見出し画像

【詩】灯台

 街の中心にある丘には
 小さな展望台がある

 ペットボトルの緑茶だけを持って
 僕は一人展望台まで登る

 もうすぐ日が落ちる手前
 誰もいない展望台に着く

 一口、お茶を飲む

 温もりが食道を通る

 ベンチに座って景色を見ると
 風がサァーッと吹いてきた

 景色の先には灯台が見える
 高い 高い
 灯台が見える

 変わらぬリズムで
 回転灯を回す

 強く発光し
 回転灯は回る

 グワン
 グワン
 黙って動く

 フワン
 フワン
 光が揺れる

 あそこには灯台守が居るだろう
 彼等は汗水垂らし
 深い夜から守る光を
 海に届けているのだろう

 今日もお疲れ様です
 展望台から僕は言った

 ただ
 ただ無言のそれ等に

 ……確かな敬意を抱いた

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?