただき、海外の視点も取り入れてのInstagram発信をお願いしました。今回は、どのようなコンセプトの企画にしていくことを考えておられますか。

[Kimi]今回この企画をするのにあたって、私が元々三崎先生の漫画を拝読していたということがありました。三崎先生が心理職だけでなく、漫画家としてもご活躍をしているのを知っていました。例えば、スクールカウンセラーとしてお便りを出す時に、ちょっと漫画を描いていたりしておられました。

心理職であり漫画家である三崎先生は、“心理サービス”という一見小難しい活動を、漫画にすることで、すごくたくさんの人に、しかも分かりやすく伝えていらっしゃいました。漫画の力を肌で体験したという感じでした。

今回この臨床心理iNEXT公式Instagramアカウントを運営するっていう機会をいただけた中では、皆様に対するお便りのような感じで「あ、心理職ってこんなところがあるんだな」ということを、漫画の力を借りて伝えたいと思います。今まで、心理サービスにはあんまり馴染みがなかったという方にも、「こういうものがあるんだ」ということをぜひ知っていただけたらと思います。

[下山]ありがとうございます。臨床心理iNEXTの新しいビジョンは、「みんなの心理サービスへ、選ばれる心理職へ」です。心理職も心理サービスも、多くの皆様に知っていただき、選んで活用して欲しいですね。


9. 心理職の外から冷静に分析し、伝える

[下山]内輪で「心理職ってこうだよね」と楽屋落ちのような話や、「心理職のこともっと知られてもいいのにね」と愚痴を言っているだけでは、何も変わらないと思います。多くの人に「心理職は、職業としてはあまり恵まれていないけれども、このように頑張っている」ということをしっかりと伝えていきたいですね。漫画を通して我々の仕事内容を多くの人に共有していただくことは、心理サービスを活用してもらうための良い機会となります。

[Kimi]本当にそう思います。臨床心理学の学び自体も、その心理職だけに収めていくのは勿体ないですね。心理サービスも、病院に来た人だけ、学校でスクールカウンセラーを利用した人だけに収めてしまうのも、あまりに勿体ない。これをちょっと知っていたら役立つということが臨床心理学の知識や方法にはたくさんある。三崎先生のお力を借りながら、いろいろな方へ、臨床心理学や心理職の活動について発信ができたらいいなと、今改めて感じています。

[下山]心理職は、内輪の視点での議論が多かった。学会や職能団体の分断も“内輪もめ”、つまり仲間割れという面が強かったと思います。それは、外から自分達を客観的に分析する視点が希薄だったからです。その点、漫画は、内輪話をとは違う切り口で表現をしていくと思います。ギャグというのは、自分達の在り方を冷静に分析し、その矛盾を笑いにしていくことですよね。
プロデューサーのKimiさんは、心理職以外に、イラスト製作やデザインの仕事もされている。しかも、N Yで生活されている。まさに外の視点から、日本の心理職の活動を見て、それを多くの人に伝えていっていただければと思います。それが、日本の心理職全体の視点や活動の広がりにつながることを期待したいですね。


10. 心理職の人間らしい部分を漫画として描き出す

[下山]ところで、三崎先生は、ハラハラドキドキ心理職シリーズで、どのように心理職を描こうとしますか。M1グランプリに出たということで、ギャグ的な視点も入れるのでしょうか。今の時点での展望があれば、教えてください。

[三崎]心理職と言うと、一般的には「心が読めるの」とか、少し変な扱いを受けることも多いと思います。だから、私としては、心理職の人間らしい部分や、心理職から見た普通の日常の“あるある”の出来事などを描きたいですね。

一般の人に、心理職の仕事が身近に感じられるような、柔らかい感じの心理職のイメージの漫画が描けたらなとは思っています。

[下山]なるほど。考えてみたら、人間の現実には滑稽なところが一杯ある。心理職は、滑稽な人間を扱うわけだから、その滑稽な部分をたくさん持っていないと務まらない。そうなると、心理職のあり方は、むしろ漫画にするのに適しているのかもしれない。

心理支援と言うと、生真面目な道徳的な人がするものと、一般的に思われている。でも、心理職には、自分も含めてちょっと変わった人や、どこかずっこけた人が多いと思う。情けない失敗をして反省(内省?)することも多い。自分自身がそれほど救われていないのに、他人を救おうとする心理職の在り方自体が、実はギャグ的なものかもしれない。だからこそ、心理職の仕事は、ハラハラドキドキの連続にならざるを得ないのかもしれないですね。


11. 心理職の“あるある”の現実を描き出す

[下山]ところで、三崎先生は、心理職の仕事をする中で漫画にするアイデアのようなものを浮かんできているのでしょうか。

[三崎]今まで自分が心理職としての仕事している中で感じていた違和感などが、漫画のヒントになります。色々と面白いエピソードはあるのですが、そのまま伝えるのが難しかったり、発信できる場がなかったりして、表現をしてこなかったですね。今回、それを漫画という形で落とし込むことで、ブラックだけど、誰もあまり傷つかないで表現できるかと思いますね。皆様からも、色々と意見いただいて、幅が広がると面白そうだなっても思っています。

[下山]心理職の“あるある”の現実を拾って漫画にしていくという点で、今後は、漫画のアイディアを心理職の皆様からいただく仕組みも作っていきます。具体的には、新装開店した臨床心理iNEXTの有料会員コミュニティの中に「心理サービス企画コミュニティ」※)があります。

※)⇨ https://cpnext.pro/polish/polish34.html

その中の「広報等の企画・運営コミュニティ」に参加メンバーの皆様にご協力を得て心理職“あるある”のネタを出して、それを三崎先生が漫画にしていく共同作業をする予定です。臨床心理iNEXTの有料会員の皆様と一緒に「ハラハラ☆ドキドキ心理職」を共作していくわけです。


12. 読者の皆様へのメッセージ

[下山]最後に、プロデューサーのKimiさんから読者の皆様へのメッセージがあれば伝えてください。

[Kimi]ありがとうございます。心理学や臨床心理学といったワードを聞くと、「難しいことだろう」と身構えてしまったり、自分には縁遠いことだと思われる方もまだまだ多いのではないかと思います。しかし、心理職のしていることは、普通の生活に根づいていることがほとんどです。Instagramでは、多くの人に、「そういうことあるよね」「面白そうかも」と心理職の活動に興味を持っていただけることを目指したいと思います。ぜひ、楽しくご覧いただけたらと思います。

またNoteの「臨床心理マンガ☆ジン」は、心理職の仕事の難しさを心理職全体で共有できる場になればと思っています。心理職をしていて、「こういうこと大変だよね」と言い合える機会がどんどん少なくなっていると感じています。それで、この企画が心理職同士で問題や課題を共有し、共感できる場にしていけたらと思っています。

[下山]同じ「ハラハラ☆ドキドキ心理職」であっても、InstagramとNoteの「臨床心理マンガ☆ジン」では、対象や目標も違っているわけですね。Instagramは、内から外に向かい、心理職が外とつながることを目指す。それに対してNoteは、心理職が内でつながって助け合うことを目指す。そして、二つを比べると、立体的に心理職を理解できるようになるといった関係になれば良いですね。

[Kimi]そうですね、漫画がいろいろなことの架け橋になってくれると嬉しいです。

■記事制作 by 田嶋志保(臨床心理iNEXT 研究員)
■デザイン by 原田優(公認心理師&臨床心理士)

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