【詩】夏雲 −終戦の日−
蝉時雨。
田舎の原風景。
スマホから放たれた
「No War.」という言葉。
今年の夏も
追憶の日が来る。
ノイズの混じった
ラジオ音声の奥
幼心にその真意を
理解してだいぶ経つ。
遠き国で
光となった人々は
故郷の実りを
未だに願っている。
叶わない想いは
白い雲に写っても
エンジンを吹かして
飛ぶ事は無い。
青々とした稲穂は
かつての争いを知らない。
そして
昨今の争いもまた知らない。
かつての惨事から
教育のシャボン玉を拾わず
今日も何処かで
戦火が上がっているのだ。
ウクライナも
ガザも
その他諸国の影に
戦死者達の魂は無く
上位層の傲慢家達も
理解して無視する。
キリストも
ムハンマドも
ブッダも
そして天照大御神も。
口だけの信仰と
超科学のハリボテに力は無い。
その実像の無い手で
愚行を止める事が出来ない。
しかし強行的な平和主義は
それでも声を上げる。
いずれ来るだろう
真の平穏を祈り続けている。
電子世界の「No War.」は
空の彼方に消えていく。
雲は遠く
古戦地の空にも浮いている。
今年の夏も
慰霊の日が来る。
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