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離れて住む親の見守りにも? 空き家/空き地を活用した「成果報酬型インキュベーション」のメリット/デメリット

こんにちは。有限会社グリップ代表の高橋です。
空き家/空き地を活用した成果報酬型インキュベーションには色々なメリットがあります。一方デメリットもありますので、チャレンジャー、インキュベーター、地方自治体や地域のそれぞれの立場でメリットとデメリットを解説します。

空き家/空き地を活用した成果報酬型インキュベーションとは何かについては、こちらの記事をご覧ください。


成果報酬型インキュベーションが抱えていた課題を一気に解決

一般的なメリット/デメリットの解説をする前に、実際に私自身が経験した実例をお話します。
もちろん誰にでも当てはまることではありませんが、似たような課題を抱えている方も多いのでは無いかと思います。

当社が成果報酬型インキュベーションを始めたきっかけは、前述の記事でご紹介しましたが、当時民泊を運営していた下田市の建物には、私の母が一人で住んでいました。
一軒家に高齢になった母が一人で住んでいるということは、東京に住む私にとっては心配事のひとつでした。

高齢になり車の運転を続けていることも心配でしたが、車が無いとスーパーへ買い物に行くことも大変な場所のため、なかなか免許の返納もできずにいました。
また、元は民宿をしていた建物のため、母屋と離れの二つの建物があり、部屋数も多く掃除や敷地内の清掃なども高齢者にとっては重労働です。
解決策を色々と考えていた時期でしたが、成果報酬型インキュベーションが全て解決してしまったのです。

蒸留所造りにチャレンジすることになったメンバーは当時3名の組織でしたが、その中のひとりSさんが現地の主担当として駐在することになりました。
元々建物が2つあったことが幸いし、離れにSさんが住み母は母屋に住むことで、お互いのプライバシーは確保した上で、母の買い物や重たい荷物の移動などをSさんが心良く手伝ってくれることになったのです。

つまり、Sさんが現地に居てくれることによって、私の心配事が全て解決できてしまったのです。
さらに、Sさんに母の様子を聞くこともできるため、私にとっては母の見守りをしてもらっている様な安心感があります。
これらはひとえにSさんの人柄の良さに因るところですので、成果報酬型インキュベーションのメリットとしてご紹介することでは無いかもしれませんが、私自身が実際に感じた大きなメリットなのは事実です。
Sさんとの出会いには感謝しかありません。

それではここからは、一般的に考えられるメリット/デメリットについて、立場ごとに解説します。

インキュベーター(空き家/空き地オーナー)のメリット/デメリット

土地や建物などの収益を生まない空き家/空き地を保有する個人や企業にとって、収益化することが課題になっているケースは多いと思います。
特に先祖代々受け継いで来た土地の様な場合には、売却という選択肢は考えにくく、では賃貸で貸せば良いと思っても、借り手が全く見つからないという土地や建物が多くあるのも現実です。
 
自分にとっては思い出の地であったり、特別な場所であっても借り手側の立場で客観的に考えてみると、「この金額で借りてくれる人なんか見つからない。」と諦めてしまい、結果的に毎年税金を払いつづけ収益化どころかマイナスの資産になってしまっている方も多いと思います。
 
しかし、もう一度借り手側の立場で考えてみると、もしも賃料負担が無く(正しくは成果報酬型で)借りられるのであれば、見る目が全く変わって来ると思います。
そして、その貸主である空き家/空き地のオーナーが、事業の成功を応援してくれるインキュベーターであれば、興味を持ってもらえる可能性は大きく上がります。
 
借り手側にとっては、賃料というのはそのまま費用負担になってしまいます。
まだ売上が順調に上がるかどうかも分からない起業家やベンチャー企業にとっては、なるべく費用負担は少なくしたいと思うのが当然です。
その様な状況の中で、成果報酬型で借りる事が出来る土地や建物というのは、正に願っても無い条件であり、他の土地や建物とは全く別物として見てもらう事が出来るようになります。
今まで借り手が全然見つからなかった土地や建物であっても、成果報酬型という条件にする事で、そして貸主がインキュベーターだという事によって、大きく差別化できるため借り手が見つかる可能性が広がるのです。
 
まず考えられるメリットとしては、固定の賃料で貸した場合よりも大きな収益となる可能性がある事です。
初めから希望の賃料で貸せる土地や建物の場合には、そもそも成果報酬型を考える必要は無いかもしれませんが、なかなか借り手が見つからない土地や建物の場合には、借り手が見つかったとしても希望の賃料より少ない金額になってしまうケースも多いと思います。
 
しかし、成果報酬型で貸した場合には、基本的には借り手の事業が成功して収益が上がれば上がる程、貸し手側(空き家/空き地オーナー)の収益も増える事になります(※契約条件による)。
もちろん借り手側の収益が上がる事が条件になる訳ですが、実はこの点が貸し手側にとっての大きなモチベーションにもなり、貸し手側のもう一つの大きなメリットとも言えるのです。
 
空き家/空き地を成果報酬型で貸すオーナーは、インキュベーターです。
インキュベーターの役割は、借り手側である起業家あるいはベンチャー起業の事業が成功する様に応援する事です。
土地や建物を成果報酬型で貸す事自体がもちろん支援になるのですが、それだけで終わらずに事業の成功の為に自分が出来る範囲で支援する事が、インキュベーターにとってのやりがいにもなって来るのです。
 
特に年齢を重ねて自分自身で今から新しい事業を起こすという気力や体力は無いという場合でも、借り手側のチャレンジを自分事の様に捉えて、自分もチャレンジャーの一員になったかの様なワクワクした気持ちを感じる事もできます。
空き家/空き地を成果報酬型で貸す事によって、今まで収益を生むどころかマイナスでしか無かったものが、収益の可能性が生まれるだけでは無く、新規事業を応援するという新たな目標や生き甲斐にも繋がるのです。
 
もちろんメリットだけでは無く、デメリットも考えられます。
チャレンジャーのところでも前述しましたが、やはり契約内容次第でリスクやデメリットは大きく変わります。
インキュベーターはチャレンジャーを支援する事が大きな目的の一つですが、チャレンジャーの事を考える余り自身のリスクやデメリットが大きくなってしまっては本末転倒です。
 
インキュベーター側の絶対に譲れない条件を明確にした上で、チャレンジャーの希望をヒアリングしながら良く話し合って契約内容を決める事が大切です。
例えば、代々受け継いで来た土地などの場合、その土地をこの先も受け継いで行く事が絶対に譲れない条件になる事が考えられます。
もしも現在の所有者が亡くなった場合にはどうするのか?と言う事まであらかじめ考えて契約内容を決める必要が出てくる訳です。

チャレンジャー(起業家・ベンチャー企業)のメリット/デメリット

起業家やベンチャー起業などの新規事業を起こす方にとって、新規事業を起こす上で場所の確保は大きな課題です。
 
「田舎に移り住んでオーガニック食材を活かしたレストランを経営してみたい。」
「デスクワークは向いていないので農業にチャレンジしてみたい。」
「リモートワーク中心で会社にはほとんど通わなくて良くなったので、南の島に移り住んで副業としてペンションを経営したい。」
 
などなど、起業の理由も、チャレンジしたい業種も様々だと思いますが、元々起業するための場所があるという場合を除いて、どこで起業するのかという場所の確保は大きな問題となります。
 
特に資金的に余裕が無い場合には選択肢が限られて来る為に、妥協をして希望とは大きくかけ離れた場所での起業を選んでしまうケースや、無理をして予算オーバーの物件で起業してしまい、起業後に資金繰りで苦しむケースなどが考えられます。
 
しかし、成果報酬型で場所を確保出来れば、起業の為の資金が節約出来る上に起業後の事業が安定していない期間の費用も削減できるため、資金繰り計画にも余裕が生まれます。
これは新規事業を起こす上での大きなメリットになり、「お金が無いから起業は出来ない。」と諦めていた人にでも、起業出来るチャンスが生まれるのです。
 
一方、デメリットはと言うと、契約内容や事業内容によっても大きく変わって来るのが実情です。
 
共通するデメリットとしては、結果的に通常の賃貸契約よりも多くの賃料を支払ってしまう可能性があります。
しかし、これは裏返せば事業の成功を意味している事でもあり、そもそも成果報酬型の契約で無ければ事業を始める事自体が出来なかったかも知れないと考えれば、デメリットと捉えるよりは成功の対価と考えた方が健全だとも言えます。
この件も含めて、デメリットの解消は結局のところ契約次第という事になります。
 
成果報酬の割合をどうするか、契約期間をどうするかなど、事前にインキュベーターとの契約内容を良く話し合って決めて置くことが、成果報酬型で事業を始めるにおいては最も大切な事だと言えます。
チャレンジャーにとっては、初期費用やリスクを抑えて新事業にチャレンジする事が出来る為、気軽に起業を考えてしまいそうですが、チャレンジしやすい分余計に長期的な視点に立って考える事が必要になって来るのです。

地方自治体、地域のメリット/デメリット

成果報酬型インキュベーションは、地方自治体や地域にとっても大きなメリットがあります。
今まで誰も活用していなかった土地や建物を利用して事業を起こすという事は、必ずそこに人が付いてきます。
つまり、人口が増える事になります。
直接的な税収に繋がる場合もありますし、そうならない場合であっても関係人口は間違いなく増える事になります。
 
人口減少や高齢化により、地域づくりの担い手不足が大きな課題となっている状況において、起業家やベンチャー企業が新たに地域に関わってくれる事は、地方自治体にとっても大きな魅力になります。
また、その地域の活性化やチャレンジする事業内容によっては、周辺地域の経済発展にも貢献出来る可能性を秘めています。
 
一方、デメリットというよりもリスクとしては、人に関わるトラブルが考えられます。
新たに地域に関わることになったチャレンジャーと地域住民とのトラブル、あるいはインキュベーターとチャレンジャーとのトラブルなどにより、地域住民からのクレームが発生したり、訴訟問題になってしまう可能性もゼロではありません。
その結果、地域のイメージダウンに繋がってしまうかも知れません。
 
しかし、リスクばかりを恐れてチャレンジをしないのでは何も生まれ無いのと同様に、新たな取り組みを歓迎しない地域はいずれ衰退してしまいます。
地方自治体や地域の関係者の方々には、この空き家/空き地を活用した成果報酬型インキュベーションという取り組みを、是非前向きに捉えて快く受け入れてサポートしていただけるとありがたく思います。
 
関連する地方自治体や地域の方々が、前向きに捉えてサポートしていただくことが、起業したチャレンジャーにとっても追い風となり、結果的に事業の成功へと繋がる事によって、チャレンジャー、インキュベーター、地方自治体や地域、の三方良しの取り組みになる事が最終的に目指す姿だと思っています。

空き家/空き地を活用した、成果報酬型インキュベーションをサポートします。

当社では空き家/空き地を活用した成果報酬型インキュベーション事業を推進しています。
弊社自身がインキュベーターとなり成果報酬インキュベーション事業を推進するとともに、この取り組みを世の中に広めて行くためのサービスを提供します。
ホームページからお気軽にお問い合わせください。

そして、インキュベーターをお勧めする本をKindleで出版しました。
成果報酬型インキュベーションは、第二の人生の生き甲斐にもなるとてもやりがいのある取り組みです。
実際に自分自身で体験した事を元に書きました。
是非ご購読頂けると幸いです。
インキュベーターのすすめ! 入門編
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次回から、当社の第一号案件として実施している伊豆・下田市白浜でのプロジェクトをご紹介して行きます。

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