たびのぞき vol.1 セカイイッシュウ・イン・イラン
こんにちは!inclueのきのぴーです。
「世界一周」って、考えたことありますか?
「お金はいくらかかるんだろう?」「治安が不安」「英語に自信がない」
いろんな壁があって、「やってみよう!」と思うまでが遠い・・・。
そんな方も多いのではないでしょうか?
今回は、世界一周でイランにやってきた1人の学生に密着してみました。
1. 世界一周中!まつだいの紹介
松田竜輝です! 同志社大学社会学部の4年で、今は大学を休んで8ヶ月間世界一周をしています!ももクロが好きです!
松田竜輝(まつだ・りゅうき)
・ニックネーム:まつだい
・1996年和歌山県生まれ
・株式会社Huber.※ 元インターンシップ生
※「世界中の人たちを友だちに」を理念に、国際交流をしたい日本人とガイドされたい外国人のマッチングサービスを展開するベンチャー企業。
※以下、きのぴー:き、まつだい:まと表記。
き:早速だけど、なんで世界一周しようと思ったの?
ま:「これ!」っていうきっかけがあった訳じゃないんやけど、昔から外国のことや歴史に興味を持っていたのが大きいかなあ。幼稚園児のときに、「高い建物ランキング」とか「大きい山ランキング」みたいな、いろんな「世界一○○ランキング」が載っている本を見てて、エジプトに行ってみたいと思ってん。
ま:自分の知らない世界が広がっていることに、ワクワクしてた。小学生の時は、考古学者になりたいと思ってたし、高校生の時は世界史がめっちゃ好きやった。そんな感じで、もともと海外や歴史への関心が強かった!
––––– まつだいは大学1年生の秋に世界一周をしていた方と出会い、さらに、3年生から出国前まで、株式会社Huber.でインターンシップをしていました。
Huber.でのガイドの仕事。英語でのコミュニケーションが上達し、京都の名所や歴史についても詳しくなったそう。
ま:そんなこんなで、バックパッカーの人が集まるコミュニティにもよく顔を出すようになって、自分の周りに旅をしてる人が増えて、「自分でもいけるんちゃうか」と思うようになった。
––––– 1年生の春休みはラオス、ベトナム、タイに行きました。この時が初めての海外で、2年生の時もゴールデンウィークに中国、夏にバングラデシュとマレーシアに行ったそうです。
バングラディシュのモスクにいた子どもたち。
片言の英語で中を紹介してくれたそうです。
ま:僕にとって旅の魅力は、知らない世界と出会えること。日本とはまったく違う文化圏で生きている人や、見たことのない景色・食べ物。新しい発見がいっぱいで、好奇心がくすぐられます。
2. ある日の旅 〜イラン・ゾロアスター教の聖地ヤズド〜
ここからは、当時イランに留学していたインタビュアーきのぴーが、1日まつだいに密着し、ある日の旅の様子をお伝えします。
まずは首都テヘラン近くの町から、夜行バスでヤズドに向かいます。
バス停に向かうため、アプリで呼んだタクシーを待つ様子
バス停には、わかりやすい目印がありませんでした。
高額のタクシーをふっかけてくる運転手たちの声をくぐり抜けながら、なんとかバスを見つけます。
バスには深夜1時から朝8時過ぎまで乗っていたのですが、5日前から腹痛が続いていて、4時まで眠れなかったそう。
SNSにはあまり載せない、目立たないところで苦しんでいると気づかされます。
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ここから旅が始まりますが、まずこの日のタイムスケジュールです。
9:00 ~ 10:50 沈黙の塔
14:45 ~ 15:30 金曜日のモスク
17:15 ~ 18:00 ドラウト・アーバード庭園(世界遺産)
20:00 ~ 21:30 夕食
22:00 ~ バスで次の町へ
※間の時間は、移動や休憩、散策など
最初に訪れたのは、ゾロアスター教の聖地、沈黙の塔。
1930年代まで、町の外れにある2つの塔の頂上では、鳥に遺体を食べさせる「鳥葬」が行われていました。
8月中旬、夏真っ盛りのこの日は日照りがキツく、2回ほど日陰で休憩を挟みながら、2つの塔を登ってヤズドの町を一望しました。
バックパックを背負って歩くので、体力的な消耗はなおさら激しいです。
少し疲れたので、町の中心にある広場で昼寝をして、カフェで食事をした後、金曜日のモスク(マスジェ デ・ジャーメ)へ。
同じ名前のモスクが国中にあるのですが、休日である毎週金曜に多くの人々が礼拝をしに来ることから、そう名付けられています。
まずは遠くからパチリ。
近くでもパチリ。
タイルによって線対称で描かれた模様が、とても綺麗ですね。
モスクにはいろんな模様・素材があり、そこから歴史的背景を知ることができます。
中で本屋のおじさんと雑談していると、スイカをいただきました。生き返った気分になります。いろんな人々との出会いは、旅の醍醐味の一つですね。
その後も観光しましたが、長くなるので省略です。
そして22時前、バス停で次の町シーラーズへと旅立ちます。
日本にいると非日常に感じますが、世界一周中は移動日と休息日以外はほとんど毎日観光。逆にそれが日常になるようで、想像しがたい感覚です。
3. 世界一周、始めてみて実際どうだった?
ここからは、世界一周を始めてみて、実際にどんな気づきや発見、もしくはアクシデントやデメリットと出会ったかをお話しいただきます。
き:実際に世界一周をはじめてみて、思っていたのと違う部分とか、新たな発見はあった?
ま:東南アジアやバングラディシュを旅したことがあったから、正直すごく驚くことはなかった。でも、行ってみないとわからない、ネットの情報だけじゃ判断できないことはあるなぁと思った。
ま:たとえば、治安。渡航前は外務省の治安情報を参考にしてたけど、レベル2.3のエリアでも生活する分には全然大丈夫なところが多かった。
夜の23時頃、帰り道に子どもたちが公園で遊んでたのはカルチャーショックやったわ。「こんな時間まで遊んでるんや・・・」ってなった。
外務省 海外安全ホームページより
ま:外務省の治安情報って、テロや紛争などが基準になってると思うから、戦闘が起きていなければ、レベルが高くても安全なところもある。やっぱり、実際に現地に行かんとわからへんことが多いなーと思うわ。
ま:てか、治安とか関係なしに子どもが、この時間帯まで遊んでる現象がなぜ起きるんやろ?そもそも、日本の子どもの就寝時間が早いんかな??
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––––– 私が住んでいたイランの町は、夏場になると最低気温が30℃弱で最高気温が40℃超。乾燥しているので体感気温は5~10℃ほど低いですが、日なたにいるとすぐ熱中症になってしまいます。
さらに、日が沈むのが20:30頃なので、子どもたちは夕暮れ時の19:00頃に公園に集まって、日付が変わる頃まで遊んでいます。
また、イランのお店は9:00~12:30頃と19:30~23:30頃の開店が一般的です。昼食と昼の礼拝、そして灼熱の午後の時間帯はみんな働かないためです。
気温の日較差(1日の中の幅)によってライフスタイルが定まると考えると、おもしろいですね。
き:次に、大変だったこととか、危険を感じたことはあった?
ま:危険はあまりなかったけど、大変だったことはある!
ま:一度、飛行機を逃しそうになったことがあって。ナゴルノ=カラバフっていうアルメニア人の住むアゼルバイジャンの未承認国家(国際的にはアルメニア)から、アルメニアの首都エレバンにバスで行くために、朝バス乗り場へ向かったら「今日はやってない」って言われてん。
ナゴルノ=カラバフのバス停
ま:実はその時、翌朝にエレバンからジョージアにバスで向かって、そこからイランに行く航空券を取ってたから、何としてでもその日のうちに着かなあかんかった。
ま:でも、6,7時間もタクシーに乗るお金はなかったから、ヒッチハイクすることに決めた。最初の2回でわりと楽に国境を越えてんけど、そっからは2時間待っても乗られへんかった。
ま:そん時に、近くにいたおじさんから「エレバン行きのバスがある」って聞いて、奇跡的に間に合った。あの時バスに乗れてなかったら、いまイランにこれてなかったと思う笑笑
ナゴルノ=カラバフからイランまでの移動経路
––––– 陸路と比べて費用の高い空路での移動は、乗り過ごすと大きな痛手。慣れない土地での移動を繰り返すことは、精神的な負担になるようです。
き:じゃあ、難しかったこととか、旅の障壁になるような辛いことってあった?
ま:いろいろあるけど、一番は食べ物!中央アジアに来ると、外食はかなり限られる。どの国でも羊ケバブと羊スープ、ナン、プロフ(油分の多いチャーハンのようなもの)ばっか。油っぽいし、味付けも単調だから、マズいってよりは飽きて身体が受け付けなくなる。
ま:それで食欲が減るねんけど、いまは夏やから食べないと夏バテして体調も崩れてくる。日本みたいな食の選択肢があり余っている場所から来てるから、なおさらそう感じるんやと思う。
––––– 私きのぴーは5ヶ月イランで生活していた時、イラン料理に加え、ハンバーガーやピザといった欧米料理だけの食文化に飽き飽きしていました。
しかし、イランより経済発展が遅れているウズベキスタンやタジキスタンなどは欧米の食事が少なく、そもそも「食事を選ぶ」ことができないと知ります。
また、私は日本とイランでしか暮らしたことがないので、天秤のような比較しかできませんが、まつだいは多くの軸を持った面の中で、各国がどこに位置するか捉えていて、旅人だからこその感覚があると気づかされました。
このように、いろんな国に行くメリットの一つとして、多様な文化や思想を知って、「自分に合った価値観・軸を見つけ、磨ける」があると思います。
よく言われる、「海外に行くと、視野が広がる」は、これを意味するのでしょう。
––––– まつだいから他にも、定番(?)の腹痛や、「出費を抑えるため長距離バス移動が続いてしんどい」「スケジュール的に、3月の帰国までずっと夏なので夏バテで苦しむ」など、様々な困りごとを教えてくれました。
そんな中、特に印象的だったのがこの話でした。
ま:旅をしていると、基本的に英語でコミュニケーションをとるから、英語を話せる人、つまり富裕層としか話すことができない。これまで旅した中央アジアで、英語が広く使われている国はなかった。
イランで出会った英語教師の方。
き:なるほど!英語が公用語じゃない国だと、英語を話せる人は高等教育を受けた人に限られてくるんだね。
––––– 旅をしていると、いろんな国の人々と出会えますが、深く長いつながりをつくることは困難です。世界一周は、現地に住んでいる人の生活を見たり、町や人の変化を知ることには適していないのです。
4. おわりに
旅をするのに、「こうしないといけない」はありません。
目的も手段も意味も、人それぞれ無数にあるからです。
いろんな世界を見る、一つの世界にじっくり浸る、
おいしい食事に舌鼓を打つ。映画で見たあのスポットを訪れる。
語学力や歴史・文化の知識などの武器を身につける。
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