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日本のライブコマースは中国式だと上手くいかない3つの理由

ライブコマースを知らないのは日本人だけという事実

ライブコマースというワードが少しずつ浸透してきているように思えます。しかし、それは中国で人気らしく、「一回の配信で爆発的な売上を叩き出していているらしい…」など、自分自身で使ったことがあるというよりも、どこからか情報が入ってきたという人がほとんどだと思います。
それは、まだ86.2%の日本人がライブコマースを「名前は聞いたことはあるがよくわからない」「名前も聞いたことがない」という現状だからというのもあります。

国ごとのライブコマース購買率&知名度

世界ではライブコマースの知名度はどんどん上がっています。中国以外にもベトナムやタイ、インドなどでも購買率は高く、日本だけが圧倒的に購買率も知名度も低くなっているのです。これはSNSが原因で、世界のInstagramやTikTokなどのSNSでは既にライブコマース(ソーシャルコマース)機能が整っており、動画を観ながら商品を購入するのが当たり前になっているのです。最近では日本でもYouTubeとSpotifyが提携し、YouTube ショッピングからライブストリーミング、動画、ストアタブという3つの方法で製品を販売することができるようになり、ライブコマースが日本でも本格的に広がっていくことが期待されます。

大手が参入することでライブコマースも盛り上がっている

日本でも新型コロナウイルスの影響を受け、「人との接触を避けつつ、実店舗同様の接客体験をしながら商品を購入できる」という理由でライブコマースは注目を集めました。店舗では伊勢丹やビックカメラ、ユニクロなどが先行してライブコマース事業に参入したことも話題になっています。またECプラットフォーム大手の楽天もライブコマースに本格参入し、実際に大きな売上を叩き上げて、既に年間で200以上のライブ配信が実施されているという成功事例も出てきています。しかし、まだまだ世間ではライブコマースで商品を購入した人は少ないのではないでしょうか?

世界で盛り上がっているのに、日本では盛り上がっていない3つの理由

影響力のある人物が不在

インフルエンサー(イメージ)

中国のライブコマースの特徴として、影響力のあるKOL、いわゆるインフルエンサーの存在があります。中国のライブコマースでは配信者の影響力が極めて重要になっているのです。これはフォロワーの数だけでなく、ライブ配信を実施すると、大量の商品を販売できることから、価格交渉力で優位性を保ち、市場よりも安価で商品提供が可能になっているのです。なので、視聴者からすれば、この人から買えば最安値が補償されているという安心感もあり、サーチコストを限りなく「0(ゼロ)」にできるのです。日本ではまだ、ここまでの仕組みは構築されているところは少なく、ライブコマースで商品をオススメしても、最安値を求めて楽天やAmazonに流れてしまうということもあります。また、インフルエンサーに関しても、YouTubeやTikTokや17LIVEなどで影響力をつけているというのもあり、ライブ配信などで商品購入を促す行為がステマなどを疑わせるということから、積極的に行うインフルエンサーがいないというのが現実です。

アプリでの参入が相次ぐが、アプリでの成功事例はない

アプリケーション(イメージ)

アプリケーション(イメージ)2017年から中国でライブコマースが盛り上がり、その影響を受け日本でもライブコマースに参入する企業が増えてきました。そもそも中国ではアプリをダウンロードすることが当たり前となっており、QRスキャンなども抵抗なく行ってもらえます。しかし、日本ではアプリをダウンロードしてもらうことがかなりの障壁となっており、顧客獲得が難しいのが現状です。大手企業からベンチャーまで多くの企業がライブコマースアプリを開発してきましたが、いまではほとんど無くなっているのが現状です。これは、影響力のあるインフルエンサーがライブコマースに消極的な側面もあり、YouTuberやインスタグラマーが自身のプライベートブランドやファングッズを販売し、大きな売上を叩き上げている反面、自身のフォロワーをアプリへ流出させるのを懸念する傾向があります。日本ではライブコマースアプリへの導線がなかなか確立できずに、撤退を余儀なくされる傾向があります。2021年には20以上あったライブコマースアプリが今では10以下になっています。そして現在稼働中のアプリをみても動画の更新頻度が低く、実際に成果が出ているところがあるかと思います。実際に影響力のあるフォロワー数40万以上のYouTuberやインフルエンサーを起用しても売上が数万円といったこともあり、アプリから方向転換する企業が多く見受けられます。また、アプリから転換して成功したり、注目を集めているライブコマースの企業も出てきているので、日本ではアプリは向いていないということは実証済みとも言えるでしょう。

熱狂を生み出すスイッチが国によって異なる

スイッチ(イメージ)

ライブコマースは視聴者との相互コミニケーションで成り立っています。それは信頼や熱狂という言葉が当てはまると思います。EC通販にみられる従来式のテキストでの商品紹介と比較すると、伝えるべき情報量が格段に増えるほか、感情などもダイレクトに伝わるので、作り手の想いに寄り添うことも可能です。中国でのスイッチは本物を販売するという安心感だと言われています。模倣品が多い中国では、しっかりと動画で商品を紹介し、化粧品なら実際にメイクして色合いや肌の浸透まで感想を伝えることができます。家電やファッションでも、耐久性や着心地を動画で示すことで、ライブコマースでの購入ボタンのスイッチを押すことに成功しました。また、他の海外のライブコマースでも特典を付けたり、2BUY1のような、2個買ったら1個無料などのお得の訴求なども人気です。日本でもジャパネットたかたのような、絶対的な信頼性とサプライズが購入のスイッチとされております。また、企画をしっかり練ることで可能性が広がります。ただ、商品の機能を説明するだけでは視聴者はスイッチを押しません。一緒にいいねボタンを連打して、◯◯回に到達したら◯%割引とか、出演者と視聴者の一体感を演出することで一気に熱が高まることもあります。商品の機能を説明するよりも、この商品が自分の元に届いたら、どんな変化が起こるかを説明する必要があり、そこに圧倒的な熱量が求められるのです。

まとめ

ライブコマースは中国から人気が広がったと言われていますが、通信販売のDX版と捉えると、日本の歴史は長くジャパネットたかたのようなテレビ通販から、投げ銭というライブ配信などでも販売手法は確立しています。
日本ではスーパーやコンビニがすぐそばにあり、楽天やアマゾンでも欲しいものが直ぐに届くような便利な生活が確立されています。わざわざ動画にしなくても、手軽にお買い物ができる環境で、どうやってライブコマースで熱狂を売っていくかは、日本式の企画次第かと思います。まだまだ、成功している企業はほんの一握りですが、これから様々な事例が広がってくると思います。この熱狂を生み出す仕組みは古き良きテレビの熱狂と近しいと私は考えています。ECでも差別化が求められている中で、新しいマーケティング手法となると確信しています。このライブコマースこそが、日本の強みになる時代も近いと感じていて、いまその中心に居ることにワクワクしています。ライブコマースは商品販売以外にも、スポーツ振興、社内会議やセミナーなどにも活用できる新しいツールとして、これから普及していくでしょう。いまも様々な地域や企業と打合せをしていますが、面白い企画が出るたびにワクワクしています。


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