#5 ブッタガヤ渡航記1
早朝の到着
インド教育スタディツアーメンバーの町田兼都と申します。今回はガヤという都市での1日に満たない体験を拙いながらも詳細にお伝えします。最後までお付き合い頂ければ幸いです。
初めて体験する寝台列車に揺られながら早朝に到着。到着案内も車内放送もない。着いた先は仏教最大の聖地、ブッダガヤ。そのままトゥクトゥクに乗り込んでまずホテルへ。
ホテルの半地下のジムには朝からトレーニングに勤しむ人の姿。上方に目を向けると増築中の3階。しばらく眺めているとオーナーが声をかけてきた。
「君の足元の石と裏手に積んである粉を混ぜてあのマシンで上に持っていくんだ。これが材料なんだ。」
目の前にあるマシン。その場で必要に合わせて作ったような、木製で手動のマシンだ。外周には木材を等間隔で並べ、その間に石やモルタルもどきを敷き詰めていた。作業している人たちが漂わせる素人感。高所作業にも関わらず安全帯の装着はない。ホテル内にはバタバタと2階と3階を行き来する人。聞くとインドでは親族や近い間柄の男性が協力して建物の建築をするらしい。インドでは当たり前のように今でも市民が自らの手でその居住の空間を作出していた。なんだろう、インド人の「強さ」のようなものを見た。
プレマメッタスクールへの訪問
そんなことを感じながら、日本が大好きなホテルのオーナーに連れられ、私たちは朝食を食べに町に繰り出した。出るとすぐに、空気の透明度に気がつく。コルカタの空気は滲み澱んでいたように感じたが、ガヤの空気は澄んでいた。視界には見渡す限りに広がる田畑。現地の人は水田だと言うが、私が日本で見てきた水田とは大きく異なっていた。少し歩いたところでインド特有の小型露店に寄り道。ここでミネラルウォーターを購入する。インドでは水道の水を飲んではいけない。インド人でさえ心掛けていることだそうだ。その代わり、街の至る所の小型露店でペットボトルドリンクやあらゆる雑貨を売っている。道に生えた木や電信柱に紐を通してそこに布をかけた構造は違法感満載だった。ここではいくら儲けることができるのか、仕入れはどのようにしているのか、客層は?そんな数多の疑問を抱きながら固くしまったキャップを捻った。
朝食の後はブッタガヤでのメインイベント、「プレマメッタスクール」へ訪問。ホテルを出発し、ホーリー祭に向けて活気づく街をオートリキシャで進むこと10分、さしかかった橋は、閑静な街並みからは想像できない程、多くの車両でごった返していた。下には川があるのだが、川と言えど水流はない。乾季で完全に干上がっている。もちろん日本ではみたことのない、新鮮な光景だった。
私たちが訪れたプレマメッタスクールは地元のアウトオブカースト、所謂不可触民に該当する子どもたちに教育の手を差し伸べている機関である。小学生年代には学校としての基礎教育を施し、中高生以上の年代に向けては介護の専門学校を設立することで若者たちに選択肢を提供している学校である。
私たちはまず後者の生徒たちと対面した。彼らと相対した時、私は日本人として襟を正すような思いになった。彼らの挨拶、立ち姿はとてもしっかりしたものであった。多くの日本の大学生が欠いているような礼儀を、インドの学生が体現できていることに畏敬の念さえ覚えた。運営している日本人の女性、百瀬夕子さんと、百瀬さんの夫で現地出身で日本語検定の最上級資格を持つ、アヌープさんにお話を聞かせてもらった。印象的だったことは、彼らになぜ日本人でもできないような礼儀をここまで教育しているのかと伺った際、外国人であるというところでハンデを追っている以上は、礼儀や細かいところを充実させないと日本人と同じ土俵に立てない、とおっしゃっていた。私自身、この言葉にははっとさせられた。
生徒たちのノートを見ると、そこには日本語の例文がびっしり書き込まれていた。18歳から30歳程度までといった様々な年齢の学生たちは、皆非常に高い志を持ち、向学心に富んだ学生ばかりであった。「教育を受ける側」の姿勢がどうであるべきかという一つの姿が見えた気がする。彼らには是非日本でたくさん学び、たくさんの経験をし、たくさんの思い出を作って欲しいと第三者的に感じたと共に、日本人として何か彼らの力になってあげたいと思えた。おそらく先生方は同じ思いを私よりもっともっと強く感じているのだろう。
長い。次回へ続く。
学生団体S.A.L.とは
国際問題啓発団体を自称しているが、実態として活動の幅はより多岐にわたる。フリーマガジン制作や、ドキュメンタリー制作、インタビュー活動から教育支援活動まで、多様で幅広い活動を行う10プロジェクトからなり、長期休みには、国内外のスタディーツアーを実施している。色々な視点、色々な方法で世界を肌で経験し、自分の世界を広げることができることのできる場所である(寄稿者主観)。
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